こちらはMiquel Ortega(ミケル オルテガ)というスペインの作曲者、兼ピアニスト、兼指揮者として活躍している方が開いたマスタークラスでの映像のようですが、
驚くのは出演者のレベルの高さです。
現役の学生か相応の年齢でこの演奏なら将来が楽しみ。
という方が何人かいましたので、紹介してみたいと思います。
Gala de Clausura Interpretacion de Opera, Zarzuela y Cancion Espanola 2020
残念ながら出演者の名前などがわからないのですが、
最初にカルメンのseguidillaを歌っているメゾからかなり良い演奏をしています。
チリメンヴィブラートが気になるというのはあるし、最後の高音はハマってないのですが、
それでもオルテガの伴奏の乗せ方も手伝って、決して重くなることなく生き生きした演奏を披露していますので、演奏としては決して退屈はしませんでした。
そして圧巻は13:08~のソプラニスタ
声だけ聴いたらどう聴いてもソプラノの声にしか聞こえない。
カウンターテノールは上手い歌手でも男性のファルセットだとわかるものですが、
この人の歌声は、男性だとわかって聴けばファルセットだとわからなくもないですが、
姿を見ずに声だけ聴いたら絶対男だとは気づけないと思います。
ちょっとこれだけ特殊な声だと発声的なものが一般的な男性歌手と同じなのかはわからないですが、
私の感覚ではこの声をいったい何年だし続けられるのかは疑問ではあります。
ですが、よくこれだけ高音が鳴るものだな~とは感心します。
抜けていくというより、喉がバリバリ鳴っている感じがするので、私はあまり好きな声ではないのですが、それでも訓練して身に着けられるような声ではありませんので、稀有な楽器の持ち主であることは否定しようがありません。
これだけ珍しい声であれば将来的に有名になっても不思議はありません。
歌った曲はベッリーニだと言うのはわかるのですが、曲名がわからず・・・。
28:35~連隊の娘のアリアを歌ったソプラノも中々良いですね。
見かけは勢いで歌っている感じなのですが、案外しっかり低い音の響きと高音の響きが繋がっていて、
演劇的に雰囲気と高音だけで誤魔化すような演奏ではないところに好感が持てます。
歌っている感じから高音バカっぽく見えて、高音より中音域の方がしっかりしているというのもなんか不思議な感じで面白かったですね。
この人と、一番最初のメゾの方は将来的にかなり活躍するかもしれません。
他は、最後の前にナクソス島のアリアドネのツェルビネッタのアリア(großmächtige prinzessin)
を歌った人がいましたが、ちょっと身の丈に合っていない感は否めませんでした。
それにしても、オルテガの伴奏は素晴らしいですね。
この人の伴奏を聴くだけで私としては勉強になりました。
歌い手を完全にリードしている。
上手く合わせられる伴奏者は日本にも沢山いるのですが、
欲しい所で左手のリズム感を出したり、時には先回りしてブレスをリードしたり、
本当に凄いなこの人!
皆オルテガ氏の音楽に乗せられて歌っているという感じでした。
こういう人の伴奏で歌ってみたいものですね。
今一つ、聞き取れなかったのですが、ソプラニスタは、I Capuleti e I Montecchi のアリアAscolta、と紹介しているような気がします。あっているかな・・・ ベッリーニのこのオペラは一度も聴いたことがありません。美しい曲ですね。
JKさん
いつもコメントありがとうございます。
わかりました。
仰る通り、カプレッティ家とモンテッキ家のロメオのアリア「”Ascolta, se Romeo t’uccise un figlio」でした。
そうそう、これは基本的にメゾが歌う曲なので、ソプラニスタが歌っても全然問題ないですし、
テノールが歌っているものもあったような気がします。