FABIO ARMILIATO(ファビオ アルミリアート)は少し前まではトップクラスのリリコ・スピントテノールとして活躍していたのですが、
最近彼が自身のYOUTUBEチャンネルに大量にオペラ全曲映像をアップしています。
その中に、1992年のアイーダでラダメスを歌った映像があるのですが、
その時の声が素晴らしいことこの上ないです。
もとから良い声ではありましたが、2000年代の後半には随分と高音をズリ上げて出す癖が顕著になり、歌唱が随分と粗くなっていった印象を受けていたのですが、
1992年の演奏は、楽々と高音を出していながらも響きの質の強靭さも申し分なく、ディナーミクのコントロールも自在と、イタリアのグランドオペラを歌うのにはこれ以上ないのではないかと思えるほど理想的な声で歌っています。
AIDA – (Kalinina, Armiliato, Terentieva, Grimsley; Dir Alcantara; Reg Capobianco) Caracas 1992
TEATRO TERESA CARRENO di CARACAS – 30/7/2000
Giuseppe Verdi
AIDA
Aida: GALINA KALININA
Radames: FABIO ARMILIATO
Amneris: NINA TERENTIEVA
Amonasro: GREER GREIMSLEY
Ramfis: MIGUEL ANGEL ZAPATER
Il RE: VICTOR GARCIA
Un Messaggero: ROBERTO VASQUEZ
Una Sacerdotessa: MARIA CRISTINA VILLASMILL
Orchestra e Coro Teatro T. CARRENO CARACAS
歌っているフォームを見ても、美しい立ち姿で、口の動きにも無駄な動きがなく、
空間が狭くなったり、横に開いてしまって響きの質が崩れることもない。
そして響ているのポジションが、上の歯から鼻の下にかけてでどの音域でもブレない。
この演奏聴いたらファンになります。
凄いの一言です。
本当は他のキャストも含めて細かく歌唱を分析したいところではありますが、
何分ゆっくり視聴して記事を書く時間がないもので、一先ずは秀逸な映像のご紹介ということでお許しください。
アルミリアートのチャンネルはまだまだ全然見れてないので、もしかしたらもっと凄い演奏があるかもしれませんが、とりあえずはアイーダの紹介でした。
興味のある方は、色々ご覧になってみてください
Fabio Armiliato Official Channel
https://www.youtube.com/c/canalfabioarmiliato/videos
ファビオ・アルミリアートのラダメスは、別の動画で見たことがあり、こういった言い方は適切かわかりませんが、くっきりと聞こえるイタリア語で歌っている、という感想を抱いたのと同時に、テノールにしては長身で細身だな、と感じました。テノールというとアラーニャやカレーラス、フローレスといったどちらかと言えば背の低い人が目立つ(ドミンゴやパヴァロッティのような人もいますが)のに対して、バリトンは長身で余計な肉がついていない、というイメージを持っています。ソプラノとメゾソプラノについても同じイメージがあります。体型と声の質は関係しているのでしょうか? 声帯と体型の関係は? 以前にフランスの雑誌のインタビューに答えてネトレプオが「ウエスト周りが太くなったから、前とは違うレパートリーを歌えるようになった」と言っているのを読みましたが・・・・
JKさん
ネトレプコのインタビューは前後の文脈がわからず、
声のことを言っているのか、容姿的な部分で皮肉を込めて言っているのかわかりませんが、
彼女の場合はステロイドの常用もあるので、楽器や体格だけの問題ではないと思われます。
一般的に声帯の大きさと太さで声の高低が決まると言われています。
体格については当然身体が大きい方が声帯も長いので、バス歌手で小柄の人はあまり見かけません。
とは言っても、ボストリッジのように長身でも非常に軽い声のテノールもいますし、
逆にアルド・プロッティなんかは小柄でもド級のヴェルディバリトンでしたから、単純に体格と声帯の大きさはイコールにはならないですね。
技術を磨けば高音は出るようになるので、ヘルデンテノールなんかはバリトンも歌える声の人が鍛錬してテノールになっていたりします。
ドミンゴも実際最初はバリトンでしたしね。
ここ20年位は声より演出面が優先されてしまって、そもそも声と役のアンマッチが多いのが個人的には気になります。