Anna Grycan(アンナ グリカン)はポーランド出資インのメゾソプラノ歌手
ワルシャワのフレデリック・ショパン音楽大学で声楽を学び、2019年に卒業。
その後、イタリアのヴェローナでマスタークラスを受け、ヨーロッパ各地でオペラやオラトリオの役を演じた。
特にモーツァルトやロッシーニの作品で評価されているようです。
2019年に音楽院を卒業ということは、
現在20台半ばといったところでしょうか。
モーツァルト コジ・ファン・トゥッテ Ah scostati…Smanie implacabili
2020年、ドレスデンでの演奏とのことなので、
日本で考えると大学院生くらいの頃の演奏になるのでしょうか?
最初この方の声を聴いた時は、ロシアのメゾかな?と思ったのですが、やっぱりスラヴ系の歌手の声質は影があって、個人的には、あまりモーツァルトって感じはしないのですが、それでも、発声に癖がある訳ではないのがグリカンの良いところ。
スラヴ系の歌手は発音が奥まる人が多いのですけど、
グリカンは低音でも声を飲むことがなく、高音でも広がりのある響きで歌えるという意味で、持っている声には癖があるものの、発声には癖がないなというのが私の感想です。
リスト Die Lorelei
モーツァルト作品の歌唱で評価されているとのことなのですが、個人的にはリートの方が好きですね。
影のある響きと、低音でも、声が太く粗くならずに繊細な響きに子音を乗せる技術あって、高音になっても響きの質が変わらない。
ただ、中音域は、ピアノの表現でちょっと上半身だけの響きに近いと言えば良いのか、下半身と繋がっていない感じに聞こえないこともない。
発音的には、語尾の”m”や”n”がわかりにくいというのはありますが、この辺りは録音状況や会場の響きも関係するので難しいですね。
ロッシーニ セビリャの理髪師 Una voce poco fa
この演奏が恐らく昨年で、前に紹介したリストとあまり録音年代はかわらないと思うのですが、
今までは空間が狭くして、細い響きで歌っている感じだったのが、この演奏は、発音のポイントは同じでも、響きのポイントは少し後ろになって、イタリア物に必要な解放感のある響きになっているのが素晴らしいです。
極端に言えば、今までは直線的で硬質だった響きが、
丸みがあって、芯がありながらも広がりのある響きの質になった。
明らかに発声の質が変わってます。
歌とは関係ないですが、この演奏会、ラインスベルク城オペラでのコンサートとのことなんですが、ピアノ伴奏が日本人の Sawako Yamadaさん。
この方を調べてみると、1990年代に随分とリート伴奏者としてコンクールに入賞していらっしゃるようで、どうやらオペラ畑でコレペティとしてたたき上げとかではなく、本来は歌曲の伴奏がメインのようです。
話が逸れてしまいましたが、
短い期間でこれほど声が変わるのが驚きですが、
同劇場でのコンサートでハバネラ歌ってる映像もありますが、そちらも立派なもので、この感じだと、かなりドラマティックな作品を今後歌えるようになりそうな気がします。
と言うことで、グリカンはまだまだどこまで伸びるか検討も付かない逸材と言えるのではないかと思います。
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