新国立劇場 2020/2021シーズンの 主要予定キャスト分析(男性編)

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新国立劇場 2020/2021シーズンの 主要予定キャスト分析(男性編)

前回の女性編に続いて、来期の新国の主要男性歌手を取り上げていきます。

 

◆関連記事

新国立劇場 2020/2021シーズンの 主要予定キャスト分析(女性編)

 

 

<ブリテン<真夏の夜の夢>

藤木大地 カウンターテノール
オーベロン役

 

 

Michele Angelini(ミケーレ アンジェリーニ) テノール
ライサンダー役

 

 

Daniel Okulitch(ダニエル オクリッチ) バス
ディミートリア役

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Henry Waddington(ヘンリー ワディントン) バリトン
ボトム役

 

 

中々男声陣は充実しているようですね。
特にアンジェリーニは素晴らしいです。
名前からしてイタリア人かと思われるかもしれませんが、ブルックリン生まれの完全な米国人です。
チェネレントラのラミーロ役や、セビリャの理髪師のアルマヴィーヴァ役を歌いまくっているロッシーニテノールで、なぜブリテンのオペラでこの人を呼んだのかよくわかりません・・・。
勿体なさ過ぎません?
久々に米国から出てきた軽い声の良いテノールで,後は響きが鼻に入り過ぎているので、もう一歩前に当たれば言うことありません。

 

 

 

 

ワディントンは全然動画がなく、ここで紹介しているものしかなさそうなのですが、
有り勝ちな大声だけが取り柄のエセヴェルディバリトンではなく、しっかりした響きで歌えるタイプのように聴こえます。
一方のオクリッチは、そこまで極端ではないまでも勢いで歌うタイプで、声そのものは明るいのですが、響きが乗らないのでせっかくの持ち声の良い部分が生かされていないように感じます。
ドン・ジョヴァンニのセレナーデなんかを聴けば、レガートで歌えず、高音は抜いてなんとかピアノの表現をしているということが明らかにわかります。

 

 

 

藤木氏の歌唱については、
どこか不自然で音色が一辺倒なのが苦手、というか面白くない歌なんですよね。
別にカウンターテノールが嫌いという訳ではありませんし、カウンターテノールが非常に繊細で難しい声種であることにも理解はあるつもりなのですが・・・。
だからこそ、ファルセットで正確に現代作品を歌える能力が、実声で歌うより凄いこともわかります。
ブリテンならどんな良い演奏になるのかな?

 

 

 

 

 

<こうもり>

Daniel Schmutzhard(ダニエル シュムッツハルト) バリトン
アイゼンシュタイン役

 

 

 

 

Piotr Micinski(ピョートル ミチンスキ) バスバリトン
フランク役

 

 

 

 

 

 

 

村上公太 テノール
アルフレード役

 

 

 

 

ludwig mittelhammer(ルートヴィヒ ミッテルハマー)
ファルケ役

 

 

 

Kurt Rydl(クルト リドル) バス
フロッシュ役

 

 

シュムッツハルトは良いリリックバリトンで、響きが前にあって明るく明瞭な発音でリートにも定評がある歌手ですが、ドイツ系のバリトンに多い硬さがあるので、オペレッタはどうなのかな?
そつなくこなしてくれるとは思いますが、私はミチンスキーのフランクに期待したいですね。
絶対面白い。ただ面白いだけでなく歌唱では変に過剰な表現はしない、こういうセンスの歌手こそオペレッタでは輝くもの。

村上公太氏は留学先はイタリアなのですが、ドイツ物も随分歌っているようです。
しかし、軽い声なのになぜこんなロブストに歌うのだろうか?
明らかに無駄な力が入っているので、ブレスが短かくなってあり得ないところでブレスをしているので勿体ない。

そしてリドル。
この人は持ち声で歌ってる人ではあるんですが、その持ってる声がすさまじい。
全盛期なら最高のハーゲン歌いでした。
流石にもう随分なお年で1947年生まれなので、70歳を超えているんですが、オーストリア人ということもあって、オペレッタが身体にしみついていることでしょうから、どんな演奏をしてくれるかはとても楽しみですね。

 

 

 

 

<トスカ>

Dario Solari(ダリオ ソラーリ) バリトン
スカルピア役

 

 

 

 

Francesco Meli(フランチェスコ メーリ) テノール
カヴァラドッシ役

 

 

恐らく今回呼んだキャストの中で一番の注目を浴びる歌手がメーリではないかと思うのですが、大野氏は「カヴァラドッシには日本でもおなじみのスピントテノール、メーリ」と評しています。
メーリがスピントテノール?
どう聴いても私にはリリックテノールなんですが、メーリがスピントに聴こえる方いらっしゃいますか?
ちなみに2009年のマントヴァ公爵はこうだった。

 

 

 

 

昔からちょっと鼻寄りの響きではありますが、役柄としてどっちが合っている声かということを考えれば、カヴァラドッシより絶対マントヴァ公爵です。

 

ソラーリはウルグアイのバリトン歌手で、深みのある声でスカルピアをやるには向いているとは思いますが、実際に聴いてみないと、YOUTUBEの音源だけでは声が飛ぶのかどうかは判断が難しいですね。
声に輝きがある訳ではないのですが、吠えている感じとは違う。
どこか生声っぽい感じもあるけど平べったい訳ではない。
なんとも良いとも悪いとも言えない歌手ですね。

 

 

 

 

<フィガロの結婚>

 

Vito Priante(ヴィート プリアンテ) バスバリトン
アルマヴィーヴァ伯爵

 

 

 

 

Filippo Morace(フィリッポ モラーチェ) バスバリトン
フィガロ役

 

 

