テノール歌手Michail Svetlevのレッスンから学べること

以前ブルガリアのテノール歌手を紹介した際に取り上げた、ミハイル スヴェトレフですが、ご自身がレッスンを受けている風景がにYOUTUBE上にあり、中々興味深かったので紹介することにしました。

 

因みに、ブルガリアのテノールについては以下参照

 

 

 

 

Michail Svetlev with Maestro Kissiov/vocal lesson

残念ながらブルガリア語は全くわからないので、何を話しているかはわからないのですが、
発声練習を見ていると、大体の目的はわかるものです。

最初に使っている言葉は「vien」
”v”は上唇の前に響きのポイントがあって、”i”母音も前で鳴る母音なので、
”vi”の音を発声練習には用いるのは効果的です。
更に”ie”という二重母音にすることで、横に開き易い”e”母音のフォームを整えることができます。

これを応用させたのが、2:18~の「armonie di canti」
最初の部分と、2:47~のを比較し、後半の声に対して教師のKissiov氏が頷いています。
コレは「armonie 」の”ni”と”e”の響きの質がばらけていないからです。
最初の方は”ni”から”e”へ移行する時、微妙に喉を押してしまっていて、
発声練習ではそれほど問題は起きないのですが、この微妙な違いが曲を歌ったり、長く歌うと徐々にブレが大きくなってくる。

こういう部分をしっかり聴き分けられる能力が声楽教師には求められるのですが、
そもそも母音の音質を揃えることの重要性を音楽大学程度の教育では習いませんので、まず音大を出てもこういう練習をしている人は少ないと思います。

この後も延長線で、6:08~フェデーリコの嘆きのフレーズを使って、徹底した響きの質を揃える練習をしていて、パッサッジョな上に発音としても力んで潰れ易い「il dolce」がとてもキレイにハマっていて、続く「sembiante」の”bia”で響きを落とさず声を解放する。
イタリア物が発声に良い。とよく言われる所以は、発声練習として使えるようなフレージングや発音で書かれている曲が沢山あるからなのだと思いますが、

イタリア語は子音が少ないから。とか
母音が明るいから。といった理由だけで片づけてしまっている方が時々見受けられるのはやっぱり違うと思います。

ヴェルディは特にそうですが、歌手の身体の使い方まで考えて書かれているいることに意味がある。

そして改めて思うのは”i”母音が正しいポジションで響かないと他の母音も揃わない。
ということ。
これは絶対なので、歌を勉強されている方はハミングよりも”vie”という音を使って響きを揃える練習をすることをお勧めします。

 

2件のコメント

  • アマチュア合唱 より:

    とても参考になりました。普段の歌唱も勉強になるのですが、発声練習動画では「なにを大切にしているか」を言語の壁を超えて感じることができるので本当に勉強になるなと思いました。

    • Yuya より:

      アマチュア合唱様

      コメントありがとうございます。
      上手い歌手の練習風景は本当に参考になります。

      アスリートでもそうですが、一流は無駄なトレーニングしませんから、やってることには必ず何かしらの意味がありますので、
      それが見えてくると本当にただ練習風景を見てるだけでも面白いですよね。

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