ヘルデンバリトンの巨頭Falk Struckmann

Falk Struckmann (ファルク シュトルックマン)は1958年ドイツ生まれのバスバリトン
ワーグナーの諸役に於いては歴史に残る名演を残していることでも知られ、
近代最高のヘルデンバリトンと言っても良いのではないでしょうか。

その圧倒的な声量と深く芯の通った声はヴァルキューレのヴォータン、ローエングリンのテルラムント、
さまよえるオランダ人のオランダ人、サロメのヨカナーン辺りの役では理想的とさへ思える声です。
流石に最近は衰えが見られるという話しも聞きますが、
それでも現在を代表するワーグナーバスバリトンであることに異議を唱える人はいないでしょう。

 

ワーグナー(パルシファル)から Wehvolles Erbe(悼みに満ちた跡継ぎ)

残念ながらこのヒトは動画が少ないので、紹介できる映像が限られてしまいます。
それでも、この他者を圧倒する響きと、太いのに芯がしっかりした声で、強弱も自在に操れる技術は伝わるでしょう、

 

 

 

イタリア物では悪役がよく似合いますね

プッチーニ  トスカ(全曲)

Te Deumは44:25~

こういう曲はとりあえずデカイ声がないと栄えないってのもありますが、
普段はイタリア物をあまり歌わない人も、なぜかこの役はやったりします。

 

 

でもやっぱり、私はこの人を聴くならドイツ物です。
最後にほんの少し歌ってるだけですが、サロメの ヨカナーンはハマります。

一体どうやって発音しているのか?と思うほど、常に口内が広く保たれており、
息の流れを全く発音が邪魔せずに歌っているのがよく分かる。
必要以上に子音を発音せず、母音で息を流すという歌い方から考えれば、これをドイツ唱方などと言う人はいないでしょうが、
このような歌い方で、ドイツオペラ界の頂点と言って良い程の実力を世界的に認められている訳ですから、
いい加減、声楽の世界はベルカント唱方だのドイツ式発声だのという無意味な論議は止めるべきでしょう。

 

中音域での”a”母音

 

これは全くもって理想的な口のフォームです。
舌も完全にリラックスして奥までしっかり開いています。
この形が子音を

 

 

高音で”er”の発音

 

写真は”r”を発音した後のものです。
舌先だけで発音し、舌の奥は全く動いていないため、
子音の発音によって咽頭腔、口腔が狭くなることもありません。
勿論下顎に力が入ることもない。
本当に理想的なフォームだと思います。
声楽教師は、こういう素晴らしい歌手の歌唱を精密に分析して、生徒にしっかり教えないといけません。
声や発音という出力結果だけを参考にさせているだけではダメです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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