メトロポリタン歌劇場 20/21シーズンのキャストチェック その②

メトロポリタン歌劇場 20/21シーズンのキャストチェック その②

 

前回に引き続き、2020-2021シーズン、メトのキャストをチェックしていきます。

第一回目は以下をまだご覧になってない方は以下参照ください。

 

メトロポリタン歌劇場 20/21シーズンのキャストチェック その①

 

 

 

 

ヘンデル Agripina

  

この作品はあまり馴染みがない方が多いと思いますし、私も見たことがありません。
ですが、調べてみると英語圏では評価されているようで、特に最近はヘンデルの作品の中でも高い評価を獲得しているオペラとして認知されているようです。
この作品についての詳細はコチラが分かり易いかとおもいます。

●ナルチーゾ役

 

 

Nicholas Tamagna(ニコラス タマーニャ)

米国のカウンターテノールで、表現力の高さに定評があり、この演目がメトのデビューとなるようです。

 

 

 

●オットーネ役

 

 

Iestyn Davies(イエスティン デイヴィス)

1979年、英国生まれのカウンターテノール。
子供の頃から合唱でカウンターテノールを歌っており、
素晴らしいソリストであるにも関わらず、常にアンサンブルを意識しているような歌唱で、
マドリガルなんかを歌っても、リュートと重唱をしているように聴こえるほど自然な響きをもった稀有なカウンターテノールではないかと思います。

 

タマーニャとデイヴィスを比較していしまうと、響きの質や高さが明らかに違うのが分かってしまいますね。
響きが落ちてしまうと、軽く歌っているのに声質が太くなってしまったり、
フレージングが見えない、レガートが不十分になってしまったり、言葉が飛ばなかったりと問題が色々出て来てしまう。

タマーニャの声が常に喉の奥にあるのに対して、デイヴィスの声は上唇の前に漂うように響いています。
前で響いていながらも直線的な硬さがないのですから、本当にデイヴィスの響きの質は素晴らしいですね。

 

 

 

 

 

 

 

●ポッペア役

 

Brenda Rae(ブレンダ ラエ)

米国のソプラノ歌手で、2017年にはバイエルン国立歌劇場の魔笛で、夜の女王を歌って来日もしています。
コロラトゥーラを得意とするソプラノで、バイエルン国立、メト、スカラ、ウィーン国立と世界の主要歌劇場でツェルビネッタや夜の女王、ルチアといった役を歌っている売れっ子ソプラノ。
来年にはベルクのルルに挑戦予定。

 

声の美しさという面ではそこまでで光るものがある訳ではないのですが、
どの音域でも安定して歌える能力があるので、カヴァティーナに比較するとカバレッタの盛り上がりでこそラエの長所が生かされるように思います。

 

 

 

●アグリッピーナ役

 

Joyce DiDonato(ジョイス ディドナート)

1969年、米国生まれのメゾソプラノで、現在世界的に最も活躍しているメゾの1人ではないかと思います。
モーツァルトやロッシーニ作品を若い内は得意としており、セビリャの理髪師のロジーナでは新国にも出演しています。
現在もヘンデル~ロッシーニ作品を中心に歌ってはいますが、よりドラマティック作品、例えばノルマのアダルジーザやウェルテルのシャルロッテなんかも最近は歌うようになっています。

 

技術が高いことは分かるのですが、個人的にはあまり好きになれない歌手なんですよね。
まず声、というか息の量が恐らく多すぎて発音が雑に聴こえたり、必要以上に低音で声が太くなったりする傾向があって、どうもディドナートの歌唱からはフレージングが見えない。
全体のバランスより、その言葉は音を全力で歌っている感じで、曲全体を通しての説得力が薄いと言えば良いのか、パーツを切り取れば素晴らしい部分も勿論あるんですけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

●ネローネ役

 

Kate Lindsey(ケート リンドセイ)

 

1980年、米国生まれのメゾソプラノで、Metropolitan Opera’s Lindemann Young Artist Developmentの卒業生。
流石に高い技術を持った歌手で、これから更なる活躍が期待される歌手でもあります。

 

 

超絶技巧では確かに素晴らしいんですが、やっぱり同じことの繰り返しになりますが、米国人歌手は響きが奥に引っ込む傾向が強いですね。

 

 

 

 

 

 

こういう曲の歌唱を聴けばよくわかるのですが、
ピアノからクレシェンドすると響きの質が変わってしまったり、
2:40辺りのフォルテで叫んでるところは、もう何語かというより、何の母音の響きなのかもよくわかりません。
こういう発音が奥の歌手が米国人には多すぎる。

 

 

 

 

 

 

●クラウディオ役

 

Matthew Rose(マシュー ローズ)

米国のバス歌手。
バラの騎士のオックス男爵、ドン・ジョヴァンニのレポレッロを得意としているようですが、
ヴェルディやプッチーニ作品、ワーグナー作品、ルサルカのようなチェコ語のもの、ブリテンのオペラ、そしてリートと幅広いレパートリーを誇るバス歌手です。

 

響きが前にあるのは良いのですが、喉を鳴らし過ぎですね。
なので、柔らかい響きでのピアノの表現が全然できない。
バリバリ低音がなるので、存在感としてはありますが、表現としてはでうしても押すか抜くかといった二択になってしまう気がします。
もっと漂うような広がりのあるピアノの表現ができないと、バスがリートを歌っても感銘は受けないな。というのが個人的な感想です。

 

 

 

 

2つ記事を書いたところで過ちに気付きました。
メトの20/21シーズンの開幕は9/21のアイーダでした。

誤って19/20の今上演中の作品を記事にしてしまいました。

次回から、改めて20/21シーズンのチェックに入りますのでご了承ください。

コメントする