バス・バリトンは必見! アブドラザコフのマスタークラス

現在最高のバス歌手の一人、イルダール・アブドラザコフ(Ildar Abdrazakov)
のマスタークラスがYOUTUBEに公開されていました。

ロシア語は全くわかりませんが、都度アブドラザコフが模範を演奏をしているため、何を指導しているかは大体理解することができます。

と言うより、バスアリアに留まらず、ファウストやスペードの女王のバリトンアリアでも模範演奏を披露しており、普通にGとか楽に出してるのを見ると、バリトンでもいけるんじゃないかと思えてしまうのですが、
まぁ、声種は音域ではなく、テッシトゥーラ(その人が持ってる平均的な声域)で決まるものですから、いくら彼が高音を出せてもバスはバスなんですよね。

 

 

 

私も流石に頭からお尻まで見た訳ではないのですが、生徒の方も全体的にレベルが高く、バスとバリトンだけのマスタークラスなので、個人的には低声歌手の方を教える時の参考になったのですが、女声の方にはあまり面白くないかもしれません。

 

アブドラザコフが注意を払っているポイントを見てみると、
やっぱり大事なのは”i”母音であると彼も指導していました!

0:49:30~

生徒に”i”⇒”e”⇒”a”⇒”o”⇒”u”で発声をさせる場面があります。
他の部分でも”i”母音を奥で飲み込むように発音している生徒に注意している場面がありますし、

3:39:00でも
フィガロのアリア「Se vuol ballare, signor Contino」の「si」の焦点が定まらず、”i”と”e”の中間のような発音になっているところを注意しています。

テノールやソプラノのような高声は当然としても、
例えバス歌手であっても、明るく軽い”i”母音が他の母音の基礎となることを裏付けるもので、声種に関係なく私がずっと記事に書いてきた”i”母音の重要性をアブドラザコフも指摘しているのを見て安心しました。

後、ロシア系の歌手は圧力で歌うイメージが強く、実際指導を受けている方にもそういう方が多くいましたが、
アブドラザコフはそういう硬く作った、一瞬良い声に聴こえるような声を
「喉を締めるな!と指導していますし、兎に角レガートで歌わせる。
そして彼自身が実に言葉の感覚と音色が豊。

 

このマスタークラスで感動したのは、1:53:40~
車椅子の方がマスタークラスを受けていて、アブドラザコフが大変丁寧な指導をされていたこと。

このように一流歌手のマスタークラスを障害のある方が受けている様子は初めて見ましたが、ロシアではそういう人でも活動できる土壌があるってことなのだと思うと、日本は本当に声楽後進国だなぁと思い知らされる。

 

 

 

こんな感じで熱いマスタークラスなのですが、
なんとこんな映像が大量にありまして、私も一つを見ている所だったりします。

 

そちらでは、セビリャの理髪師のフィガロのアリアや、椿姫のジェルモンのアリアを指導していて、相変わらず一緒に歌っている(驚)
この映像の3:28:15~は一度聴く価値があります。
コレがバス歌手の歌唱かよ!と思うハズですし、
太くて強い声にも関わらず、声を作ってるバリトンよりよっぽど明るくて軽い声質です。

軽いにも拘わらず低音は太い声で歌ってる生徒より豊かに響く。
本当にアブドラの発声技術は素晴らしい!

良い声の人は沢山いるのだけど、
歌が上手いことは声が良いというのとは全然違うのだということが、アブドラのマスタークラスを見てるとわかりますので、これは日本のバス・バリトンは必見ではないかと私なんかは思ってしまうのですが・・・果たしてどれくらいの人が興味持つのかなぁ。

 

 

 

 

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