Adèle Charvet(アデーレ「アデル?」 シャルベ)は1993年フランス生まれのメゾソプラノ歌手。
ちょと名前の読み方が不安で、月間音楽祭のページでは「アデーレ」と表記されていたのですが、フランス語だったらアデルになるのではないかと思います。
シャルヴェは父が作曲家ということもあってか、音楽の勉強も幼少期から受けており、
4歳で合唱団に参加していたようです。
活動の中心は2008~3013年にパリ音楽院で研鑽を積んでいます。
シャルヴェが師事していた歌手は、以下のような方々。
メゾソプラノ Elène Golgevit
テノールMathys Lagier
バリトン Edwin Fardini
この演奏、歌唱は決して悪くないのだが、録音環境のせいか、ピアノがやたらうるさく聴こえるのは私だけか?
後、YOUTUBEに音源がなかったのですが、ソプラノのMariamielle Lamagatという方にも習っていたようです。
こうして習っている歌手を見るだけでも、貪欲に幅広いレパートリーやメソッドを吸収しようとしている姿勢が伺えます。
シャルヴェのオペラデビューは、フランスではなくオランダで、
しかも歌った作品はドイツ物である、オットー・ニコライ作曲の『ウィンザーの陽気な女房たち』
2017年にはヴェルビエ音楽祭でエフゲニー・オネーギンに出演
囲碁は、英国ロイヤルオペラで、カルメンのフラスキータ
ボルドーでセビリャの理髪師のロジーナを歌い
現在は、フランス・トゥールーズのキャピトル劇場(Théâtre du Capitole de Toulouse)を中心に活躍しているようです。
一方でコンサート活動にも積極的で、ピアニストのFlorian Caroubiとデュオを組んで歌曲コンクールに参加して入賞もしています。
2016年 International Vocal Competitionでの演奏
1993年生まれということは、この時まだ23歳ということですから、日本で考えると大学院生がこのレベルの演奏をしているということになるので、やっぱり凄いですね。
コンクールの音源は前から聴いていたのですが、まさか20代前半の歌手だったとは思いませんでした。
そういう意味で、コンクールの演奏を聴く側としては演奏者の情報は正直あまり気にしてなかったんだなと改めて気づかされました。
それと、非常に個人的なことなのですが、ドビュッシーの歌曲があまり得意ではない/(^o^)\
ということで、この演奏についてはまず分析は横に置かせてください。
上には書いていませんが、バロック作品のオラトリオなどでのコンサート活動にも積極的なので、この情報だけでもレパートリーの広さが伝わるのではないかと思います。
それでは、シャルヴェの歌唱について詳しく診ていきましょう。
ヘンンデル Crude Furie
深く強い声でありながら、発音のピントがどんな表現をしてもブレないのが凄い。
ロッシーニを得意にしていることからも、アジリタ(音をコロがす技術)は申し分なく、
ドスの効いた低音と、薄い響きの高音を使い分けることもできる。
高音を出して下行してくる音程で、多くの歌手は響きが落ちてしまうのですが、
シャルヴェの場合は、薄い響きで高音を出しても喉が上がっておらず、低音で使う胸の響きがなくならない高音が使えているので、早いパッセージで音が下行してきても、低音に芯が失われずに発音も籠らない。
ただアジリタが上手いだけの歌手とは一線を画す演奏だと思います。
Rシュトラウス Morgen
ドイツ物はやや難ありか?
どんな柔らかい表現であっても、芯の通った母音でないとドイツリートらしさが出ない。
ヴァイオリンが名手のカプソンだけに、このような弱音でもノビのある響きにのっかるような音質でないと、シャルヴェの母音は色彩感はあるのだけど、それと響きのポイントがブレることは違う。
では具体的にどこがリートらしく聴こえないのか書いていきますと、
まず出だしから1:11までの歌詞が以下
「Und morgen wird die Sonne wieder scheinen
Und auf dem Wege,den ich gehen werde,
Wird uns,die Glücklichen,sie wieder einen
Inmitten dieser sonnenatmenden Erde …」
「そして あした 太陽は再び輝くだろう
そして私が歩む道々の上で
幸せな私たちを 太陽は再び一つにするだろう
太陽が呼吸している大地で …」
シャルヴェの発音上の問題点は色々あると思うのですが、頭や語尾の子音の出し方については好みもあるのでここでは問題点としては取り上げません。
個人的に気になったポイントはまず”e”母音で、アクセントではないところを押してしまう時がある。
出だしの「Sonne」の”ne”や
二行目、「 ich gehen werde」という歌詞の”verde”の”de”
三行目「Glücklichen」の”chen”など、響きのポイントもブレているし、所謂長母音、短母音、曖昧母音の区別があまりできてない感じに聴こえてしまう。
そしてもう一点が”n”が全然聴こえないこと。
特に最後の行「Inmitten dieser sonnenatmenden」という部分は顕著。
こういったところから、ドイツ物は良さよりは課題の方が目立つ印象を受けました。
ケッレリ Astri aversi’
フォルトゥナート・ケッレリ(Fortunato Chelleri)というイタリアの作曲家の作品のようです。
この演奏が今年4月で、YOUTUBE上で見つかる最新の音源だと思うのですが、
アジリタが勢い任せでなく、技巧的な部分以外でも、母音の音質がかなり整ってきて着実に実力を付けていることが聞き取れます。
かなり貫録すら感じる演奏をしてますが、まだ今年30歳なんですよね。
てことを考えるとこの人の才能はどこまで伸びるのか楽しみ!
今後歳を重ねればドラマティックなオペラ作品を歌っても不思議ではない声を持っているだけに、どんな演奏をしていくのかと同時に、どんなレパートリーを歌っていくのかも注目したいところです。
<シャルヴェのCD音源>
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