International vocal competition s-Hertogenbosch2022

International vocal competition s-Hertogenbosch、略して”IVC”のファイナル映像がYOUTUBEに公開されましたので聴いていきたいと思いおます。

入賞者等コンクールの詳細についてはコチラを参照ください。

 

IVC Final 2022

動画の再生時間はかなり長いですが、実際に出演者の歌っている時間はそこまで長くありませんでした。
とりあえずここに出ている中で、気に止まった歌手だけピックアップしていきます。

 

 

 

Linsey Coppens

メゾソプラノなんですが、低音を出している時の音質から高音が自然に抜けて、
声ではなく言葉で、所謂喋るように歌えているという面でとても完成度の高い歌唱だと感じました。

メゾと言うよりソプラノに近い感じの声なので、メゾソプラノという声種に深みや厚みを求めると物足りなさの感じる声なのかもしれませんが、よっぽど特別な楽器を持った人でない限りは、こういう歌唱をお手本にするのが良いのではないかと思います。
このまま歳を重ねていけば一流歌手として檜舞台で主役を張っている可能性は十分あると思います。

 

 

 

 

 

1:40:50~歌っているjolan slavikovaも、選曲や、歌唱に華がないという部分がコンクールとしてはマイナスだったのかもしれませんが、安定したフォームで歌えていて良い歌手だと思いました。
響きがちょっと奥まっていて、低音では前に飛ばず、高音では太くなってしまうので、どうしても小さくまとまった演奏に聴こえてしまう部分があるのですが、深い響きを持っているというのは魅力的で、歳を重ねて身体ができてきて線が太くなっていけば大きく伸びる可能性があるのではないかと感じました。

 

 

Andrei Danilov

このコンクールで賞を総なめにしているテノールなのですが、
個人的にはあまり好きになれません。

決して重い声ではありませんが、芯の強い声で、高音も苦にしないタイプの歌手ですが、
私には所謂、”喉を押してる声”に聴こえてしまいます。
かなりドミンゴに近い発声ではないかと・・・。

どんなフレーズを歌っても圧力が強過ぎて声に柔軟性がないので、
ボエームの重唱を歌っても全然甘さがない。

それでもコンクールで選んだプッチーニの『妖精ヴィッリ』は、彼の長所を生かして短所を消す良い選曲だったと思います。
プッチーニのドラマティックな作品は、声があれば表現的な部分はオケが補助してくれる部分がありますので、ほぼ全てを自分でコントロールしないといけないヴェルディとは全然違います。

 

それにしてもこのコンクール、
選曲が自由過ぎて、プッチーニのアリア、マーラーの歌曲、モーツァルトのミサ曲
これらの演奏をどうやって順位付けしているのか疑問です。

大学受験とかならまだしも、国際コンクールであれば、当然審査員もそれなりに名の知れた方を呼んで来るのでしょうし、そういう方がオペラ歌手なのかコンサート歌手なのか、イタリア物に強いのかドイツ物に強いのか、あるいはバロック作品に精通しているのかなどで審査基準が大きく変わってくることは間違えないので、そういう意味でもある程度曲には制限を付けるべきだと思います。

例えるなら、大半の出場者がショパンやリストやシューマン弾いてる中で、ソラブジやらクセナキスやらの近現代作品弾く人がいたら同列で評価できるのか?
ということですね。

こういう部分がコンクールにはあるので、勿論圧倒的に誰が聴いても飛び抜けて上手い人がいれば別ですが、大抵の場合審査結果というのは審査員との相性がかなり大きいのではないかと思います。

 

 

4件のコメント

  • ふくろ〜 より:

    いつも面白く見ております。最近のコンクールは全て映像に残されてよく見れるのである意味とても興味深いです。なぜこの人が…?という方が一位だったり、素人目に見ても聞き苦しい声が他を押さえて一位とか…最近だと日本のコンクールも映像公開されている事もあり見るのですが…え?となる事がチョコチョコ…。管理人さんは基本的に海外ばかり注目されてますが、もしできたら日本の今後の声楽界のためにもそういった日本のコンクールのアーカイブを見てもらって独自目線で再審査&ピックアップしてみる企画をお願いしたいです。最近だとグリエルミやデヴィ夫人のコンクールが公開されており、面白かったです。お手すきの時に是非!

    • Yuya より:

      ふくろ〜様

      コメントありがとうございます。
      日本のコンクールは、静岡国際みたいな一部を除いて審査員と上位入賞者の関係を見れば、
      「あぁ、そういうことね」となってしまうことがよくあります。

      作曲家のブルーアイランド氏が半分冗談で「審査員全員にレッスンを習って優勝した子がいたんですが、優勝賞金よりレッスン代の方が高くついたんです。」
      なんてこと言ってたりしたんですが、昔ほどではないにしろ、現在もそういう風土はあると思います。

      後は、根本的に一声聴いて日本人とわかる、主にソプラノ歌手には、どうしても批判的なコメントになってしまうことから、褒めるべき演奏が少ないコンクールをあえて取り上げても、読み手に不快な思いをさせるのではないかと考えて、日本のコンクールは、よっぽど上手い人が出ていない限りは取り上げないことにしているんです。

      • ふくろ〜 より:

        Yuyaさま

        返信ありがとうございます。
        やはりそういう風土はあるのですね…逆にそういう中でも入賞者でなくても良さが多少あってこう伸びそうな人とかこの人は所謂日本人の中でもこんなふうに伸びたら…みたいなのをYuyaさんの目線で書いてくれたら良いんだろうなぁと思った次第です。よっぽど上手い人がよっぽど上手くなる過程もあると思いますし…批判的な部分もあるかと思いますがそういうところをなんとなく見出してる記事も見てみたいなぁと思っています。最近のコンクールはだいぶYouTubeなどでも公開されているのでちょっとでもYuyaさんの琴線に触れそうな人を知ってみたいなぁなんて思ってます。勿論無理にとは言いませんが…

        • Yuya より:

          ふくろ〜様

          デヴィ夫人の主催コンクール
          第一回は知ってたんですが、第二回が最近動画にアップされてたんですね。
          グランプリになってた中川 郁文氏を聴いた感想として、記事で取り上げるのはやっぱり辞めます(笑)

          本当は
          国際声楽コンクール東京とかも取り上げようと思ったんですが、
          学生ならともかく、国際コンクールと釘打って日本人しか出場してないコンクールって・・・
          と思うと、どうしても「日本人にしては」という枕詞を付けづに称賛することが難しい。
          そういうのは嫌なので、もし海外の歌手と比較しても遜色ない歌手を発見しましたら、その時は取り上げます。

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