チェサローニが注目を集めたのは、2018年にプッチーニのラ・ボエームのミミ役をカナダのPacific Opera Victoria で歌って成功したことが大きいようで、翌年には同劇場で椿姫のヴィオレッタに抜擢されています。
カナダと米国を中心にこれからの活躍が期待されている、今勢いのあるソプラノ歌手と言えるでしょう。
カナダと米国を中心にこれからの活躍が期待されている、今勢いのあるソプラノ歌手と言えるでしょう。
声質は正統派のリリコであるものの、影のある音色は喜劇よりも悲劇のヒロイン役に相応しいと言えるのではないかと思います。
モーツァルト フィガロの結婚 Deh, vieni non tardar
モーツァルトのスーブレットソプラノ役を歌うには声がアダルト過ぎるので、スザンナ役が合っているかどうかは別としても、ゆったりした息の流れから生まれるレガートとと、重くなることなく豊に響く中低音には魅力があります。
チェサローニの素晴らしいところは、しっかりした中低音の土台の上に根付いた高音を出せることで、大抵のソプラノは高音の響きのまま低音を出したり、場面によって胸の響きを混ぜたり地声に近い声を使ったりするのですが、中低音の響きをベースに高音まで声が重くならずに出せるソプラノはあまりいないのではないでしょうか?
勿論生まれ持った楽器に依存する部分も多いでしょうが、声の深さを出したり、レガートで歌うには喉が上がらないことが重要なので、そういう意味でもチェサローニの歌唱は、中低音でちゃんと喋れる深さとレガートがあるので理想的と言えるかもしれません。
上顎から上の響きだけではどうしても言葉をしっかり発音して、客席の後ろまで歌詞を飛ばすことは難しいですからね。
上顎から上の響きだけではどうしても言葉をしっかり発音して、客席の後ろまで歌詞を飛ばすことは難しいですからね。
モーツァルト ドン・ジョヴァンニ Non mi dir
こちらは2017年の演奏。
ドンナ・アンナは声が合っていますね。
ブレスコトロールは本当に上手く、深さも十分にある声なのですが、
響きの高さが足りない。と言えば良いのか、発音が奥過ぎるのが気になります。
ドンナ・アンナは声が合っていますね。
ブレスコトロールは本当に上手く、深さも十分にある声なのですが、
響きの高さが足りない。と言えば良いのか、発音が奥過ぎるのが気になります。
2016年のスザンナの演奏ではもっと前で発音ができていて歌唱に余裕がありましたが、こちらの演奏では音域によって響きのポジションが微妙にブレてしまい、声にも硬さが出てしまっています。
声的にはスザンナよりアンナの方が合っているのに、スザンナを歌っていた時とは歌い方がかわってしまっているように聴こえます。
若い歌手は特にちょっとしたことでフォームが変わってしまうことがあるので、必ずしも右肩上がりに上達する訳ではないのですが、ただこの演奏の時に調子が良くなかっただけかもしれませんし、一本の動画で正しい判断はできませんが、参考にはなるでしょう。
声的にはスザンナよりアンナの方が合っているのに、スザンナを歌っていた時とは歌い方がかわってしまっているように聴こえます。
若い歌手は特にちょっとしたことでフォームが変わってしまうことがあるので、必ずしも右肩上がりに上達する訳ではないのですが、ただこの演奏の時に調子が良くなかっただけかもしれませんし、一本の動画で正しい判断はできませんが、参考にはなるでしょう。
ロッシーニ La Danza
2018年の演奏。
早口の演奏だとちょうど良い響きになりますね。
まるでメゾソプラノのような声ではありますが、ドンナ・アンナを歌っていた時よりも響きが高く明るい、そして表情が実に豊ですね。
チェサローニはもしかしたらメゾとソプラノの中間の声の持ち主なのかもしれませんが、不思議なことに高音は比較的苦手ながら超高音は凄い声が出るんですよね。
早口の演奏だとちょうど良い響きになりますね。
まるでメゾソプラノのような声ではありますが、ドンナ・アンナを歌っていた時よりも響きが高く明るい、そして表情が実に豊ですね。
チェサローニはもしかしたらメゾとソプラノの中間の声の持ち主なのかもしれませんが、不思議なことに高音は比較的苦手ながら超高音は凄い声が出るんですよね。
ヴェルディ 椿姫 Ah, fors’è lui.. Sempre libera
この演奏が良いとは思えませんが、チェサローニの良いところと悪いところがわかる演奏としては面白いです。
具体的には、たっぷり歌う部分や、速いパッセージでも歌詞がある所はかなりキツそうに聴こえたり、力んだ声に聴こえたりするのですが、超高音やアジリタをやっている時は、し時々しっかり抜けた驚くような声が出るんですよね。
特に最後のハイEsは凄い声です。
この演奏そのものは、全体的に喉が上がってしまっていて、チェサローニの良さが出ているとは言えないと思いますが、超高音を出すポジションや技術はしっかり持っているということがわかるだけでもこの人の見方がかわります。
具体的には、たっぷり歌う部分や、速いパッセージでも歌詞がある所はかなりキツそうに聴こえたり、力んだ声に聴こえたりするのですが、超高音やアジリタをやっている時は、し時々しっかり抜けた驚くような声が出るんですよね。
特に最後のハイEsは凄い声です。
この演奏そのものは、全体的に喉が上がってしまっていて、チェサローニの良さが出ているとは言えないと思いますが、超高音を出すポジションや技術はしっかり持っているということがわかるだけでもこの人の見方がかわります。
ビゼー カルメン Je dis que rien ne m’épouvante
2019年の演奏。
この演奏では、どう聴いてもリリックソプラノの声になっています。
いったいこの人は何なのでしょうか。。。前年のロッシーニの「踊り」と比較すると別人のような声です。
この演奏では、どう聴いてもリリックソプラノの声になっています。
いったいこの人は何なのでしょうか。。。前年のロッシーニの「踊り」と比較すると別人のような声です。
これは個人的な意見ですが、こっちの高い響きリリックな声を出している時より、太いメゾのような声で歌っている時が本来のチェサローニの声なのではないかと思います。
改めて2018年の演奏を聴いてみましょう。
改めて2018年の演奏を聴いてみましょう。
ロッシーニ ウィリアム・テル Sombre Forêt
やっぱり私には2019年のミカエラより、2018年のマティルデのアリアを歌っている時の方が音域によって響きのブレがなく、声も柔らかいように感じます。
このように、演奏には不安定さも目立ちますが、持っている声には多大な可能性を感じさせる歌手であることは間違えありません。
今何歳なのか正確なところはわかりませんでしたが、まだかなり若いことは間違えないので、今後どのような声になっていくのかには大いに注目していきたいと思います。
今何歳なのか正確なところはわかりませんでしたが、まだかなり若いことは間違えないので、今後どのような声になっていくのかには大いに注目していきたいと思います。
私の希望としては、しっかりした中音域を生かしたプッチーニのヒロイン役を中心レパートリーにして欲しいところではあります。
なんと言っても初のミミ役で以下のような演奏なら、それは確かに大成功もするでしょう!
なんと言っても初のミミ役で以下のような演奏なら、それは確かに大成功もするでしょう!
プッチーニ ラ・ボエーム Donde lieta
全曲見ないと性格な判断はできませんが、この演奏聴く限り、ミミ役だけでも世界中で歌えるほどハマってるレベルだと思うのですがいかがでしょう・・・?
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