英国のオペラ文化崩壊を止めろ!

このところ経済的に混迷している英国ですが、その波はオペラ文化にも波及し、
大幅な文化予算が削減されることがニュースになっていました。

 

特にイングリッシュ・ナショナル・オペラ(English National Opera)はかなり危機的な状況に陥ることが見込まれているようで、名バス・バリトン歌手、ブリン・ターフェルが中心となって、資金を復活させるための請願を開始しし、11/9の時点で約13,000の署名が集まっていることが報じられていました。

現在の英国含め先進国は大幅なインフレに悩まされていますし、英国は既にリセッションの入り口に立っている。との見方も出ていますので、チケット収入の面でも確実に落ち込むことが予想されている。
加えて、イングリッシュ・ナショナル・オペラは、21歳未満のチケット無料なんてこともやっていたそうなので、これもできなくなるでしょう。
公的な支援が必要な時期にこのような処置を行うことは、大げさでなく文化の破壊と形容して然るべきものではないかと私も思います。

ただでさへ、2019年から芸術家は流行病の影響で活動が制約されていましたから、このダメージは計り知れませんし、このようなことがあれば、当然若い才能のある歌手だって奨学金を受けて研鑽を積むことは難しくなるでしょう。

こうなってくると、世界でも有数の声楽コンクールであるBBC Cardiff Singer of the Worldの来年の開催もどうなるか心配になってきます。

 

これはあくまで英国の話ですが、ヨーロッパ諸国もインフレはまだ天上に達していないとの見方で、EUの中央銀行(ECB)は今後も更なる大幅利上げを行う可能性が高いことを考えると、ドイツの劇場だって安泰とは言えないかもしれません。

 

私達のような聴衆にできることは演奏会に足を運んだり、ターフェルが呼びかける署名活動に参加することくらいしかできないかもしれませんが、なんとしてもこのオペラ文化破壊の衝撃を止めなければならないという想いです。

今回はあまりに大きなニュースだったので、いつものような記事とは違う内容になりましたが、声楽が好きで私の記事を見て下さっている方にとっては他人事ではありませんので発信させて頂きました。

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