第15回ルーマニア国際音楽コンクールの入賞特典が虚偽だった可能性がでてきました

今年の8月に行われた、第15回ルーマニア国際音楽コンクールですが、

間接的に入賞者から、「参加要項に書いてある内容と実際の話が違う!」
という怒りの声が上がっていることがわかりました。

 

問題になっているのは入賞者に与えられる演奏会についてで、

第15回ルーマニア国際音楽コンクール参加要項

を見てみると、

 

入賞者特典

  1. 2020年5月予定の東京文化会館小ホールで開催される入賞者披露演奏会に出演。
  2. 2020年10月ルーマニア演奏旅行に参加、現地でルーマニア人アーティストとの共演他、各地での演奏会に出演できます。
  3. ルーマニアでは、演奏会の他、審査員の推薦により、コンチェルトやオーケストラとの共演、CD録音ができます。

とあります。

 

 

 

この中の、

『2020年5月予定の東京文化会館小ホールで開催される入賞者披露演奏会に出演。』

これが全然違うことになっている。という情報が友人を通して入ってきました。

 

 

実際のところは、

開催日 2019年5月22日
場所  銀座王子ホール

になっていたのだそうです。

 

参考までにホールの規模は以下の通り。

 東京文化会館 小ホール客席数 649席

 銀座 王子ホール:客席数 315席

 

しかも、本件はまだ入賞者へ正式には伝えられておらず、
私が間接的に聞いた方が運営に問い合わせた結果

「2019/5/22 王子ホールになります。東京文化会館の小ホールは取れませんでした。
11月末~12月に公示されます。」

というあり得ない対応だったとのこと。

 

 

15回も行っている歴史のあるコンクールがこのような対応をするとは信じられませんが、
規模が半分以下のホールになった挙句に

会場が取れなかった

という理由で、入賞者へ断わりなく演奏会場が当初の半分以下の客席のホールに変更される。

こんなことが許されて良いはずがなく、

これはどう見ても虚偽広告と言わざるを得ません。

 

 

コンクールにはいかがわしいものが沢山あって、

例えば、1位の賞金や特典を豪華に見せて、最終的には

1位「該当者なし」

というような審査結果を出す手法で、豪華な賞金や景品をぶら下げて参加者を集めた挙句、まともに入賞者が出ないような審査結果を出す。
こんな金儲けしか考えていないことが明らかなコンクールもあるのですが、

今回の場合は実態がよくわからない怪しげな団体が運営しているコンクールではなく、
ルーマニア音楽協会という組織が総力を挙げて行っているコンクールでこのようなことが起こった。
これは由々しき事態です。

 

コンクールに出場するにも、出演者は伴奏者を雇ったり、
打楽器なんかの大きな楽器は運ぶだけでもかなりの出費になるものです。

当然、入賞者披露演奏会の演奏でも同様に出演する方はかなりの時間とお金を掛けて挑みます。

 

300席程度の会場で、

審査結果

にある通りの人数が舞台に立つとなれば、出演者1人に回ってくるチケットの枚数も高が知れています。

当然、運営側は会場を取るのに掛かる経費は抑えられて儲けが大きくなります。

つまり、会場を東京文化会館 小ホールから、王子ホールに変更するのであれば、
出演者には、会場変更によって浮いたお金は返金しなければおかしいのです。

 

私は基本的に声楽の演奏に関しての評論しかするつもりはありませんでしたが、

演奏家を尊重し、育てていくべきコンクールの実態が歪んでいるのであらば、その実態を発信していかなければなりません。

 

もし皆様からのご意見などがあれば、お聞かせて頂けると嬉しいです。
場合によってはコンクールの主催者へ陳情することも検討することになるかもしれません。

 

毎回記事を楽しみにして下さる方には、今回このような記事になってしまい申し訳ありませんが、
日本の声楽のレベルが上がっていくためにも、こういった部分は見過ごせないので発信していく必要があると思い、今回はこのような記事になりました。

次回は通常の演奏家評を書く予定ですので、引き続きよろしくお願いいたします。

6件のコメント

  • 鈴木 雅博 より:

    東京文化会館小ホールと銀座王子ホールの賃料を見ればどちらが主催者にとってコスト的なメリットがあるかはわかると思いますが。
    当然それだけ東京文化会館が取りにくいホールであることは当然ですからそのあたりを見越しておかなかった責任が主催者にはあると思いますが。

