期待感満載の若き才能 Claudia Muschioはどんなソプラノになるか想像してみよう!

Claudia Muschio(クラウディア ムスキオ)は1995年イタリア生まれのソプラノ歌手。

2018年にフェラーラ音楽院を卒業したばかりで、
JDフローレス、Sガナッシ、Eパラシオといったロッシーニのスペシャリストのマスタークラスなどで研鑽を積み、ペーザロのロッシーニ音楽祭などに出演しながら、
現在はシュトゥットガルト州立歌劇場の研修所に所属し、ドン・カルロの天の声や、
フィガロの結婚のバルバリーナなどの小さな役で出演が予定されている。

まだまだ世界的に活躍が期待される程注目すべき歌手と呼ぶには時期尚早かもしれませんが、20代半ばであることを考えると、今後一気にブレイクする可能性を感じさせる歌手であるので、今回は今後どのような声になっていくかも考えながら紹介したいと思います。

 

 

 

ロッシーニ ランスへの旅 Partir, o ciel, desio

こちらが2018のペーザロでの演奏。
23歳でこの演奏です。
若いにも関わらず、声に頼らずしっかりした技術で歌っているのが素晴らしいです。
コロがる技術と言うより、全ての音程を同じポジションで処理できている。
デヴィーアでも低い方はポジションがブレるのですが、そういう面から見ても、
最近のコロラトゥーラを得意とする歌手の中で最高レベルの発声技術を持っていると言っても言い過ぎではないかもしれません。

夫人とつく役をやるにはあどけないようにさへ見えてしまいますが、
声は全く平べったさがなく、喉声になるようなこともありません。

デヴィーアはこのアリアの音源が見当たらないので、
最近の同じような声質で一流のイタリア人ソプラノ、メイと比較してみましょう。

 

 

 

Eva Mei

発音のポイントはメイの方が前なのもあり、言葉はメイの方が明瞭に聴こえますが、
中低音の響きの質はムシオの方が断然良いですね。

中低音でも常に高いポジションの響きでありながら、
メゾっぽいやや影のある深い音色で、キャンキャン高音で超絶技巧自慢することに命を賭けているようなタイプのソプラノには絶対出せない色気があります。

メイも勿論技術はあるのですが、響いてるポイントはかなり鼻寄りだと思いますが、
それに比べてムシオは上の奥歯や頬っぺた辺りのはずです。
恐らくもっと唇とか舌の使い方が上達すれば発音が前に出ると思うので、
そうなったら理想的なルチアになるんじゃないでしょうか?
(ルチア役は狂乱のイメージが強いですが、意外とテッシトゥーラが低いので、中低音がちゃんと鳴る人じゃないと表現ができません。)

 

 

 

 

ロッシーニ 絹のはしご 二重唱(Io so ch’hai buon core)
バス Elcin Huseynov

デュエットは5:40~
残念ながら映像が良いとこで終わってしまうのですが、
中低音の響きが24歳のコロラトゥーラを得意とするハイソプラノとは思えない程大人びているのですが、それに劣らず自分が歌ってる時も、相手が歌ってる時もとにかく表情が生き生きしてますね。
ただ平べったくはならないものの、口のフォームには改良の余地がありそうです。
これだと糸を引くようなピアニッシモはできないと思いますので、
これからパパゲーナも歌うようですし、ドイツ物で特に必要な細くて真っすぐなピアノの表現と、子音の有効な立て方を覚えれば、近い将来世界的に注目されるような歌手になれる素質があると思います。

まだYOUTUBE上にはこの2本の動画と、2017年コンクールの映像がちょこっとあるだけなのですが、それでもムシオの才能は伝わったのではないかと思います。
これから声も更に成熟していくので、この人の低音の鳴りから考えると、
いずれはかなりドラマティックな役まで歌えるようになるかもしれませんが、
まずはベルカント物を中心に、ヴェリズモを歌ってもボエームのムゼッタ辺りに留めて欲しいというのが個人的な意見です。
やっぱりターニングポイントとなりそうな役はノルマと椿姫でしょうか・・・。
このどちらかをどのタイミングで歌うかなんかも含めて今後注目していきたいと思います。

今は情報が少ないので、
また新しい映像などがアップされたら、この記事は更新する予定です。

 

 

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