この二人は記載によって、バスとなっていたり、バスバリトンとなっていたり、
バスというには軽くて明るい、バリトンと言うには太い声の持ち主。

プリアンテの方は芯がありながらも柔らかさと明るさがあって、映像のフィガロは適役といった感じなのですが、バリトンがやる伯爵の方だとどうなるでしょうか?
とは言えこの感じだとかなり期待できそうですね。

 

どちらかと言えば、モラーチェの方が伯爵向きの声に聴こえますね。
フィガロだともう少し低音に太さと温かさが欲しいところではあります。
発声的にもプリアンテに比べるとと硬さが感じられますし作ったような声に聴こえますので、実際に聴いてみて声が飛ぶのかはちょっと怪しいかな?と思います。

 

 

 

 

<ヴァルキューレ>

Daniel Kirch(ダニエル キルヒ) テノール
ジークムント役

 

 

 

 

Ein Anger(アイン アンガー) バス
フンティング役

 

 

 

 

Egils Silins(エギルス シリンス) バスバリトン
ヴォータン役

 

キルヒは典型的なパワー系テノールで、音楽性の掛けれも感じられない。
聴いてるこちらの喉がどうかなってしまいそうな歌です。

アンガー、シリンスは新国なり、東京の春音楽祭なりでリングをやると必ず出てくる歌手のような気がしますが、まぁ、彼等は鉄板と言えば良いのか、聴いて失敗しない歌手なのでこういう歌手が度々来てくれるというのは嬉しいことです。

 

 

 

 

<夜鳴きうぐいす/イオランタ>

 

Yuriy Yurchuk(ユーリ ユルチュク) バリトン
ロベルト役

 

 

 

Viktor Antipenko(ヴィクトル アンティペンコ) テノール
ヴォデモン伯爵

 

2人とも典型的なロシア系歌手の歌い方ですね。
とにかく喉の圧力でゴリ押しする歌唱です。
アンティペンコみたいな歌い方はロシア人がやればそれなりの声も出るでしょうが、残念ながら日本人テノールでもこういう歌い方をする人が結構いるのが現状。
典型的な吠える歌手ですね。

 

 

 

 

<ランメルモールのルチア>

Lawrence Brownlee(ローレンス ブラウンリー)
エドガルド役

 

 

 

 

Mattia Olivieri(マッティア オリヴィエーリ) バリトン

 

ブラウンリーは超高音を得意とするロッシーニや連隊の娘のトニオなんかをやってるイメージが強く、エドガルドを歌うには軽過ぎるように感じますが安定した歌唱は期待できるでしょう。
個人的な好みとしては、響きに奥行があまりなく、高音で売れたタイプの歌手ということで、ドラマを表現できるのかには疑問があります。

オリヴィエーリは太く深い声質ながら、喉声気味でレガートで歌えおらず、歌にフレーズ感が感じられません。
前回の新国でエンリーコを歌ったルチンスキーとは残念ながら比較にならないですね。

 

 

Arthur Rucinski

オリヴィエーリと響きの質が全く違うのがお分かり頂けると思います。

 

 

 

<ドン・カルロ>

 

Michele Pertusi(ミケーレ ペルトゥージ) バス
フィリッポ役

 

 

 

 

Luciano Ganci (ルチアーノ ガンチ) テノール
カルロ役

 

 

 

髙田智宏 バリトン
ロドリーゴ役

 

 

カフス専門サイト − CUFF.JP

 

このシーズンで一番のビッグネームは、私の中ではメーリではなくペルトゥージです。
こんな凄い歌手が新国に出て来るとは予想外!
ガンチもブレスが短かくフレーズの歌い収めが下手という残念さはありますが、声だけならとても良いリリコスピントです。
そして宮廷歌手である高田智宏氏がロドリーゴ。
リンクの最後にある

「Seit Dezember 2017 ist Tomohiro Takada Kammersänger der Landeshauptstadt Kiel」

(2017年12月以来、Tomohiro Takadaは州都キールの宮廷歌手です)

とあります。
男声陣だけなら最高に楽しみなキャストなのですが、女声陣に全く期待が持てないというのがこの演目最大の難点。

 

 

 

<カルメン>

Migran Agadzhanyan(ミグラン アガザニアン) テノール
ドン・ホセ役

 

 

 

Alexandre Duhamel(アレクサンドレ ドゥハメル) バリトン
エスカミーリョ役

 

 

アガザニアンは一見強い声のように聴こえますが、
高音では響きに高さがあるものの中音域では響きが籠り必要以上に声が重くなってしまっていますし、押し一辺倒な歌い方しかできません。
椿姫の終幕の二重唱を聴けば緩急やフレージングといったものが全然な歌唱であることがわかります。
これではミカエラとの重唱が思いやられますね。

 

 

 

ドゥハメルは逆にエスカミーリョをやるには声が柔らか過ぎる印象を受けますが、
高音のFがどんな感じで出るのか聴いてみないことには判断が難しい。
ただ、この歌唱を聴く限り押して歌う感じがないので、
ひたすら大声で吠え、時々わざとらしく猫なで声を出す気持ち悪い歌い方をエスカミーリョにはならなそうなので、それなりに期待はできるかもしれません。

男声はこんな感じです。
メーリ、ブラウンリー、ペルトゥージといったビッグネームが随所に並び、
何気に「真夏の夜の夢」のキャストが男女とも充実していおり、
「こうもり」も実力のある若手と大ベテランが共演するという意味では興味深い。
男声だけで言うならドン・カルロは熱いですね。
一番力が入っているのはヴァルキューレなんでしょうが真新しさはありません。
こうやって見ると、今シーズンのドン・パスクワーレのような、どのキャストをとってもハズさない公演は見当たらない印象ですが、さてどうなることでしょうか。。。

 

 

 

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