(祝)2020年で最高の男性オペラ歌手 Benjamin Bernheim

OPER! AWARDS 2020 で最高のオペラ歌手として、
メゾソプラノのAnita Rachvelishviliと
テノールのBenjamin Bernheimが選ばれました。

ラシュヴェリシュヴィリは今更驚くこともない程に名実ともにキャリアを積んだ歌手ですが、
ベルンハイムはまだ35歳、私も2018年の記事で現代を代表するテノールになるべき人である旨を記事にしていたので、ちょっと古い内容ではありますがこの受賞は結構嬉しい。

そんな訳で、改めてベルンハイムの歌唱を振り返ってみようかと思います。

記事の現物はコチラ

 

これ以外にも今後発表される別のOPER! AWARDSもあって、こちらはまだ発表は5月、
現在はノミネートされた団体や個人が掲載されています。

こっちのOPERA AWARDSではソロ録音の部門でベルンハイムはノミネートされていますね。

 

 

 

2020年の演奏から

ビゼー 真珠採り  2重唱 Au fond du temple saint
バリトン Ludovic Tézier

ベルンハイムの歌っている表情を見ていると、全く力みがなくて、
普通に呼吸をするかのように穏やかなブレスに乗せて響かせている。

勿論彼が特別な楽器を持っているのは確かだとしても、これ位の息で響きの豊な声は出るものなんだなということが改めて分かる。
先日、2021年最初のコンクールに関する記事を書きましたが、あのコンクールで高い評価を受けていたバリトン歌手が、以下に強過ぎる圧力で声を押し出しているかがベルンハイムの演奏を聴いた後に彼等の演奏を聴くとよくわかります。

 

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【評論】 Finals of the 2021 Carolyn Bailey and Dominick Argento Vocal Competition

 

 

 

 

ヴェルディ 椿姫 二重唱 Un di felice eterea
ソプラノ Rachel Willis-Sørensen

この二人の重唱は実に対照的で面白いです。
ウィリス=ソレンセンの歌唱は実に米国的と言いますか、
ベルンハイムと比較すると、それこそマスクでもして歌っているかのように籠った響きで、発音は全く何言ってるかわかりません。
その上ヴィブラートまでつくもので、一番最後の数秒を除いて重唱とは思えないほどバラバラに歌っているように聴こえてしまいます。

しかし、開いてがカウフマンだと同じような作った声同士でちゃんと重唱になるのだから不思議です。

 

 

 

 

こんな感じで、ベルンハイムの発声技術が高過ぎて、正直重唱の相手をする歌手は大変だと思います。
ソロで聴いても大抵の人には細かい歌手の癖が気になるということはないでしょうが、こういう歌手と一緒に歌ったら話は別で、発音や声がクリアに聞こえなかったり、伸ばしてる音が揺れていたりしたら直ぐにわかってしまいます。

 

 

 

 

グノー ロメオとジュリエット Ah Leve toi soleil

名門DG(ドイツ・グラモフォンの略)が一押しするテノールにまでなったベルンハイム。
もうこの演奏は非の打ち所がない。
これでまだ30代半ばであることを考えると、それこそ後世に残るような名歌手と言っても良いかもしれません。

芯があって真っすぐで高貴な声でありながら、硬さはなく、フレージングには圧倒的な柔軟さがある。
ピアノの表現でも響きのピントが合っていて、中音域でも声は太くならず、開口母音になっても響きのポイントがブレない。
今の学生なんかは彼の歌唱をとにかく研究したら良いと思います。
コレほど完成された発声技術を持ったテノールが過去を振り返っても何人いることか・・・。

何にしても、彼が現代最高の歌手の一人であるという意見には完全に同意です。
今後も怪我や病気をせずに長く活躍して欲しいですね。

 

 

 

CD

 

8件のコメント

  • ミク より:

    ベルンハイムさん凄いΣ(・□・;)
    あまり男声歌手は聞かないけど、この人は生で聴いてみたいです!

    • Yuya より:

      ミクさん

      コメントありがとうございます。
      これが本物だよ!と声を大にして断言できるテノールですね。
      素晴らしいの一言です!

  • のりしん より:

    Yuyaさん
    素晴らしい歌手をご紹介くださりありがとうございます。早速Amazon Music Unlimitedで調べだら、22曲のアリア集がありましたので全曲聴きました。久しぶりにスカッとしました。

    • Yuya より:

      のりしんさん

      全く仰る通りで、どこにも引っかからずにスカっと抜けていくような声。
      アルフレード クラウスのような抜け感でありながら彼ほど癖がない。
      個人的には既に過去の名歌手と比較しても遜色ないレベルだと考えています。

  • JK より:

    余計なことですが、フランスではバンジャマン・ベルナイムと呼んでいます(Hの音は発音しないので)。仏テレビのインタビューをネットで早速チェックしました(昨年のニュース番組)。最初はチューリッヒの歌劇場で歌っていたのだが、そこを飛び出してから結構苦労したそうです(信じられませんが)。名前がドイツ風なのでフランスではドイツ人歌手と間違えられて「どうせフランス物は歌えないだろう」と先入観を持たれたためとか。Yuyaさんと同じく、デシベルを競うような歌い方には否定的で、「さまざまな色合い、色彩感を出すために」自分はdemie voix(英語で言えばhalf voice)で敢えて歌う、と言っていました。ニコライ・ゲッダを最後に、demie voixの歌唱が忘れ去られてきた、とも語っていました。人が話しているのを真似する(アクセントやイントネーション)のが得意なので、ロシア語の歌も得意だとか(ロシア語を流暢に話せるわけではない、と断っていましたが)。彼のレンスキーを聴いてみたいですね。

    • Yuya より:

      JKさん

      私も名前からドイツ系のフランス人かなと思っていました。
      魔笛なんかも歌っているのを見たから余計にそういう印象を持ったんだと思います。
      確かにフランス語読みだとバンジャマンですね!ありがとうございます。
      以後は原語読みでフリガナを書くようにしますね!

      mezza voceはフランス語でdemie voixと言うのですね。
      「ニコライ・ゲッダを最後に、demie voixの歌唱が忘れ去られてきた」・・・なるほど。

      不思議なんですけど、大きい声を出そうとすればするほど広がりがなくて、遠くに言葉が飛ばなくなってしまうんですよね。
      それと、音色とか色彩感を使い分けるのは感受性であって、技術はただの技術でしかないんですよ。
      そこが本当に難しい。

      いくら弱音を美しく出す技術があっても、効果的に使えるための作品解釈や音楽性、感受性といった感覚がないと歌にはならないので、
      そういう意味でも「ニコライ・ゲッダを最後に」というかなり攻めた言い方をされたのではないかなと推測します。
      個人的にはフランシスコ・アライサも仲間に加えてあげたいですけど(笑)

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