テノール 吉田志門さん、ピアノ 野村七海さんの血と汗の結晶とも言うべき演奏会

昨日インターネット配信で、テノール歌手の吉田 志門さんが演奏会を行ったのですが、

その曲目のメインとなったのが、Rシュトラウスの「商人の鑑」という超が付くほどマイナーな曲集。

はっきり言って、ピアノが無茶苦茶難しいし、歌も勿論難しい。

何より問題なのが、内容で、
揉めた出版社を悪者にして、うっ憤を晴らすような詩が12編も選んでまとめられている訳で、
喧嘩をそのまま曲にしてしまったようなもの。

そのような曲に労力をつぎこんで好き好んで演奏しようなどという人は、
シュトラウスの全曲録音をしようとしてる歌手とかでもない限りいないと思います。

いや、いないと思っていましたが、ここにいたんですよ。吉田志門さんという方が(笑)
更に言えば、ソロの器楽曲なら、一人でマイナーな作品を掘り返して演奏会で披露するのはそこまでハードルが高くないんですけど、歌となれば勿論伴奏者が必要です。

私は、メトネルの歌曲を舞台で演奏したいなと思っているのですが、伴奏弾けるピアニスト探すのがまず大変なのです。
それと同じで、Rシュトラウスの歌曲も、伴奏が難しいものが沢山あって、この「商人の鑑」も例外に漏れません。

 

前置きが長くなってしまいましたが、苦労して習得しても、演奏機会など一生に後何回あるかわからない曲に情熱を傾けた、そんな彼等の演奏は一聴の価値があります。

 

 

譜読み、練習、合わせ、これらを収入に繋がる見込みもないのに、難しい曲でこなして
しかも演奏会として配信するというのは、よっぽどその曲や作曲家に対しての熱意や愛着がないとできません。

合理化、効率化が大事だと考える人なら、演奏機会の多い。
つまり、お金に繋がる曲を勉強するのが賢いと思うことでしょう。
こんな曲やったって誰得だよ!っと・・・。

でも、本来学問とか芸術は効率化とは真逆に位置していなければいけないと思います。
そうでなければ、過去の名作だけが繰り返し演奏されるだけで、しかも聴衆が喜ぶ演奏スタイル、演出、楽器編成だけが残る。
それでは何の発展もなく、新しい解釈も生まれません。
そういう意味で、私は彼等二人を芸術家として心から尊敬します。

2件のコメント

  • 吉田征夫(吉田阿吽旅人) より:

    コメントを送信しましたが、とどきましたか。

    • Yuya より:

      吉田征夫様

      コメントありがとうございます。
      前に頂いたコメントは届いておりますが、おそらく個人情報をお書きになったので自動で弾かれてしまったのだと思います。
      込み入ったお話のようなので、可能であればお問い合わせフォームからDMで要件をお送り頂けると助かります。

コメントする