メゾソプラノの常識を覆す逸材Catherine Trottmann

脱毛ラボ ホームエディション

 

Catherine Trottmann(カテリーヌ トロットマン)は1992年生まれ(ローマ生まれ)のフランスのメゾソプラノ歌手
※現在本人のHPではソプラノとなっていますが、歌っている役はメゾソプラノの役なので、今後ソプラノとして活動する可能性は高いですが、ここではメゾソプラノとして紹介いたします。

6歳でフルートの勉強を始め、15歳から歌に転向、パリ音楽院在学中にウィーン国立歌劇場のメンバーとなりましたが、その後はフランス国内を中心に活動しています。

彼女自身の声について、2017年のインタビューでは
将来ソプラノになる可能性は示唆しながらも、メゾであることを主張しする一方、セビリャの理髪師のロジーナ役について、怖いのは高音より中低音である。と主張している辺り20代半ばの歌手とは思えない冷静さで自分の声を診ているように感じます。
では実際に声を聴いていきましょう。

 

 

 

 

モーツァルト フィガロの結婚 Voi che sapete

 

こういう単純な曲をどう歌うかを聴くと歌手の実力はよくわかるものですが、トロットマンはシンプルでありながら表情豊かに歌える能力があります。
何より素晴らしいのは、テンポを弄らないことで、モーツァルトの音楽は一定のテンポの中でカッチリ歌った上で表情を付けないと、どんどん音楽が重くなって間延びして聴こえてしまいます。
言葉の表現に関しては子音の扱い方に若干違和感を感じますが、ピアノ伴奏の上手さも相まって、サラっと身体の中に入ってきて、聴き終わった後に、

「あぁ、もう終わったのか?」

という感覚を覚える、在り来たりな言い方をすれば自然な演奏をされています。

 

 

 

 

フンパーティング ヘンゼルとグレーテル 二重唱Abendsegen
ソプラノ Leonie Renaud

 

2014年の演奏で、本人が好きな役として挙げていたのでここで紹介してみました。
ソロではないし、録音状況や曲的に言葉が分かり難くはありますが、
調和のとれた無理のない中低音を響かせていて、やっぱり完全なメゾソプラノの声に聴こえます。

 

 

 

 

ショーソン 歌曲集「温室」(全曲)

 

対訳全てを載せると長くなるので、歌詞が気になる方はコチラを参照ください。
この演奏を聴くと、中低音が高音に比べると硬く感じてしまいます。
勿論中低音も素晴らしいのですが、それ以上に高音の柔軟さが一般的なメゾの範疇を超えていると言えば良いのか、メゾらしい強い高音も、軽いソプラノのような柔らかいピアノも自在に操れる技術には舌を巻くしかありません。
この演奏を聴くと、トロットマンがメゾなのかソプラノなのかを議論することが無駄なことのようにも思えてきます。

 

 

 

 

ロッシーニ セビリャの理髪師 Una voce poco fa

 

ソプラノがこのアリアを歌う時のような装飾音を付けながらも、中低音はメゾの響きで言葉もしっかり前で響いています。
これが28歳のメゾソプラノの歌唱なのですから驚きます。
確かに声に若さはありますが、悪い意味では決してありません。
あえて言えば低音域は胸に落とさないと鳴らないのか、故意にそのような表現をしているのかはわかりませんが、強い低音を出そうとする時に若干押す感じがないとは言えません。。。とは言え、粗探しをした結果言えるのはそれくらいという程度の小さな問題です。

それにしても上手い歌手は皆姿勢が美しい。
身振り手振りを付けても、お尻~頭のてっぺんのラインがぶれずに、絶対前傾姿勢にならないし、
喉が上がってしまうこともないので、歌っている時に喉が殆ど上下に動きません。
この演奏を聴いてしまうと、メゾじゃなくて、やっぱりソプラノなんじゃないか?
と思う方もいるかもしれませんが、次に紹介する演奏はソプラノアリアを歌ったものです。

 

 

 

 

 

ドニゼッティ 連隊の娘 Salut à la France

 

私がフランス人だったら、こんな歌手の「フランス万歳」を生で聴いたら喝采を送ってしまうに違いない。
フランス人ソプラノで現在活躍しているフックスと比較しても全く遜色ありません。

 

 

Julie Fuchs

初めてトロットマンのこの演奏を聴いた時は、思わずハイEs聴いて
パソコンの前で

「ウソだろ!?」

と叫んでしまいました。
圧倒的に生まれ持った楽器が凄いとかでなく、
技術が洗練され過ぎていて、もう突っ込み所がないのです。
ディナーミクも自然で、この人ははっきり言ってガランチャより全然上手いです。
今のガランチャはもう重い役を歌い過ぎて声が変になっていますが、全盛期は素晴らしいリリックメゾでしたよね。

 

 

 

Elina Garanca

2001年の演奏でガランチャが25・26歳の頃の演奏です。
こうやって聴くと、今のトロットマンと同じような年齢の時は、まだ粗削りで、
響きが必要以上に太く、ロッシーニの歌唱にしては重いですね。
こうやって聴くと、トロットマンが20代半ばでどれほど高い完成度まで到達しているかがお分かりいただけると思います。

そんな訳で、今世界最高のリリックメゾは?
と聞かれれば、この人以外ありえないと思います。

 

 

 

 

 

 

 

プッチーニ ジャンニ・スキッキ O mio babbino caro

 

もう一つソプラノアリアを。
そこらの売れっ子ソプラノの歌唱なんぞ比較にならない完成度ですね。
そこらの売れっ子ソプラノの例を挙げると、

 

 

Aida Garifullina

 

 

 

Nadine Sierra

 

 

 

Anita Hartig

トロットマン程の才能なら、もう好きな役を歌えば良いと思います。
ツェルビネッタ歌っても驚かないぞ!
てのは言い過ぎですが、ここまでくると普通にヴィオレッタくらいは歌いそうな気がします。

 

 

 

 

グノー ファウスト  Faites-lui mes aveux

 

この演奏を聴くとトロットマンは中音域のフォルテの表現にはやっぱりまだ改善の余地があることがわかります。
これは2018年の演奏なのでそんな古くはありません。
とは言え、響きの硬さや、随所に声が掠れる部分があることを見る限り、この演奏の時のは特に調子が良くなかったのかもしれませんが、個人的には調子の波があってくれるのを聴くと、逆に同じ人間だと思えてほっとします(笑)

記事を探してみた限りフランス語のものばかり出てくるので、英語圏でもそこまで知名度がまだ高くない歌手なのかもしれませんが、
これ程の才能と容姿を備えているのであれば、数年の内に世界的なスター歌手になることでしょう。
日本には来ることは当分ないと思いますので、フランスへ行かれる方は是非チェックしてみてください。

それにしても、まだCDを出していないらしいので、
これだけの逸材を放置するとはレコード会社は何をやっているのか?と言いたくなります。

ソプラノに正式に転向して、ソプラノ役を舞台で歌ってる音源などが出てきたら、改めてソプラノとしてのキャリアもこの記事に更新していこうかと思います。

 

 

 

コメントする