Rüdiger Wohlers (リュディガー ヴォーラース)は1943年ドイツ生まれのテノール
この人の名前を知っている人は少ないだろうが、彼は間違えなく歴史に名を残すべき偉大なテノールである。
これほど完璧な発声技術を身に着け、甘く軽く明るく、そして全ての音に無理がない。
例えるならドイツ版タリアヴィーニである。
あまりこの人が歌っている映像はないが、まずはコレ
純粋なクラシックではないが、驚くほど明確な発音でありながら、発音に全く硬さがない。
こんな風にドイツ語が歌えるのものなのか!と驚かされる。
そして喋っている声は歌声から考えると意外と低いが、喋ってる声のポジションまで全部同じ場所に響いている。
喋り声でここまで完璧なポジションに当たるものなのか。
では、今度はクラシックの名曲で解説していこう
ベートーヴェンの連作歌曲 An die ferne Gliebte(遥かなる恋人に寄す)
歴史的名演奏と名高いFritz Wunderlich (フリッツ ヴンダーリヒ)の演奏と比較してみよう。
ヴンダーリヒを改めて聴いてみると、かなり自由なテンポ感で揺らしているのに対して、
ヴォーラースは余計なことを全くしない。
このレベルになればどちらが良い悪いという話ではなく、好き嫌いになってくるが、
ベートーヴェンの演奏として、どちらの解釈が作曲家の意図に沿っているかと聴かれれば、
私はヴォーラースだと思う。
ヴンダーリヒは何かと歌い込みたい場所でテンポを落としたり、ポルタメントを使ったりと、
古典派の作品としては度が過ぎなくもない。
この人の演奏の中でもとりわけ素晴らしいのが、
Georg Österreich (ゲオルグ ウスターライヒ)という1664年生まれのバロック時代の作曲家が作曲した作品の演奏だ
初めて聴いた時は、洗練されたレガート、後半の切れ味抜群のアジリタとあまりの素晴らしさに聞き入ってしまった。
これだけ素晴らしい歌手にも関わらず、現在購入できるCDはコレだけである。
これほどもっと評価されるべき歌手もそうはいまい。
最高音(ハイC)を出している時
中音域での”o”母音
このフォームが”o”母音か!。
この”u”に近い深さの”o”は日本人にとっては特に難しい。
もっとこの人の歌唱が評価される日がくることを願いたい。
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