Eva Maria Ruggieri(エヴァ マリア ルッジェーリ)はイタリアのメゾソプラノ歌手
久々に若手の有望な歌手を発見することができました。
ルッジェーリは2020年にモデナ市立歌劇場(Teatro Comunale di Modena)の研修生になったばかりなので、現在20代半ばなのではないかと思います。
まだ動画が2つしかYOUTUBE上に存在しませんが、その動画から聴かれる彼女の歌唱は、癖がない暖かく響く中低音と、力みなく透明感のある高音域を備えており、音圧に頼らない一つ一つの言葉を大切に紡ぐような歌唱からは高い将来性を感じさせられます。
ビゼー カルメン Les Tringles des sistres tintaient
カルメンというと、どうしてもキャラの濃さが重要になってくるので、
彼女のような歌手からは青さが目立ってしまうかもしれませんが、
若いうちから形に拘って勢いだけで歌った結果、短命な歌手人生を送ってしまう方も多いことを考えると、年齢から考えると、とても理性的な演奏で好感が持てます。
ベッリーニ ノルマ Sgombra è la sacra selva
現在を代表するドラマティックメゾのグバノヴァの歌唱と比較すると、
ルッジェーリの声が如何に癖のない声かがわかります。
Ekaterina Gubanova
グバノヴァは勿論素晴らしい歌手なのですし、オケ伴奏とピアノ伴奏、録音状況の違いもあるとは思いますが、こういう曲だとレガートの甘さが目立ってしまいます。
逆を言えば、ルッジェーリが本当に美しいレガートの歌唱で、これこそベッリーニを歌うに相応しい発声なのではないかと思えてきます。
こうやってカルメンと比較して頂くと、
なぜ若い内はベルカント物を勉強した方が良いかということが感覚的に分って頂けるのではないかと思いますし、何より、レパートリー選びがどれだけ重要かということがわかります。
まだルッジェーリの音源はこの2つしかないのですが、
ベッリーニの音源だけでも十分注目に値すると考えて今回紹介することにしました。
今後どんな演奏をしてくれるかとても楽しみです。
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