改めて戦前生まれの米国人ソプラノの巧さに感嘆した

最近はコレといった話題があまり見つからず、動画作成が中心となっているので、
記事を楽しみにして下さっている方には申し訳ないです。

動画は、記事よりは入門者向けに、と思っていたものの、やっぱり歴史を作ってきた昔の名歌手は外すことはできず、
今回は、久々に古い録音を色々聴き漁っていたのでした。

そして改めて思ったことが、戦前生まれの米国人ソプラノの巧さが半端ない。
ということでした。

 

 

以下今回作った動画です。

 

 

最近売れてる米国人ソプラノだと、例えば

 

 

Rachel Willis-Sørensen

戦前の名歌手達の歌唱と比較してしまうと、
無駄に声が太くて、重りを付けているような感じで全然レガートで歌えてません。

 

 

 

Angel Blue

https://www.youtube.com/watch?v=icGvXRH7nTw&t=301s

最近の歌手ではかなり好きな方ではありますが、
中音域がロブストになると言えば良いのか、繊細な響きのままで真っすぐに、高音と同じ緊張感で歌えている過去の名歌手達と比較してしまうと、この歌い方じゃないんだよな~と個人的には感じてしまうんですね。

 

 

 

Michelle Bradley

持ってる楽器は本当に素晴らしいし、強い高音と胸声を駆使した、少々ドスの効いた低音を使い分ける歌唱は劇的な表現が伝わり易く、ヴェルディのオペラの歌唱としてはとても華やかで盛り上がることは間違えないので、今後は世界中でドラマティックな役を歌うことになると思います。
ですが、ここまで低音と高音で響きの質が変わってくると、中音域をフォルテで歌えば必ず太くなるし、歳を重ねて筋力が弱ってくれば必ずヴィブラートが大きくなる。
太い息を支えるにはそれだけ負荷が掛かるので、やっぱり私は声に頼らず、もっと繊細な響きと言葉の節回しで劇的な表現をする歌手の方が好きです。

 

とまぁ、こんな感じで、今の米国人若手有望ソプラノ達の発声は、全く昔の歌手とは違うものになっています。

どっちが好きかは好みの問題だと仰る方がいるかもしれませんが、
カーステンやアマラは70・80歳になっても声を維持することが出来ているという実績がありますから、こういう良き伝統的な技術が消えないことを祈りたいです。

 

余談ですが、
オペラ入門者向けに以下のような動画も作ったので、もしオペラ重唱に興味のある方は、こちらのシリーズも今後ご覧頂ければ幸いです。

 

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