情報が少ないながらも、少ない音源から異才ぶりが垣間見えるメゾソプラノMarie Lenormand

エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社

 

Marie Lenormand(マリー ルノルマン)はフランスのメゾソプラノ歌手。

若手の鬼才がまた一人現れたなといった感じです。
タイプ的には、日本でも特にワグネリアンから絶大な支持を集めているオーストリアのメゾソプラノ、Elisabeth Kulman (エリザベツ クールマン)に似ているかもしれません。

明るく抜ける透明感のある声と、その不純物のない声と同期して聴かれる明瞭な発音は最初の一声を聴いただけで、多くのメゾソプラノとは違うことがわかります。
更にレパートリーの面でも、オペラやオペレッタだけでなく、コンサート歌手としても一流で、寧ろオペラよりコンサート歌手としての活動の方が個性的で面白いという部分も、ルノルマンとクールマンの共通点かもしれません。

 

 

 

ジャン=マリー・ルクレール(フランスの古楽作曲家) シラとグロキュス
Venez, qu’Amour vous couronne

 

最近のフランス人歌手の潮流として、古楽を上手く歌う歌手が世界的にも一流の歌手になっていくパターンが散見されます。

特に女性歌手は、Véronique Gensから始まり、Patricia Petibon、Sabine Devieilhe,Marie-Nicole Lemieuxとトップクラスの歌手が全員ラモー、ヴィヴァルディ、ヘンデルといった辺りを歌っているのは興味深いです。

そしてルノルマンもその潮流に乗るように素晴らしい古楽歌手として現れた。
決して太い声ではありませんが、本来はソプラノ向きの声でメゾを歌っているのではなく、
低声歌手の声質で軽いソプラノのように歌っている感じ。
なので中低音の方が特徴的な声で、そこは元々ソプラノだったクールマンとは大きく違う部分かもしれません。

 

 

 

ベルリオーズ de La mort de Cléopâtre(クレオパトラの死)

https://www.youtube.com/watch?v=7U9zfJEucn8

こういう曲を聴くと、劇的表現ではまだまだ喉を押し気味なことがわかります。
まだ年齢的に早いのか、声にあまり合っていないのかは判断が難しいところではありますが、
ジャンスの演奏と比較すると、ルノルマンがフォルテで声が硬くなっていることがわかると思います。

 

 

 

Véronique Gens

ルノマンは発音も声も前にでているのですが、
この前に出るというのは場合によっては喉を押す(喉が上がる)ことに繋がってしまうので、
もっと高い音域(特にパッサッジョと言われる高音に抜けていく辺りの音域)でフォルテを歌う時には、発音はそのまま前でありながら声に奥行をつける。
所謂喉が開いた状態(喉が上がってない状態)で歌えるようにしないといけないと思います。
これはルノルマンの4~5分、ジャンスの12~13分辺りの演奏を比較すると分かり易いです。

 

 

マーラー Rückert Lieder(抜粋)

個人的にあまりフランス物には詳しくないためか、
それともドイツ物になると癖が顕著になるのかはわかりませんが、
”i”母音で喉があがった硬い響きになっていて、”a”母音が少し鼻に掛かり気味になるんですが、
それでも中低音は深さと透明感を併せ持った本当に良い響きで歌ってるなと思います。

もう少ししっかり聴き込んで記事を書きたいところでしたが、このリュッケルトリーダーはCDになっている訳でもなく、他の曲でも日本国内で購入できる彼女のCDはまだなさそうなので、リートの歌唱についてはもっとしっかり聴いてから改め得記事を書きたいと思います。

更に言えば歌っている映像があまりないので、オペラをどう歌っているのかがここでは検証できないのも残念なので、今後アップされる動画が増えたら記事を補足したいと思います。

何にしても、個性と技術を兼ね備えた今後の活躍が楽しみな歌手であることは間違えありません。

 

 

 

 

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