イタリアの新星ソプラノ Federica Guidaの実力とキャリアは果たして釣り合っているのか?

Federica Guida(フェデリカ グイーダ)は1997年イタリア生まれのソプラノ歌手。

パレルモ生まれで、2017年にテアトロ、マッシモにデビューしていますが、その後2019年にウィーン国立歌劇場へアンサンブルソリストとして参加、後に夜の女王を歌っている。
その後にスカラ座にもデビューしていることから見ても、20歳から一流歌劇場へ次々出演しているスーパーキャリアの持ち主と言えるのではないかと思います。

その割にはあまり騒がれてる様子が耳に入らないので、とりあえずキャリアに見合った能力の持ち主なのかをYOUTUBEに上がっている動画から検証してみましょう。

 

 

 

モーツァルト 魔笛 Der hölle Rache

2019年の演奏です。
第一印象は、イタリア人なのにドイツ語の発音がしっかりしていることに驚きました。

歌唱に関しては、年齢を考えれば勿論素晴らしいのですが、
あくまで一流歌手になれるかどうか。という目線で見た場合、まだまだ勢い任せな部分が目立ちます。
ハイFを出す有名なフレーズは良いのですが、言葉が付くとまだまだ音質にブレがあり、発音する時に力んでしまっている印象を受けます。
このタイプの歌手が絶対的にぶつかる壁は、中低音の響きが細くなって、技巧的ではない部分で聴かせる歌唱ができないことで、グイーダの場合も、低音が籠り気味になってしまっているのは気になるところです。

 

 

 

グノー ロミオとジュリエット Je veux vivre

2020年の演奏
正直に言ってしまえばただ綺麗に歌っている以上の演奏にはなっていないので、そこまで圧倒的な才能と言えるのかは個人的には疑問です。

まず、上体だけでまだ歌っているので、胸の響きが全然ない。
そのために、中音域と高音がつながらず、結果的に言葉のレガートができないので、
ただ技巧や高音が綺麗に歌えている以上の歌にならない。
厳しいことを言ってしまえば、このような演奏だったら歌詞いらないんですよね。

 

 

声のタイプは違いますが、イタリアの若手ソプラノであれば、
グイーダより、フェオーラの方がよほど私は才能があったと思います。

 

Rosa Feola

フェオーラは1986年生まれなので、グイーダより10歳位上ですが、
この演奏は2014年のものなので、グイーダが後5年弱でこのレベルまで行けるか。

逆に、これだけの演奏をしているフェオーラがどれだけオペラファンに知られているか?
ということを考えると、う~ん、やはりこの世界は実力主義とはちょっと違う力学で動いていると言わざるを得ない。

 

今年の演奏は、デスピーナ役を歌った、コジ・ファン。トゥッテの全曲があります。

 

 

 

モーツァルト コジ・ファン。トゥッテ(全曲)

<キャスト>

leonora Buratto (Fiordiligi),

Emily d’Angelo (Dorabella),

Bogdan Volkov (Ferrando),

Alessio Arduini (Guglielmo),

Federica Guida (Despina)

Pietro Spagnoli (Don Alfonso)

 

 

グイーダのデスピーナは兎に角大げさな節回し。
と言うか、この演奏者のほぼ全員がそんな感じで、発声的にも音圧で押し押しの声を出すので、とても聴いていられない。
ただ一人、テノールのBogdan Volkovだけが、不自然に強い音圧ではなく、自然な響きで歌えている。
かなりレベルの高い歌手が集まっていると思しきオペラでもこの状態というのはちょっと個人的に萎えてしまう。

ドラベッラを歌っているEmily d’Angelo などは、21/22シーズンのスカラで、ドン・ジョヴァンニのエルヴィーラを歌う予定というのだから尚更だ。

 

何より、モーツァルトをヴェリズモオペラみたく、野太い声で押す女声陣には正直引いてしまうのは私だけなのだろうか・・・。

 

最近は某流行病のために、海外の演奏情報を発信することができていませんでしたが、
久々にイタリアの状況を探ってみると、あまり芳しくない状態だなというのが正直な感想でした。

 

次のスカラ座スターテノール候補として、大手レーベルDECCAからCDを出している英国傾イタリア人のテノールfreddie di tommasoも以下のような感じです。

その他もメーリやデムーロを未だに押しているのを見ると、
スカラのテノール人選には疑問しかありません。

 

 

 

21/22シーズンのスカラについては、以下のような動画が出ていましたので、
演目とキャストは確認できます。

勿論アグレスタのような一流のイタリア人ソプラノもいるのですが、
その他のヒロイン、あるいはそれに準じた役を歌う実力のあるソプラノの名前には、
ストヤノヴァ、モーリー、ラドヴァノフスキー、ヨンシェヴァとイタリア人が全くいないのを見ると、やっぱりイタリアはソプラノの人材難なのかなと思わずにはいられません。

因みに、今日紹介したグイーダは、マスネのタイースと、ヴェルディの仮面舞踏会で出演予定となっています。

個人的には売れるのが早すぎたなと思うのですが、私の予想を良い意味で裏切って、立派な歌手になってくれることを願いたいと思います。

 

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