メトの21-22シーズン テノール陣のレベルが低過ぎる件について

21-22シーズンのメトの公演に出るテノール歌手を見ていたところ、

ビッグネームが案外少なく、その分有望な若手が出ているのなら良いのですが、
そういう訳でもない。

今が旬と言えそうな歌手がとにかくいない惨状に驚きました。

 

以下、出演歌手を列挙して一言コメントを記載しますが、
かなり批判的な内容が多いですので、そういう内容で気分を害される方はご覧にならない方が良いかもしれません。

 

Stefan Vinke

ヘルデンテノールとして大きな舞台でジークフリートをよく歌っている歌手で、
ワグネリアンにとってはお馴染みの歌手ですが、私は正直好きになれないタイプ。

 

 

Klaus Florian Vogt

デカい声が好きなメト住民に受け入れられているのが正直不思議なのですが、
メトにも固定ファンがいるのでしょうか・・・。

 

 

Rolando Villazón

私の中では、既に終わった歌手扱いしてましたすいません。

 

 

 

Matthew Polenzani

気の抜けた炭酸みたいな声とフランスに留学してた知人が言っていたテノール。
フランチェスコ メーリの劣化版みたいな感じで、軽い声なのにハイCすら力んで変な声になっているという。売れっ子テノール

 

 

 

Yusif Eyvazov

漏れなくネトレプコと一緒についてきます。
このフォームでオペラ全曲が歌えるという意味では、奇跡の歌声と言えなくもない。

 

 

 

Joseph Calleja

CDデビューした時、確かアルフレード・クラウスの再来レベルの売り込み方をしていた記憶があるのですが、声に合わないトスカなんかにも手を出し、知名度>実力から脱することはできなかった。

 

 

 

Javier Camarena

やっと一流と呼べるテノールの登場。
メトといったら世界最高の歌劇場だ!
と思っている方がいたら、このレベルの歌手が集っていると想像するのではないだろうか・・・。
でも現実は違うのです。

 

 

 

 

 

Roberto Alagna

道化師が合っているとは思いませんし、全盛期は過ぎたと思いますが、
それでも、カマレーナ以外の歌手と比べたら圧倒的に素晴らしいという現実。
そう、これが現実です。

 

 

 

Piotr Beczala

安定感は素晴らしいですが、この人の声はどうも不自然で好きになれません。
でも、人気実力ともに持ち合わせたテノールであることは事実です。

 

 

 

Frederick Ballentine

ここからは知名度が上記の歌手程高くない歌手になります。
太いのに響きが乗ってない、普通の歌手なら上手い方かもしれませんが、
コレはメトに出演する歌手であるということを考えるとどうでしょうか?

 

 

 

Barry Banks

これがモーツァルトの歌い方か?
良い声のようにも聴こえなくはないのですが、ピアノは抜いてるだけだし、果たしてこれでAより上がまともに出るのか疑問です。
下に降りた音では響きがなくなるし・・・。

 

 

 

Aaron Blake

高音は悪くないですが最後のHはハマってないですね。
そして中低音は詰まって響きがなくなる。
表現は好き嫌いが分かれそうです。

 

 

 

Ben Bliss

この人は、上手いと思います。
鼻に入り気味ではありますが、安定感のある発声技術で発音もしっかりしてますし、
高音も強いですから、華やかな声ではないですが、上手いテノール。

 

 

 

William Burden

全然レガートで歌えないし、響きも乗らない。
声は悪くないのですが、泣きを一々入れるのもどうかと思いますし、
メトでこの人聴きたいか?

 

 

 

Charles Castronovo

米国のテノールと言えば、勢いとパワーで押し通す彼みたいなタイプを思い浮かべてしまう。
聞いてるだけで喉痛くなる。
実に米国らしい歌手だ。

 

 

 

Allan Clayton

ブリテンのオペラを得意にしているようなので、特定の作品に特化した歌手というのは大事です。

 

 

 

Stephen Costello

ファウストのアリアをほぼ全部フォルテで押し通す、米国らしいテノール。
なぜこの曲を歌っているのかよくわからない。
声がデカそうだし、良い声ではあるのでメト向き。

 

 

 

Eric Ferring

なんでしょうか?
この、喉の奥になにか詰まっているのではないかと思うような声は・・・
しかも、このアリアを速いテンポで歌っているのに、一番の聴かせ所である、
長いコロがるパッセージで2回もブレスをする息の短さ。。。
これがメトに出る歌手というのがとても驚きです。

 

 

 

Giuseppe Filianoti

一時期より衰えたという声も聞こえてくるのですが、昨年の演奏でこれだけ歌えているので、正直今回メトで出る中ではトップクラスだと思います。
と思ったら、出演するのは、フィガロの結婚のバジリオ役です。
メトの配役どうなってるんでしょうか?

