ここまで2回お送りしてきました、
イタリアの劇場を中心に活躍されている日本を代表するテノール歌手、高橋 達也さんへのインタビューの最終回になります。
今までのインタビューをご覧になっていない方は、まず一回目からご覧頂ければと思います
イタリアを中心に活躍するテノール歌手 高橋 達也さんへのインタビュー 1回目
イタリアを中心に活躍するテノール歌手 高橋 達也さんへのインタビュー 2回目
高橋達也さんインタビュー最終回
対談で使っている言葉の注釈の意を込めて、一応説明っぽいことをしているリンクを貼っています。
ここでは特殊な発声法のように書かれていますが、実際はそんなことないということは、高橋さんのお話を聞いて頂ければわかると思います。
今回も中々厳しい言葉が並んでいますが、
逆に今までの対談をご覧になった方から、同じように日本の声楽界に疑問を持っていた。との意見も頂いており、このような試みをして良かったと思っております。
また、この対談の中では個人名が出ているためカットしているのですが、
膨大なレッスン料だけ要求された挙句パワハラを受けたり、
教えている本人は歌えないにも関わらず、歌えない間違った技術を教えられて全く高音が出せないまま音大を卒業する生徒が沢山いる。
といった悲痛な相談が高橋さんに寄せられているとのことでした。
更にここで明らかになったのは、日本のオペラ評論家達の耳は信用できないという事実で、例えばヴィットリオ グリゴーロを「パヴァロッティの再来」などと宣伝して売り込み、毎日新聞にオペラ関連のコラムを書いている香原斗志という人などは、ロマン派のオペラに必要なテクニックをグリゴーロほど身につけたテノールを、私は知らない。完璧な呼吸法を土台に、声の音量を自在に制御しながら、色彩や表情を無限に変化させる。と絶賛しているのでありますが、所属事務所が大きいだけで、このレベルの歌手はイタリア国内に普通にいる。ことが今回語られていますし、
先日、新国のトスカでカヴァラドッシを歌って絶賛されていたフランチェスコ メーリにしても、日本国内での評判は非常によく、例えばコチラより転載すると
「カヴァラドッシを歌ってくれたメーリはまさに圧巻。無尽蔵とも思えるゆたかな声量はもとより、やわらかな声質と声の温かみ、ニュアンス、表現力、演技力をすべてを兼ね備えていて、プッチーニ・テノールとはこのような歌手のことであったのかと驚嘆し、カルチャーショックさえ感じるほどでした。」といった感じです。
しかし、彼は天狗になってしまい自分の声に合ったレパートリーを逸脱してしまっているのが現状で、イタリア国内ではそもそも評価が落ちていることが語られています。
間違っても、プッチーニ・テノールとはこのような歌手のことであったのかと驚嘆してはいけないのです。
最後に、日本語を喋ることが声にどのような影響を与えているか。
日本語を公用語として使っている私達が、西洋の言語を歌うにあたって、西洋の言語の特徴ではなく、そもそも日本語の特徴を理解せずに歌っていることを理解しなければいけない。という話をしています。
これはとても重要なことで、
「日本語は浅いが、イタリア語は深い」とか抽象的な教え方をする人があまりに多く、その結果、奥に詰めたような深さを勘違いした歌い方をする人を生み出すことになっています。
なので、簡潔ではありますが、日本語がなぜ浅い言語なのか。ということを最後にお話しいただきました。
こんな感じで、日本国内に溢れる声楽関連の情報は間違えだらけなので、現実を今後も発信していこうと思っております。
早速読者の方から対談したい。とのご意見も頂くことができまして、
その方からは、Uwe Heilmann (ウーヴェ ハイルマン)が芸大にいた時に、
「日本の声楽は200年遅れている。」
と主張したら切られた。というお話や、四国の声楽事情を伺うことができました。
ちなみにハイルマン氏は現在鹿児島で教えているようです。
Uwe Heilmann
東京や大阪付近にお住まいでない方は、そもそもオペラに接する機会もなく、
声について相談できる人も中々いないという現実があるようですので、私で良ければそのような方からも相談に乗っていきたいと思いますので、遠慮なく連絡をください。
間違った歌唱指導が教師から弟子へ引き継がれ、
それが伝統の味のように守られているのですが、その味はマズイのだと気づいて若い方が悪しき伝統を破壊することでしか日本の声楽レベルが上がっていく道はありません。
そのような想いが今回の対談を通してより強くなったのでありました。
最後に、高橋さんがご以下、自身のYOUTUBEチャンネルの中でお勧めしているPOWERbreathe (パワーブリーズ) について書きます。
コレ、AMAZONで買うと大体6000円~8000円の間なのですが、
これと同じ機能でもう少し安い、
Breathing trainerという機器を私も購入して使用しています。
これは本当にお勧めです。
喉の開く感覚や深く息を吸う訓練ができるので、筋トレとしてだけでなく、歌うための身体の使い方をマッスルメモリーとして学習させる意味で効果があります。
ただし、アスリートを目指す訳ではないので、強い負荷でトレーニングする程効果があるというものではありませんのでご注意ください。
高橋さんも仰っていますが、そこまで声を出すのに息の量は必要ないためです。
高橋さんの声は客席後部では聞こえません。他の日本人歌手はみんなよく聞こえましたが。
声楽評論様
どの公園をご覧になられたのでしょうか?