Longborough Festival Operaのヴァルキューレが公開されましたので、
今回は、この演奏を聴いていきましょう。
DIE WALKÜRE Wagner – Longborough Festival Opera
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<キャスト>
Siegmund: Peter Wedd
Sieglinde: Sarah Marie Kramer
Wotan: Paul Carey Jones
Fricka: Madeleine Shaw
Brünnhilde: Lee Bisset
Hunding: Brindley Sherratt
Gerhilde: Meeta Raval
Ortlinde: Cara McHardy
Waltraute: Flora McIntosh
Schwertleite: Rhonda Browne
Helmwige: Katie Lowe
Siegrune: Carolyn Dobbin
Grimgerde: Katie Stevenson
Rossweisse: Emma Lewis
主要キャストについて簡潔に書いていきます。
最初に言ってしまうと、この公演では主役にそこまで傑出した歌手はいませんでした。
なので、気合を入れて聴いて評論がっつり書こうという気分にはなれず、少々雑な評論となっておりますので、今回は「やや」評論とさせて頂いております。
それでは、個人的に期待外れだった歌手から順番に書いていきます。
◆Paul Carey Jones ヴォータン役
決して悪い歌手ではないと思いますが、如何せんヴォータンを歌う声ではない。
バスバリトンとは言っても低音が鳴らないし、一般的に言う喉が開いていない声で響きが貧しい。
声質が明るめで、発音は明瞭なので、ブッファをやった方が良いのではないかと思う。
これははっきり言って配役ミスと言いたいところなのですが、1974年生まれということを考えれば、バスバリトンならまだ歳を重ねれば声に深みがでてくることを考えて、期待値はあるのかもしれません。
◆Lee Bisset ブリュンヒルデ役
声は硬質で澄んだ良いものを持っているとは思いますが、
なぜここまで横に開いただらしない開口母音を出すのか?
この曲の出だし、「sag」という言葉の”a”が子供みたいな平べったい声で、第一声を聴いた瞬間に後を聴く気が失せます。
ブリュンヒルデとしては、例えば有名なヴァルキューレの騎行が絶叫としか形容できない状態で、これではヴァルキューレの奇行と言った方が良いのではないかと思うような歌唱になってしまっている。
ワーグナーの歌唱を何か勘違いしているのではないかと思わずにはいられない。
◆Peter Wedd ジークムント役
重い声で、五線の上のAまではなんとか出ます。といった感じのテノールですが、
なるほど!パッサッジョ付近でのポジションは良いものを持っているので、テッシトゥーラが高いローエングリンのアリアも一応は楽譜に書いてある音を歌えている。
ただし、五線の上のFより高い音は、全部閉口母音気味に暗い音色になり、”i”母音は”e”母音寄りに広がってしまうため、何の母音を歌ってるかすら歌詞を知っていてもよくわからないことがあるレベル。
更にピアノの表現や低音で響きがなくなるので、言葉でレガートがかからずリズムも鈍くなるために、ただでさへ重い声が、声にテンポ感も引きずられて遅くなって、付点のリズム感なんど皆無なので胃もたれを起こしそうな演奏になっている。
この声でオペラ一本歌えることは称賛に価しますけど、生で聴きたいとは思えない。
◆Madeleine Shaw フリッカ役
軽めの声ながらも、中低音がしっかり言葉の飛ぶポジションで歌えていて悪くないです。
ただ喉が上がってしまうところがあって、高い音域になると喉声気味の平べったい声になってしまうのが勿体ない。
ただ、まだかなり若い歌手のようなので、上手く技術を磨けばElisabeth Kulmanのような感じになれそうな気もするので、将来性という意味ではこの公演で一番楽しみな歌手と言えるでしょうし、
実際、ここでの演奏でも、出演している女声歌手の中では一番聴き易いです。
◆Sarah Marie Kramer ジークリンデ
低い音域はとても素晴らしい音色と発音です。
なので、1幕の出だしは素晴らしい歌手かと期待したのですが、残念ながら高音が良くない。
”i”母音や”e”母音が横に開いてしまう傾向があって、どうしても硬い喉声になってしまう。
歌っている姿を見ていても、常に頬筋を吊り上げて、上の前歯を見せ気味に歌っていることから、喉が上がっているのは確実で、よーーく聴いていると、中音域でも時々喉に引っかかって声がザラついているのがわかります。
持っている表現力や声は本当に魅力的なだけに勿体ない。
◆Brindley Sherratt フンティング役
まさかのフンティング役を歌っている歌手が一番素晴らしいというオチです。
ゆったりしたフレージングと、しっかりしたレガート。
声は決して重くならず、響きには重厚感がしっかりある。
そして音色も、音域や母音の種類によってブレることなく安定していて実に良質なバスの声です。
この人がヴォータン歌った方がよっぽど良かったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
女声陣は全員喉が上がった硬い高音を出すため、とても3幕は聴いていられず全部聴くのは断念しました。
と言うことで、1幕だけなら聴いてもそこまで悪い演奏ではないです。
2幕はフリッカの歌唱意外はのど自慢みたいなモノなので個人的には聴く価値がないと思いました。
とりあえず耳直しのヴァルキューレが聴きたくなった方は以下をどうぞ
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