平野 葉月(ひらの はづき)は日本のメゾソプラノ歌手、
2020年、第12回東京国際声楽コンクール・大学生部門 1位なしの2位
2023年多摩フレッシュ音楽コンサート 声楽部門最優秀賞を受賞
2026年現在、ウィーン国立音楽大学在学中とみられる。(情報が少ないため明確ではありません)
最近、他人の演奏を聴いても全然記事を書こうという気分になないながらも、
若手の演奏家が出ているコンサート映像なんかはチェックしていたのですが、
その中で久々に私の琴線に触れる演奏に出会えたので記事にしようと思いました。
それが平野さんなのですが、
まず、2020年のコンクールの映像が以下
https://www.youtube.com/watch?v=qKuV8DTYlxw
リンクの冒頭に歌っているのがそうで、
この時が大学四年生とのことなので、20代前半でしょう。
中低音より高音域の方が抜けがよく、
低音はあまり鳴らない感じなので、正直プロだったらソプラノとしての方が活路があるのでは?
と思えてしまう一方で、悪い癖がなく素直な声なので、これからの伸びしろの大きさを感じる。
というのがこの時点での個人的な感想でした。
そして、今回アップされた演奏会が以下
今年の春にハイデルベルクにて行われたリートコンサートのようです。
こちらの動画の、
23:58~
マーラー Die zwei blauen Augen von meinem Schatz
59:51~
John Musto(ジョン・マスト 1954~): Litany
が葉月さんの演奏
第一声から惹き込まれましたね。
柔らかく温かみのある響きながら、語尾の「m」や「n」まで神経が行き届いていて、
子音に硬さがなくレガートなのに明瞭に聞こえる。
レガートと子音の出し方のバランスは、どれだけ勉強しても正解が見えない、本当に難しくもあり、演奏に個性を出すための要素として面白い部分でもあるのですが、
20代でここまで味わい深い語り口で歌い出せるとは、驚きしかありません。
低い音域を、表現は正確ではありませんが、平たんな響きで淡々と歌い続けるってのはかなり難しくて、例えば、25:23~
「in stiller Nacht, wohl über die dunkle Heide」という歌詞、
「 über」の”ber”、「 dunkle」の”le”といった、本来のアクセントとは違う音で音域が上がる上に、
低い音で一番狭い”u”母音を出し、音程が上がって開口母音になるので、響きの質が変わったりして、真っすぐな音質で淡々と歌うというのが実はとても難しい。
こういうのをサラっとできてしまうところに、私のようなオタクは痺れる訳なんですが、
実際、舌に力が入っていると発音と連動して段差が出来てしまって、こういった音形でレガートに歌うことはほぼ不可能になる。
逃げる方法は、発音を曖昧する。という対応になるので、ここでレガートをとるか発音を取るかという選択を迫られる。
葉月さんの演奏を見ていると、表情に力みがなくて、
口の動きも最小限なんですよね。
ただ、あえて今後さらに良くできるポイントがあるとすれば、”A”母音がちょっと暗く感じることと、
”I”母音と”e”の長母音で特にフォルテになった時に硬さがあるので、ピアノ~フォルテまで音質がかわらずにコントロールできるようになれば、リリックメゾとしては言うことなしな気がします。
とは言えまだまだ若いですし、これからどんなレパートリーを歌っていくかはわかりませんが、
この知的な演奏スタイルを貫いてくれることを期待して、今後の活動に注目していきたいと思います。
コメントする