Opera national de Paris Gala inaugural des 350 ans (評論)

Opera national de Paris Gala inaugural des 350 ans

https://www.operadeparis.fr/saison-18-19/opera/gala-inaugural-des-350-ans

Soprano :Sonya Yoncheva

Ténor :Bryan Hymel

Baryton :Ludovic Tézier

 

 

 

こちらはフランス パリオペラ座のジルベスターコンサートのようなものでしょうか。
オペラとバレエの演目をやっているので、純粋なオペラガラではないですが、
現在を代表する歌手が出ているので気になって見てみたが、出だしの粗さとは一転
最後はとんでもない完成度の演奏を披露してくれた。

 

◆テノール:ブライアン ヒメルがかなり酷い。

ウィリアム テルの難曲を上手く歌っていた人だったんですが、
単純に調子が悪かっただけなのか、終始声の安定感を欠いていた。

こちらが2014年にロッシーニ ウィリアム テルのアリアとカバレッタを歌っている様子

単純に体調やコンディションの問題ならば良いのだが、
これだけ歌えていたのが、今回の演奏会ではかなりキツそうだったし、
随分と声の掠れが目立った。

原因を探したらコレだ。

本来の声には全く合わない道化師なんかを歌ってしまった。
テノールの声は繊細なので、ちょっと変なことをすると素直に影響が出る。
今後彼が復活できるのか、注目しておきたい。

 

 

◆バリトン:ルドヴィク テジエは結局帳尻を合わせる

最初の重唱でいきなり声が掠れて、
まさか昨日ニューイヤーで歌った、大西宇宙はテジエより上か!
と思ったりした訳だが、やっぱ流石に椿姫や最後のドン カルロで修正してきた。

そういう意味では、NHKニューイヤーオペラは、
しくじったら修正することもできない一発勝負なので、難しさはあるのかもしれないと思った訳だが、
逆に、あんな沢山キャストを呼ばずに、少数精鋭で密度の濃い演奏会にした方がよっぽど有意義な気もしないでもない。

そして何より曲の流れも自然で、演出が日本とフランスだと雲泥の差だ。

テジエの演奏に話を戻すと

特に最後のドン カルロス(フランス語版)
は素晴らしい演奏で、この曲はイタリア語版をバリトンなら誰でもと言って良い位歌うので、
聞き飽きる位聴いたが、変に感傷的な歌い方でもなく、
「終わりの日は来た」~「おぉ カルロ聴きたまえ」の曲の流れの必然性が
深い慈愛の籠った声によって表現されていた。
見事としか言えない。
やっぱり彼は現在世界でもトップクラスバリトンである。

 

 

◆ソプラノ:ソニヤ ヨンシェヴァ

最近トスカに手をだして、ちょっとフォームが崩れて心配だった。

これが2017年のトスカ

先日の演奏会より格段に声が硬い。
更にピアノの表現力にも陰りが見える。
2016年にノルマを歌い、2017年にトスカ。
声をダメにしていく典型的なパターンなので本当に心配した。

しかし,この人は本当に賢い、
2018年はプッチーニやヴェルディと平行して、バロック作品も歌っていた。

そして今回のプログラム。
最後は彼女の独壇場

les cent vierges lecoq

Faust「 Alerte, alerte… Anges purs, anges radieux」

驚く程楽々と声を出しており、まるで呼吸をするように声が響きく。
これぞ一流歌手。
全くスキのない演奏だ。
昨晩ひたすらNHKホールで絶叫してた大半の女声とは180度発声が違う。

まぁ、そうは言っても、日本だけが酷い訳ではなく、イタリアも発声は結構壊れている。
これはいつかゆっくり記事にしようと思うが、封建的なイタリア人キャストだけで固めてる劇場に限って、
下手にイタリア人ばかりが歌ってるのである。

今日はヨンシェヴァのお陰でよく眠れそうです。
やっぱりこの人が現在最高のソプラノの一人と言って間違えない!

この映像、全て見るのはしんどいという方は、1:44:30から見てください。
絶対聴いて損しない演奏です。

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