私はテレビを持っていないので、テレビ番組は全くチェックしていないのですが、
偶然eプラスのメールで、某ソプラノ歌手のドキュメンタリーが国営で明日放送されることを知りました。
その番組の説明が以下
「ソプラノ歌手・田中彩子 境界線上のアリア」
初回放送日: 2022年3月13日
ソプラノ歌手・田中彩子。最高域の高音を武器に単身ウィーンで経験を重ねてきた。日本と欧州という垣根を越え田中が取り組むのがオペラと能の融合。その挑戦に密着する。
ソプラノ歌手・田中彩子、38歳。最も高い音域で装飾を駆使して歌う「コロラトゥーラ」という技法で世界で認められた存在だ。しかしその道のりは決して平坦ではなかった。日本そしてウィーンで大きな挫折を乗り越え、今も毎日、肉体の限界と闘う。その田中が自らの経験をもとに取り組むのが子どもたちとのコーラス。そして日本と欧州という異文化の垣根を越え、試行錯誤を続けるオペラと能の融合。あくなき挑戦の日々に密着する。
番組ページはコチラ
この説明文にある
【最も高い音域で装飾を駆使して歌う「コロラトゥーラ」という技法で世界で認められた存在だ。】
これは完全に虚偽です。
一応ウィーンでは20代前半の頃にオペラの舞台にも立っていたとのプロフィールがあり、海外オケとの共演歴もありますが、どんな演奏家や指揮者と共演したのかといった情報はなく、
オペラやコンサート関連の評論記事なんかも全然出てきません。
これで世界で認められた。と表現するのはあまりに無理があり、そのような言葉を使うのであれば、ドイツ、オーストリア地域で活躍した歌手ならば「Kammersänger(宮廷歌手)」の称号を送られていることが一つ目安になるかと思います。
因みに、この称号を与えられた日本人歌手では、バリトンの髙田 智宏さんがいます。
勿論、藤村美穂子さんのように英語版のwikiがあるような方は言うまでもありません。
こういうレベルになって初めて世界で認められた。と言えるのではないかと思うのですがいかがでしょう?
髙田 智宏さんの演奏
ついでに、
コロラトゥーラは装飾的な演奏法のことであって、音域は関係ありません。
こういうデタラメを垂れ流す国営放送は本当に有害で、
声楽を日常的に聴かない人にとって、
彼女が世界で認められた声だと錯覚させられてしまうことになるでしょう。
ついでに、
演奏会のチケットの値段見たら、ソロリサイタルのピアノ伴奏で
A席5000円
S席6000円
でした。
しかも、演奏会の演目には全く「オペラと能の融合」要素が見られません。
eプラスのチケットページはコチラ
価値のない商品を、価値があるかのように宣伝することは通常であれば許されないのですが、
声楽の分野では平然と国営放送によってそのような行為が行われている現状には怒りしか感じません。
なので、私の記事をご覧になってくださっている方は、メディアで取り上げられる声楽家のプロフィールは一切信用せず、ご自身の耳で歌手の良し悪しを判断なさって下さいませ。
あと、全く関係ない内容なのですが、
ロシア人演奏家の巨匠が次々と舞台を追われています。
有名なところでは、メトロポリタン歌劇場がロシア人を排除し、
カーネギーホールがゲルギエフの演奏を突如破棄しました。
フランスでも、トゥールーズで活躍し、頻繁に来日してN響も振っているトゥガン・ソヒエフが辞任に追い込まれました。
つまり欧米は、プーチン批判をしない音楽家を次々追放しています。
こんなことがあって良いのでしょうか?
公に批判した場合に報復を恐れている方もいるでしょうし、実際に支持している人もいるかもしれませんが、思想信条の自由は保証されるべきではないのでしょうか?
こんな状況だからこそ、今こそ活動の場を奪われているロシア人の優れた音楽家を日本に呼んで、日本のレベルを上げるべきではないのかと思うのですけどね。
少なくとも、アメリカがイラクへの侵略戦争を仕掛けた時、米国人音楽家にブッシュを支持するかどうかなどの尋問は行っていなかったでしょうに。
結局、流行病のロックダウンや、ワクチンパスポートやマスクの義務化でも露呈したことですが、西側の喧伝する「自由」とは見せかけだったということでしょう。
コメントする