ジャルスキーとバラートが来日!

古楽のスペシャリストで、現在最も人気のあるカウンターテノール、
フィリップ・ジャルスキーと、
最近ジャルスキーとよく共演しているソプラノのバラートが来日というのは久々に嬉しいニュースでした。

しかもチケットがスター歌手を揃えて、オケが入るにも関わらず高い席でも1万円以下というのも素晴らしい!

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ジャルスキーは確か3年ほど前に来日予定だったのですが、コロナで来日できず公演がキャンセルになってしまい、全盛期から衰えが見えはじめたとは言え、一度実際の演奏を聴いてみたかった歌手なので、今回の来日は個人的にとても嬉しい限りなのですが、更にEmőke Baráth(エメーケ・バラート 1985~)も一緒というのが更に期待感を大きくしてくれます。

バラートはハンガリーのソプラノ歌手で、
今ではバロック作品を歌う歌手にとって登竜門として広く知られるようになった、インスブルックでのバロックオペラコンクール(Cesti Competition)で2011年に優勝。
その時の演奏が以下

 

 

 

大体26歳の時の演奏ですから、若さが良い方向に作用したスリリングな演奏でした。

それが現在どうなっているかと言うと、

 

流石に11年も経つと発声が全然変わるもので、
若い頃は、前の響きだけで軽やかに歌う細い息で歌っている感じだったのが、
現在は、奥行きのある深い呼吸で歌われるようになったと言えば良いのでしょうか?
ただ、個人的には若い頃の方が発音のポイント時には明るさがあって好きなのですが、これは好みや年齢を重ねることによる身体の変化もあるのでしょう。

完全にレッジェーロだった声も、芯が太くなり、リリコに近い声になっているので、より悲劇的な作品の表現に向いた声になってきたので、今回来日して歌う予定のエウリディーチェは期待感が高まります。

それにしても、細く透き通ったピアノの高音は本当に美しいですね。
中音域はちょっと籠った感じで、声の透明感とは裏腹に発音が不明瞭に聴こえてしまう部分もあるのですが、バラートの演奏を聴いていると、響きの深さと発音のポイントのバランスの難しさを改めて感じてしまいます。
曲や自分の身体の状態、歌う言語によって常に微調整し続けないといけないのが声楽家の宿命と言っても言い過ぎではないかもしれません。

これがモーツァルトではなく、ロマン派以降のイタリア物だとその辺りもあまり気にならないかもしれませんし、モーツアルトでもドイツ語の作品だったら確実に発音のポイントが奥過であるというのは明らかなマイナスになりますからね。

 

一方のジャルスキーですが、全盛期の歌唱から見るとやっぱり衰えは隠せないかなぁ。という印象です。

 

 

 

 

以下2018年頃にバラートとジャルスキーが一緒に歌った演奏

 

ジャルスキーの演奏は、年代によって結構声と言うか、響きがかなり違うので興味のある方は色々聴き比べて頂きたいのですが、最近はどうも喉声という言い方が正しいかはわかりませんが、レガートにも甘さが見られて、伸ばしている音にも以前のようなス~っと糸を引くようなノビがなくなったように感じます。

2018年の演奏は、ジャルスキーの方が低い音域を歌っていても、小さい音にも関わらず響きの余韻が広がる、これぞカウンターテノールの魅力といった声なんですけどね。

それでも、これほどのキャリアを築いた歌手を日本で聴ける機会はこれを逃すとないかもしれませんし、何と言ってもチケットの値段が高くないのでコレは行くこと確定です。

 

 

 

 

<以下は個人的な内容>

最近記事の更新ができていなかったのですが、
その理由は自分の演奏ともっと向き合わないとダメだなぁ。と思ったからで、
先日アップしたロミジュリの演奏に対して厳しい意見を何件か頂き、本当にその通りだなと思った部分もあったので、この三週間ほどは、あまり人の演奏を聴かずに自分の演奏のことについて試行錯誤していました。

しかし一方で、演奏は他人に評価されて初めて意味をなすのだと改めて気づかされました。
誹謗中傷と真っ当な批判は明確に区別しなければなりませんが、自分自身が批判を受ける立場となることで見えることもあって、そういう意味でも自身の演奏は恥を忍んでアップし続けることにしようと思って、前回のリベンジ?としてちょっと珍しいアリアを今年最後に歌ってみました。

 

こうして演奏する側と、聴衆側、どちらの視点からも今後記事を書いていけたら良いなと思いますので、投稿ペースは不規則になりますが、今後ともよろしくお願いします。

 

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