パリ国立オペラ(Opéra National de Paris)の2017年公演で、
プッチーニ、ラ・ボエームの映像がYOUTUBEにアップされていたのですが、
人気先行の女声陣と、実力派男声陣でくっきり分かれたキャストとなっていて、
聴いていて声のノビが明らかに違って笑ってしまうレベルで非常に面白いの紹介しようと思います。
PUCCINI: La Bohème (Manuel López-Gómez | Opéra National de Paris) 2017
<キャスト>
Mimì: Nicole Car
Musetta: Aida Garifullina
Rodolfo: Benjamin Bernheim
Marcello: Artur Ruciński
Schaunard: Andrei Jilihovschi
Colline: Roberto Tagliavini
ミミを歌ってるカーが終始暗く詰まった声で全然飛んでいないし、本当に発音が全然わからない。
ベルンハイムとの重唱ではその実力差が歴然と聴衆の前に晒されてしまって正直不憫。
ユニゾンを歌ってる時などは特にベルンハイムの邪魔をしてるようにしか聴こえないと言う・・・。
それに対してムゼッタを歌ったガリフッリーナは流石にそこま酷くないものの、軽い声にも関わらずどこかくすんだ声で、音色も一辺倒。フレーズ感もあまり感じられず、場当たり的に良い声を出している感じに聴こえてしまう。
一方の男声陣ですが、
ここに名前がでてなかったのですが、アルチンドロを歌たバスの方すら魅力的だった。
そして、現在トップクラスのヴェルディバリトンのルチンスキーが歌うマルチェッロは、
伸びやかな高音は勿論のこと、声だけでなくやはりフレージングもしっかりしているので、旋律美がしっかり浮き立って聴いていて気持ちが良い。
発声技術の良し悪しが一番現れるのは、結局重唱で心地よい響きになっているか。
あるいは、ユニゾンを歌った時に同じ音に聴こえるか?という部分なのではないかと思います。
はい。
ロドルフォを歌っているベルンハイムはもはや説明不要な現代最高のテノールです。
上手過ぎます。一人だけマイク仕込んでるんじゃないかってくらい声の飛び方がおかしい。
(個人的にはパヴァロッティのロドルフォより好き)
彼の技術については説明不要です。聴けばわかる圧倒的な実力ってやつです。
よって、メンズトークが展開される1幕の最初と、4幕の最初は最近のボエームの演奏の中でも屈指の演奏なのではないかと思います。
2017年パリのボエームのキャストを調べてみると、
ミミのダブルキャスト、カーともう一方が、何とヨンシェヴァだったのでした
(でもロドルフォはベルンハイムではなく、Atalla Ayanだった)。
カーだけヨンシェヴァと入れ替わった公演だったら現代でも最高級のボエーム演奏になっていたでしょうね。
アヤンの演奏が気になる方は、以下に2018年にアヤンがロドルフォを歌ったテアトロ・コロンでの映像を貼っておきますのでご参照ください。
と言うことで、結局ベルンハイムを礼賛する記事になってしまいましたが、
重箱の隅すらつつかせない演奏をされているので仕方ない。
批判できるとしたら誹謗中傷レベルの声や解釈が好きか嫌いかくらいではないかと思います。
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