    確かに依然として東京文化会館がクラシック音楽の殿堂であることに変わりはなく、受賞者がそれにこだわるのは理解できなくはありませんが、ガラガラの650席のホールがいいか、それなりに埋まっている300席のホールがいいか、どちらが演奏家としてやりやすいかということもあるような気がします。

    もちろん聴く立場としては音響効果のいいガラガラのホールのほうがいいですがコンサートというのはそういうものでもないですよね。

  • ヴォーチェ より:

    ユウヤさん的にはどのコンクールがおすすめとかあるのですか?先ほど学歴が審査に関係あるとかの記事見てびっくりしました。
    学歴とか関係ないコンクールは国内に存在しないのでしょうか?
    コンクール評もして欲しいです。例えば入賞結果明らかにおかしいとか、癒着によって入賞してるだとか、、、

    • Yuya より:

      ヴォーチェさん
      コメントありがとうございます。

      コンクール評は一時期やってたんですが、
      あるコンクールの入賞者から記事の削除要請が来たことがありまして・・・
      プロであれば他人にどういわれても気にしないメンタル的な強さが必要だと言えますが、
      コンクールは学生もいますから、中々人によって書き方を変えるとか気を遣うのが大変で、
      国内コンクールは触れないようにしてるんですよね。

      結果については、昔の日コンは癒着と言うか、審査員の生徒が優遇されてるようにしか見えないことが多々あって、「コネコン」とか揶揄されてることもありましたけど、今は審査員も当時の芸大教授陣が消えてかなりフェアになったんじゃないかと思いますよ。
      後、海外でも東欧なんかは順位を金で買うとか普通にあるので、大して上手くない人が、よく知らない海外のコンクールに入賞したり、劇場で数回歌った履歴があったら疑った方が良いかもです。

      • ヴォーチェ より:

        そうなんですね、、、
        傍から見てて思うのは、日伊コンコルソなどはなかなか外国人が入賞せず、そういったコンクールってほぼほぼ癒着だと思うんですがどう思いますか?

        外からは日本の声楽界内部のことは全く分からないので、「藝大がトップで次が国音といった学歴がコンクールにも影響されていて学歴を書きたがらない人もいる」という文章を読んで驚きました。

        静岡国際オペラは逆に正直なコンクールで見てて清々しいなと思うのですがね。日本人用に三浦環賞が用意されいて。あの形態ならまだ理解できるのですが、、、。

        また、コンクールなのに詐欺的な「1位入賞者なし」も引いてしまいます。ああ賞金出したくないんだなと。の割にだいぶ審査料は高いものが多いですよね。商売のためのコンクールなのか新たな人材の発掘のためなのかが全く分からないです。

        個人を批評することに問題があるのでしたらコンクールそのものの評価もダメなのでしょうか?内部事情に詳しそうなユウヤさんの意見をお聞きしたいのです。
        学歴もなく声楽の世界事情にも精通していない私ですが、いつの日か国内で良心的なコンクール?笑があればチャレンジはしてみたいとは思っておりまして。

        • Yuya より:

          ヴォーチェさん

          最近は音大出てないプロの歌手もいますし、昔よりは学歴志向は薄くなったんじゃないかと思います。
          まぁ、地方の音楽関連の教員は未だに芸大だと優遇されるとかいう話は聞きますけどね。

          それより、審査員になっている人に師事してるかどうかの方が重要で、審査員全員にレッスン受けて優勝したけど、賞金以上にレッスン代が高くついた。
          とかいう話を某有名作曲家から聞いたことがありますが、それが誇張だとしても、似たようなことはあるんだろうなと思います。

          「1位なし」は世界の有名コンクールでもあることですけど、無名なコンクールなのにそういうことをするところはアウトですね。
          海外はもっと規模がデカくて、裏にマフィアがいるとかいう話は耳にすることがあります。
          なので、役のオーディションを兼ねたコンクールの方がまだ安心みたいですよ。

          日伊はあんま興味なくて詳しくないんですが、イタリア人が審査員にいる年と日本人しかいない年があるみたいで、それによって入賞する声の傾向は違うっぽいことは聴いたことありますが、基本的にデカい声の人が入賞し易いイメージしかないんですよね。

  • ヴォーチェ より:

    ありがとうございます!構造は色々複雑ですね。自分でも調べてみますね。
    懇切丁寧に回答いただき感謝です。

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