Lando Bartolini(ランド バルトリーニ)は1937年イタリア生まれのテノール
黄金のトランペットと形容されるテノールと言えば、マリオ デル・モナコのことだが、
ランド・バルトリーニも決して引けを取らない声を持っている
トゥーランドットの有名ではない方のありあ Non piangere Liu(泣くなリュー)
こちらがデル・モナコ
響きの質が似ています。
モナコの方が中音域がより前に密度の濃い音が出ていますが、
高音はあまり大差がない。
二人とも共通して言えるのは、強い声なのに重くない。
全てが高いポジションで前に富んでいるということ。
普通の歌手はここまで前で響かせようとすれば、喉に負荷がかかるものですが、
彼らはこのポジションが最も楽に出るのでしょう。
正しい歌い方は人の数だけあります。
発声のメカニズムは人種に関わらず、人間である以上同じですが、
骨格や日常的に使う言語など、様々な要因で、結果として正しい発声となれば人の数だけ存在することになる。
バルトリーニの映像はそこまで多くありませんが、この映像を見れば堪能することができます。
強い声に聴こえて、恐らく本人は軽く歌っていると思います。
どの音も、硬口蓋(上の前歯の上)~鼻の裏に響きが集まっていますが、
何が凄いかと言えば、中低音がこのポジションで鳴っていること。
高音と同じ響きで低音を鳴らすのはとっても大変です。
逆に言えば、テノールは高音が命な訳ではなく、この中低音の響きを如何に獲得できるかが大事なのであって、
特にヴェルディ中期~ヴェリズモ作品を歌うテノールには絶対必須の技術です。
なので、重い声で高音が出たところ、一流とは言えないのです。
例えば同じアリアを、ホセ・クーラの演奏で聴いてみましょう
まず、響きが鼻で止まっている。
そして、時々歌い出しで喉に声が引っかかる。
テノールにとって、真ん中のA~C位の音は、実は結構ひっくり返り易い音域で、
急に声帯が上手くくっつかないような感覚になります。
この通り、パヴァロッティですら、曲の一番最後の音(A)で押してしまうのです。
アイーダ フィナーレ
バルトリーニという人は本当に化け物です。
どんな音から始まっても、歌い出しが完璧なポジションに当たります。
さらに無駄なポルタメントもしません。
これを黄金のトランペットと言わず何と例えることができようか!
勿論、ピアノの表現や言葉の出し方など、批判材料を探せばない訳ではありませんが、
そんなことをして何の意味があるのでしょうか?と思わせる圧倒的な声を出す技術を持っているのです。
CD
中古では2千円台もあります。
なんと、この演奏では出口正子と共演してます。
[…] イタリアのドラマティックテノールと言えば、デル・モナコ、コレッリ、ジャコミーニといったところが有名だが、 チェッケレと以前記事にしたバルトリーニも全く引けを取らない実力者である。 […]
私は携帯の着信音に「誰も寝てはならぬ」を使っているほど、好きなオペラです。コレッリ、ビヨルリンク、モナコの全曲盤がありますが、貴殿お勧めのバルトリーニのCDを購入し、聴いてみたところ、本当に素晴らしい演奏で、貴殿には感謝いたしております。世間の評価ほどあてにならないものはないというのは、現代情報操作社会にありがちですが、昔の演奏を聴くことが多い私にとっては、貴殿の情報はとても貴重で、私が苦手のYOUTUBEでいろいろな歌手を探して購入していく道を教えて頂いたことにとても感謝いたしております。私も、自分なりにいろいろと調べて、道の音盤にである機会を増やし、現役の歌手のコンサートにも、居住地の札幌には数は少ないですが、足を運ぼうと思います。