おうちでライヴをしてしまう陽気なテノールAntoni Lliteresに元気を貰おう!

Antoni Lliteres(アントーニ リテーレス)はスペインのテノール歌手。

名前の正確な読み方がわからないので間違っていたらすいません。
リテーレスはポップス歌手としての勉強をしていたようですが、クラシックに転向して、Conservatory of Music and Dance of Mallorca というところで声楽を学んだようです。
そこではEduard Giménez というテノールに師事していたのですが、
世界的な知名度はそれほどではないものの、この人は中々良いテノールですね。

その後はスペイン国内を中心に、宗教曲のソリストやイタリアオペラで活躍しているようですが、不思議なことに脇役を歌っていた時期は、サロメや魔笛といったドイツ物も歌っていた痕跡があります。

とりあえず、初めてこの人の声を聴いたら驚くことでしょう!

 

 

Eduard Giménez

 

 

 

 

Funiculì, funiculà

この映像見た時は、ちょっと近所迷惑なお兄さんなのかと思ったら、
そこら辺の劇場にいるテノールよりよっぽど上手いという衝撃を受けて調べてみた結果、
普通にプロのテノール歌手だった訳ですが、
それでも、一流歌手と言っても過言ではない実力であることは間違えありません。
別に批判する訳ではありませんが、今大々的に活動が改めて紹介されている某歌手とは比べ物にならない実力であることは確かですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこのメッセージを見て、一気に彼のファンになりました。

O sole mioの場面で子供を映す辺りにも彼の人間性が素晴らしいものであることがわかるし、最後に「誰も寝てはならぬ」の「勝つだろう!」という歌詞を持ってくるあたりも、ただ有名で派手なアリアだから。
という思考ではないことは明らかです。

日本よりずっと大変なことになっているスペインで、このような活動をされている方がいることには驚かされると同時に心から応援したい。
きっと日本でこういうことしたら狂人だと思われるだけならまだマシで、公共の正義を盾にクレーム入れてくるヒトがいるにちがいない。
子供の遊んでいる声にすらクレームを入れるような人達がそこらにいる国ですからね・・・、

それでは、普通の演奏会でオペラアリアを歌うとどうなるか。
今度は彼の声についてもう少し詳しく聴いていきましょう。

 

 

 

 

ドニゼティ ランメルモールのルチア Tombe degli avi miei… Fra poco a me ricovero

安直な意見を言えば、アルフレード クラウスの再来ですか?
というレベルの歌手なんじゃないかと思います。
クラウスは歌を習い始めた時から平気でハイC近くまで出せて、歳を重ねるごとに低音が出なくなっていったという話を聞いたことがあります。

リテーレスの声にも、クラウスと通ずる圧倒的な安定感をもった高音があり、その響きに高貴さがある。
そんな訳で、サルスエラで比べてみましょう。

 

 

 

 

サルスエラ No puede ser

 

 

 

 

 

クラウスは90年という晩年の演奏なので、低音が全然鳴っていなかったり、声に瑞々しさが無くなってきていたりしますが、2人ともとにかく言葉が真っすぐ飛ぶんですよね。
だからディナーミクがしっかり言葉と連動して動機付けられているので、結果的に自然なフレージングで歌える。

それが全ての音域で、どんな母音でも均等に明るい響きでできるのが彼等の凄いところ。
これは才能と技術両方があってこその歌唱だと思います。

 

 

 

リテーレスとクラウスの大きな違いは、
真面目でストイックを絵に描いたようなクラウスとは対照的に、
リテーレスは陽気で遊び心があること。

いかがでしょうか?
私は彼の演奏でとても元気をもらいました。
是非とも生で聴いてみたいものですね。

 

 

 

 

 

ヴェルディ 椿姫 Brindisi

 

サクラを仕組んでソプラノが登場するとかもなく、
それでも自然に周りが反応する感じが本当に良いですねぇ。
それにしてもこの人は本当に上手い。

なぜこんな楽々と声が出て、しかも鍵盤を叩くようにスパっと音の頭の音が決まるのかしら・・・。

 

 

 

 

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