無観客のライブストリーミングにて、
12月4日にイタリアのモデナ市立歌劇場で行われたウェルテルがYOUTUBEにアップされましたので、そちらの演奏を紹介したいと思います。
Jules Massenet WERTHER – OPERA LIVE STREAMING
<キャスト>
Werther: FRANCESCO DEMURO
Le Bailli: ALBERTO COMES
Charlotte: VERONICA SIMEONI
Albert: GUIDO DAZZINI
Schmidt: NICOLA DI FILIPPO
Johann: FILIPPO ROTONDO
Sophie: MARIA RITA COMBATTELLI
Bruhlmann: ANDREA GERVASONI
Katchen: LUISA BERTOLI
個人的に一番印象に残ったのがカーテンコールで
無音な中、直前まで歌ってた歌手達が主役二人を除いて全員がわざわざマスク付けて出てくるのが異様でした。
せめてスタッフとか拍手してあげても良いじゃない?と思えてしまう。
それはともかく、
やっぱりこのキャストで一番の注目はシャルロッテ役のシメオーニでしょう。
もちろんタイトルロールのデムーロも良い歌手ではありますが、現在最高のメゾの一人と言っても良いような実力をもったシメオーニがどんな歌唱をするかが聴きどころです。
ドラマティックな役を得意としているシメオーニですが、シャルロッテはドン・カルロのエボリやアイーダのアムネリスなんかと比較すれば全然穏やかな役で、激しさを内に秘めてほとんど表に出さない役をどう歌うかに注目していました。
一番聴きごたえがあるのは3幕だと思いますので、全部見る時間の無い方は是非
1:20:20~のシャルロッテの手紙の場と、
1:37:00~のシャルロッテとウェルテルの一番盛り上がるやり取りを覧頂くのが良いかと思います。
まず、シメオーニをご存じない方のために、得意としているエボリのアリアも貼っておきます。
ヴェルディ ドン・カルロ O don fatale
深く影の有る声でありながらも、決して重く太くならないのが彼女の魅力で、
シャルロッテでは声に更に柔らかさが増して、激烈公女様から、見事に教養高い人妻に適応されております。
イタリア物は上手く歌えても、フランス物になると響きのポジションがブレてしまう歌手は多いのですが、シメオーニはそこも全く問題なく、
鼻に掛かることもなく、奥に詰まることもない。
まるで良いソプラノが歌っているかのような中音域のピアノの表現と、余裕のあるフレージング。
多少高音では奥過ぎる感じがない訳でもなく、微妙なヴィブラートも掛かってしまうところは改善の余地があると言えなくもありませんが、中低音に関しては文句の付けようがないと思います。
タイトルロールのデムーロですが、
歌は非常に上手い歌手ですから、表現的に繊細な若者によく合っていると思います。
ただ、ちょっと色々小細工し過ぎなのと、パッサッジョより~ちょっと上の音、大体Fi~Gis辺りで鼻に入ってしまうことがあって、特に”a”母音は崩れ易い傾向にあります。
有名なアリア「pourquoi me réveiller」の最高音(Ais)もハマっているポジションは良いのですが、どうもズリ上げ気味に出したり、泣きを入れたりするのが勿体ない。
咳払いをするような感じの圧力を掛けて、喉が上がらないようにして高音を出す方法を使っていますが、このやり方だけだと、他の部分が非常に感受性豊かにピアノの表現をしているのに、高音のフォルテだけドラマティックテノールが出すような音圧になってしまうのは個人的には違和感があります。
もっと楽に出るでしょ!と言いたくなる(ノ∀`)アチャー
他のキャストは特に可もなく不可もなくといった感じでしょうか。
脇役が主役を食う公演も面白いですが、やっぱり男女の主役2人が頭一つ上手い公演というのは聴いてて飽きないですね。
あとは沈黙&マスクのカーテンコールさへどうにかなれば・・・
コレ怖くない?
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