フランスが誇るコロラトゥーラの申し娘 Sabine Devieilhe

第一回目に紹介したい歌手はソプラノのSabine Devieilhe(ザビーネ・ドゥヴィエル)
1985年 フランス生まれで現在最も脂が乗っていると言っても良いのではないでしょうか?

最近では、今年のエクサンプロヴァンス音楽祭でナクソス島のアリアドネ(ツェルビネッタ役)で驚くべき完成度の演奏を披露しました

 

 

 

Rシュトラウス ナクソス島のアリアドネ Gross mächtige Prinzessin

https://www.youtube.com/watch?v=pxwdFd3XAkY

これほどの超絶技巧で楽々と音を出しながら、丁寧に言葉を喋っているところがこの人の凄さ。

フランス人でこの役を得意としたソプラノと言えば、
Natalie dessay (ナタリー・ドゥセイ)が直ぐに思い起こされるところですが、
発声技術としてはドゥヴィエルの方が遥かに上でしょう。

 

 

こちらがドゥセイの演奏

いかがでしょうか?
まず言葉の明瞭さという面で全く違います。
その原因は、結局ドュセイは高音の声で全て歌っている(声というより音に近い)のに対して、
ドゥヴィエは中音域の響きを維持したまま高音まで出すことができている。
要するに、声を音として曲芸を聴かせるのではなく、全て言葉として処理しているのです。

そのことは、有名な夜の女王のアリアでこそ顕著に聞き取ることができるでしょう。

 

 

 

モーツァルト 魔笛 Der hölle rache

https://www.youtube.com/watch?v=OzqmgoCvXEE

いかがでしょうか?

最後のフレーズ

wenn nicht durch dich Sarastro wird erblassen!
Hört, hört, hört, Rachegötter! hört der Mutter Schwur!

この辺りの子音の出し方なんて、惚れ惚れします。
なんたって、ドイツ人のソプラノだって全くここまで発音できませんからね。

参考までにこの役を得意として、ドイツ人ソプラノのエッダ・モーザーを聴いてみましょう。

 

 

 

このように、コロラトゥーラの技術だけでなく、発音という面でもドゥヴィエルは飛びぬけていることが判って頂けたのではないでしょうか。

 

そんな彼女が母国語のフラインス物を集めたCDが昨年発売され、実に素晴らしい出来になっていました。

 

そして、一番推奨したいCDはラモー

こちらは、今までフランスバロックを聴いたことない方にこそお勧めです。
なぜって私がそうだったから。
ラモーの音楽ってこんなに愉しいのかと、きっと発券があることでしょう。
切れ味の良いオリジナル楽器のオーケストラに乗せて、
若々しく華やかなドゥヴィエルの技巧がセンスよく紡ぎ出す音楽は堅苦しさや複雑さとは無縁で、
古楽に今まで興味のなかった人もきっと引き込まれることでしょう、

 

 

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