マリア カラス生誕100年記念ガラ・コンサート

世界で最も知名度が高いと思われるソプラノ歌手、
マリア・カラスの生誕100年記念コンサートがYOUTUBEにアップされていました。

 

出演している3人のソプラノ歌手はそこまで超有名な人ではないのですが、
実力は確かな歌手ということで、色物的な演奏会になっているのかと思ったら、かなり玄人好みな内容となっていました。

 

TRIBUTE TO MARIA CALLAS 100 YEARS FROM HER BIRTH | Olympia City Music Theatre 2023

 

Singers: Karine Deshayes, Klára Kolonits, Maritina Tampakopoulos
Conductor: Sebastiano Rolli
Orchestra: City of Athens Symphony Orchestra
Chorus: City of Athens Symphony Chorus
Chorus Master: Stavros Beris

 

 

Karine Deshayes(カリーヌ・デエ 1972~)はフランスのメゾ・ソプラノ歌手

ソルボンヌ大学で学んだ後、パリ音楽院で声楽を専攻。
2006年に『ファウスト』のシベール役でメトにデビューし、以来フランスの劇場を中心に活躍しています。

モーツァルトやロッシーニ、マスネなどのオペラや歌曲を得意としており、CDも多数録音しています。

 

 

 

 

 

 

フォーレの歌曲を得意としているということで、音源を探してみたらありました。

ちょっとメゾっぽい影のある中音色と柔らかな響きがよくフォーレに合っていますね。

オペラより歌曲の方が好きかも。

 

 

 

Klára Kolonits(クララ コロニツ 1969~)はハンガリーのソプラノ歌手
リスト・フェレンツ音楽大学で声楽を学び、1995年に卒業。
2002年からはマジャル・アッラミ・オペラハーズのカマラエネケシとして活動しており、モーツァルトやベッリーニ、ドニゼッティ、ヴェルディなどのオペラや歌曲を得意としているようです。
特に技巧を駆使したドラマティックコロラトゥーラとして評価が高そうですね。

 

 

個人的には少々喉が上がった声に聞こえてしまうのですが、ブレスコントロールは素晴らしいですね。

自分の楽器の容量をよく理解している歌唱で、細い息で上手く響きをコントロールしていて、必要以上の声が太くなったり、絶叫したりしない。
この演奏が2022年なので、もう少し若い時の演奏はどうかと探してみると10年前のものがありました。

 

 

悪くはないですが、こういう作品を歌う歌手としては華がない。
という部分が聴衆にとってはどうしても気になってしまうかもしれません。

軽く明るくキラキラした高温でコロがる歌手でないとラクメは映えない。
そういう意味では、暗めの悲劇を歌った方が合う声ではあるので、ドラマティックコロラトゥーラとして評価されているというのはそうなのかもしれませんが、ドラマティックと呼ぶにはちょっと空間が狭く胸の響きがないために浅く感じてしまう。

 

 

 

 

私の中で、ドラマティックコロラトゥーラと言えば、エッダ・モーザーみたいな声をイメージしてしまうんですよね。

 

 

Edda Moser

 

 

Maritina Tampakopoulos(マルティナ タンパコプロス)はギリシャのソプラノ歌手
ジュリアード音楽院でオペラの学位を取得し、『ラ・ボエーム』のミミやヘンデルの『ルクレツィア』などでデビューしました。

ヴェルディやプロコフィエフ、ドニゼッティなどのオペラや歌曲を得意としており、イタリアやドイツ、チェコなどの劇場や音楽祭で歌っているようです。

 

 

 

カラスと言えばギリシャのソプラノですから、
やはりギリシャ出身で、ドラマティックな作品を歌えて技巧もこなせる歌手がいないと始まらないということでしょう。

 

 

この演奏会の出演歌手はこんな感じなのですが、
個人的な意見としてはKarine Deshayesが他のお二人より頭一つ抜けてるかなという印象です。
演奏会の1:13:40~からの演奏(ロッシーニの「アルミーダ」というオペラのアリア)なんかを聴いても、
どの音域を歌っていても口のフォームに力みがなく、胸の響きとも連動しているので、高音でも喉が上がったような鋭く細い響きにならず、奥行きがあって角のない深い響きで歌えています。

更に技巧的なパッセージでも、ただ音を正確に出すというのではなく、フレーズの方向性が見えて、低音の太い胸声にも自然に繋げられる。
本当にこの演奏は立派

マイナーなアリアな上にメゾが歌う曲でもありますが。さすがにカラスの生誕を祝うコンサートだけあってカラスの音源もちゃんと存在しています。

 

 

 

こんな感じでかなりマイナーなアリアが多い中で、
やっぱりルチアも演奏されている訳ですが(1:32:38~)
Klára Kolonitsの歌唱を、Karine Deshayesと比較してしまうと、
明らかに口のフォームが横開きで、上の歯を見せて歌うので、特に”i”母音は音色が変わりやすく、他の母音でも音域によってかなり音質にブレがある。

 

Maritina Tampakopoulosについては、
正直全体的に声を押してる感じと言えば良いのか、
ディナーミクのコントロールはできているのですが、あまり倍音のない直線的な響きで、ちょっと聴いてるのがキツい。
う~ん、申し訳ないがこの方はギリシャ枠での出演では?
と思わずにはいられない。

今ギリシャの優れたソプラノ歌手と言えば、
私なら Christina Poulitsi一択なんですけどね。

 

 

それにしても、カラスという歌手は現在でも映画が作られたり、
コンサートが開かれたり、絶大な人気があるんですね。

私はスキャンダルの多さと不健康な声で正直好きになれない歌手なのですが、
皆さまはカラス好きですか?

 

 

 

 

4件のコメント

  • いー より:

    マリア・カラス誕生100年・・・・・・・。
    もう、そんな年月なんですね、早い・・・。
    最近でもマリア・カラスの歌唱を聴きますが、もっぱら YouTube 動画で聴くことの方が多くなりました。
    CDは経済的に色々あって、ここ何年も買っていないです(ToT)
    また買えると良いけど。
    そう言えば最近のナタリーデセイはどうしているのかしらと思い、検索してみたら、2025年に60歳なるのを機に引退するそうです。
    彼女ももうすぐ60歳になるのね。
    時が経つのは早いわ~~~。

    • Yuya より:

      いー26様

      コメントありがとうございます。
      私も昔は渋谷のタワレコに通って新譜を視聴したり、
      ディスク・ユニオンで珍しいCD探したりしていたんですけど、今は全くCD買わなくなってしまいましたね。

      デセイ、私も引退より60歳という年齢を見て驚きました。
      若手の凄い歌手だった頃を知っている人が還暦になるとか聞くと、自分も歳とるはずだと思えてちょっとしんみりしてしまいますね。

      • いー より:

        返信してくださりありがとうございます。

        デセイはクラッシックを引退するようですけど、それ以外のジャンルの方はもしかしたら60歳を過ぎても、もうしばらくは歌手として活動するかも?しれませんね。
        それとも、女優の方に専念するのでしょうか?
        元々は女優としての活動が最初だったらしいから。

        • Yuya より:

          いー27様

          マスタークラスは時々やってるみたいなので行進の指導に専念するということも考えられますね。

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