今年のマチェラータ音楽祭(Macerata Opera Festival)でのヴェルディ アイーダがYOUTUBE上に公開されたので紹介しようと思います。
マチェラータ音楽祭2021 ヴェルディ アイーダ(全曲)
<キャスト>
il re d’Egitto: Fabrizio Beggi.
Amneris: Veronica Simeoni.
Aida: Maria Teresa Leva.
Radamès: Luciano Ganci.
Ramfis: Alessio Cacciamani.
Amonasro: Marco Caria.
舞台の問題なのか、音質は決して悪くないのですが、どうも全体的に声が遠く聴こえるというちょっと残念な状況なので、今回は細かい部分が聞き取れず、動画の補足説明程度の記事になることをご容赦ください。
逆に、音声が遠い分合唱のバランスが良くて、有名な凱旋の合唱が素晴らしい出来です。
ソロより合唱の方が歌詞が聴こえるというのがちょっと意味わからないのですが、イタリアの合唱アルアルで、時々パートの目立ちたがり屋さんの声が飛び出して聴こえたりするのはご愛敬。
そんな演奏でも取り上げたのは、主役にガンチとシメオーニが揃っているということで、それだけで個人的にはテンション上がるからです(笑)
ヴェロニカ・シメオーニ、
ルチアーノ・ガンチという歌手をご存じない方は過去に記事を書いており、ヴェルディテノール、ドラマティックメゾがお好きな方には興味を持って貰えると思いますので、以下の記事もご参照頂ければ幸いです。
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アイーダを歌ったテレーザ=レーヴァは2018年に来日もしています。
兎に角高音が柔らかくてドラマティックな役を歌うソプラノに有り勝ちな鋭さがない。
包容力と強さを持ったソプラノはとても希少ですから、アイーダという役にこちらも適任と言えると思います。
結局は自分がテノールだからなのでしょうか?
ガンチの高音はやっぱり魅力を感じてしまう。
多少ズリ上げるような感じの部分もあるのですが、それも気づかれないように上手く誤魔化すためのテクニックの一環だと分かればこそ納得できるのです。
と言うのも、例えば”o”母音で高い音を出そうとすると、詰り気味になるか、”a”母音寄りに開き過ぎてしまうかで、中々良いポジションで解放された”o”母音を出すのが難しいので、ガンチは打点の瞬間だけ”a”母音にして、すぐに狭くして”o”母音にするという手法を時々使っています。
簡単に言えば、”o”ではなく、”ao”のような二重母音気味に歌っているので、時々ズリ上げ気味に聴こえるというのが正しいと思います。
それはそうと、シメオーニがあまり目立たないと思ったら、やっぱり最後は凄かった。
彼女の演奏を追ってきた私としては、この演奏の高音を聴く限りあまり調子が良さそうではないと感じるのですが、それでもラダメスとの重唱(大体1:50:00辺りから聴くことをお勧めします)からはそれまでとは違う感じにギアを上げて、アムネリスの一人舞台では迫力に圧倒される。
中音域でこれほど声で演技できる歌手は現在そういないと思います。
この辺りがテレーザ=レーヴァの歌唱で物足りなさを感じる部分で、
フィナーレになると、声は確かに美しいのですが、アムネリスに比べてアイーダの声の人間味のなさと楽譜通り美しく歌ってはいるものの、それ以上の感情の流れがフレージングから見えてこないので、余韻が残らない。
そんな感じで、やっぱり私はガンチとシメオーニの2人が本当に凄いなぁと改めて思った演奏だった訳ですが、皆様はどんな感想を持たれましたでしょうか。
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