二期会関連の裏話

本日は、二期会に所属しながら活動されているテノールの方にお話を伺うことができましたので、
そこでのお話を、2回に分けて書きたいと思います。

まずは小ネタ的に二期会という組織のシステムについてです。

私の記事をご覧になってくださっている方からも、
二期会公演のキャストに面白みがない。
という意見を頂いたことがありますので、その原因が少しわかるかもしれません。

 

 

<会員と準会員>

まず、歌手のプロフィールに書かれる「二期会会員」という言葉は何なのかについてです。

研修所の本科を修了して、一定の成績以上であれば準会員
マスターを修了して、一定の成績以上で会員
となります。
※準会員からも、本公演の舞台を重ねれば昇級する仕組みがあるようです。

そして、会員になると年会費を払うことになり、準会員より会員の方が高い。

HPには

「※それぞれ予科、本科の修了時において成績により進級者の選抜を行います。
※本科およびマスタークラス修了生のうち当研修所が認めた者は、二期会会員または準会員に推薦されます。」

と書かれています。

 

 

<今の二期会について>

私は二期会イコール芸大関係者が中枢を占めているというイメージだったのですが、
現在は国音勢力が強いらしく、名前を挙げれば以下のようになっています。
※2022年3月現在の情報です。

 

澤畑恵美

 

 

加納悦子

 

 

黒田博

 

 

 

福井敬

 

以上国立音楽大学教授

 

 

大倉由紀枝

 

国立音楽大学特任教授

 

 

これだけの方々が現在の二期会の中心にいるということで、
なるほど、国音の大学院まで出て、上記のような方々の覚えがめでたいと、二期会でも出世コースに乗れる可能性が出てくるということなのかもしれません。

基本的に研修所で良い成績を取った人が優遇されるシステムのため、
研修所を出た後でどれほど上手くなっても(下手になっても)研修所を出た時の成績がかなり重要になってくるようなので、組織の権力者に気に入られるというのは大きなポイントとなりそうです。

先日行われたフィガロの結婚のキャストで主要なキャストを見てみますと、
与那城 敬氏や大村博美氏、大沼 徹といった実績十分な方意外を見てみますと

フィガロ役 萩原 潤氏
マスタークラス第41期修了。修了時に優秀賞を受賞

ケルビーノ役 郷家暁子氏
二期会研修所マスタークラス修了時、優秀賞及び奨励賞を受賞

伯爵夫人役 髙橋絵理氏
スザンナ役 種谷 典子氏、宮地江奈氏
フィガロ役 近藤 圭氏
ケルビーノ役 小林由佳氏
上記は全員国音出身

となっておりましたので、確かに前述の公式は当てはまると言えるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

◆研修所以外での出世ルート

日伊コンコルソ、
日本音楽コンクール
などの有名コンクールで優勝した実績のあること

 

 

ソプラノの木下美穂子氏

 

 

テノールの宮里直樹氏

 

といった方はその代表例で、木下美穂子氏は研修所では高い成績ではなかったそうなのですが、
大きなコンクールを総なめにしたため、起用せざるを得ない状況になったようです。

 

 

 

海外での活躍実績があること

この代表例は間違えなくソプラノの森谷真理氏でしょう。

メトで歌ったという実績はこの上ない評価になることは想像に難くありません。
※森谷氏は現在は二期会を抜けたようです。

 

フィガロの結婚のキャストで言えば、
マルチェリーナ役の石井藍氏 藤井麻美氏はこちらに含まれるでしょうか!?

 

主役級の新陳代謝が鈍いのは、こうした出世コースに乗った方々で占められている。
ということが挙げられるのではないでしょうか。

 

 

<力こそパワー>

集客能力はやっぱり大事です。
なんと、辰巳真理恵氏(辰巳琢郎の娘)は

 

前述した二期会のフィガロの結婚

の花娘役で、チケット500枚以上売ったという恐るべき能力を見せつけたそうです。

東京の春音楽祭で、かなり著名な歌手が東京文化会館小ホールでリサイタルやっても、客があまり埋まらないことがあったのを体験している身としては、この集客力がどれほど凄いかはよくわかります。

どんな役でも出しておけば客呼べるなら、そりゃ二期会も手放さないでしょうね。
ただ、本人は色々と批評を書かれることになるの、彼女自身は辛い部分もあるのかもしれませんし、
力を持ってる人にしかわからない苦悩もあるのでしょうが、

やっぱり、地道に技術を磨いてきた歌手が評価されることが日本の声楽文化の発展には欠かせないですし、オペラファンの中には横文字の歌手しか聴かない。
という人が出て来てしまう(日本の声楽レベルは低いと思われる)のは仕方がないことなので、
結局は目先の集客を求めた結果、将来的な二期会公演に足を運ぶ人を減らすことになるのではないでしょうか?

今回は、とても分かり易い例なので辰巳真理恵氏を例に出しましたが、
宮本亜門なんかもその典型だと思います。
オペラ演出の分野で、ちゃんと声を理解して演出できる人間なのか?と考えれば、
声よりは容姿や演技の巧さの方が重視されるのは当然の結果でしょう。

 

 

こんな感じなので、
もし、今学生さんや、社会人から二期会の研修所にいってプロの歌手を目指そう。
という方がいらっしゃいましたら、
●権力者に気に入られている
●容姿に自信がある
●特殊能力で集客できる

のどれかを持っていない限り、行ってもあまり意味がない。ということになるでしょう。

そんな訳で、次回は声楽指導の場面で使われる危険な言葉について書いていきます。
こういう内容は、絶対YOUTUBEにはアップできませんから、
動画を楽しみにして下さっている方には申し訳ありませんが、記事が立て込んでいる間は動画投稿がストップしてしまうことご了承ください。

もし、声楽家として活躍していらしゃる方で、
日本の声楽界の「ココがおかしい!」と思っているけど立場的に発言できない。
という方がいらっしゃいましたら、このようなカタチで私から発信させて頂きます。

 

 

 

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