 

 

 

Brian Jagde

CastronovoやCostelloと同様、米国人あるあるの力押しテノールその3
高音はそれなりに鳴ってるように聴こえますが、こういう歌い方だと低音は貧しい響き、というか生声じゃん?

 

 

 

Brandon Jovanovich

名前はスラヴ系っぽいですがこの人も米国人。
そして、やはりレガートがなく力押しの声。
これでローエングリンが歌えるのは凄い才能と言えなくもないが・・・。

 

 

Yonghoon Lee

喉が良く鳴る韓国人テノール。
ずっとメトで歌い続けていて、今でも声を維持できているというのは凄い。
言葉は不明瞭で特に”i”母音は全部”e”に寄っているので、特に高音は何言ってるかわからない。
表現も吠えるか抜くか二択でフレージングに柔軟性は皆無である。

 

 

Maxim Paster

最近の演奏映像がないので、評価は難しいですが、少々鼻に掛かるような独特の響きで、
ちょっとヘップナーに似た所があるのですが、彼ほど柔軟な歌唱ができる訳ではない。
音程が跳躍して下りる時に、声の響きまで落ちてしまって、降りた音の中低音は喉声気味になるのも問題。

 

 

 

ちなみにヘップナーをご存じない方は参考までに。

声の響きは似てますが、ヘップナーは高音で押したり、低い音に降りた時に喉にいったりせず、フレージングはしっかりできているので、歌の上手さといういみでは比較にならない位上。
ヘップナーは米国人ではなくカナダ人ですが、メトはこのレベルの北米人歌手もいなくなったということですな。

 

 

David Butt Philip

軽い声を無理やり重くして、120%の馬力を出そうとしてる声に聴こえますね。
響きが乗れば高音のポジションはそこまで悪くないだけに、なぜこうも声に合わない曲を力んで歌ってしまうのか・・・、
それにしても、アングロサクソン系のテノールは、レガートで歌うのが嫌いなのだろうか。

 

 

Rodell Rosel

アラーニャと同じ道化師のアリアを歌っているので、是非比較して頂きたいのですが、
この人は全然響きが上がっていません。
まぁ、要するに喉が鳴ってるので、アラーニャとは似て非なる歌唱法で歌ってます。
米国系のテノールは8・9割こんな感じと言って良いと思います。
少なくとも、ここで取り上げた歌手で、持って生まれた楽器だけに頼らず、きっちりしたフォームで歌えていると思えた米国人歌手は、Ben Blissくらいしかいません。

繰り返しになりますが、コレが天下のメトで歌うテノールのレベルです。
そう考えると、新国のキャスティングはかなり頑張っていると思います。

少なくとも、ガンチが来るだけで、メトに出る殆どのテノールより全然恵まれてます!

これがちゃんとした発声。
メトのキャスティングしている人はこの声の違いがわからないのだろうか・・・。

最近は動画作りが多くなってしまったのですが、
YOUTUBEは言うなれば公道で、このサイトは私有地。
色々守るべきこともあるし、どんな人の見に触れるかわからないので、あまり批判的なことは書けませんし、著作権などもあって参照できる音源選びが兎に角面倒です。
しかし、好きに音源を参照できて、上手いものは上手い、下手なものは下手とはっきり言える自分のサイトとなれば話は別。

このメトの惨状を動画にして、ここに書いたのと同じ位ボロクソに書いたら、どんな苦情がくるかわかったものではありません・・・。

 

そんな訳で、肯定的な内容は動画、
批判的な色の強いものはブログ、という役割分担になっていきそうな気がしますが、今後ともよろしくお願いいたします

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