バロック~古典を堅実に歌ういぶし銀のバリトン Gyula Orendt

Gyula Orendt (ギュラ オレント)はハンガリーのバリトン歌手。
バロック~モーツァルト作品を得意とするバリトンで、
深みのある声と共に軽やかさを併せ持った、いそうで中々いないタイプのバリトン

 

モンテヴェルディ オルフェオ

この時代独特の装飾的な歌唱を駆使した演奏。
装飾音というのは、付けても付けなくても良いものではなく、
付けることを前提として、この時代の音楽は書かれているらしい。
オレントの素晴らしいところは、装飾音を付けても歌詞がしっかりしていること。
英語は歌うのが難しい言語なのだが・・・発音の感じから恐らく米語ではなく英語発音か?

恐らく彼はファルセットで歌わせても結構上手いだろう。
所々かなりミックスボイスを駆使しているので、男声はテノールに限らず、
ファルセットへ滑らかに以降できる柔軟性は持っていて損はない。
そういえば、フィッシャーディースカウもミックスボイスは随分駆使していた。

 

エヴァ マルトン70歳記念ガラコンサートから(40:20~)

ワーグナー タンホイザー  O, du mein holder Abendstern (おぉ 優しい夕星よ)

中音域で時々鼻に入ったり響きが落ちるのが気になることもあるが、
歌の上手さという面では立派。
軽く歌ってもしっかり深い響きがあるというのが素晴らしい。
欲を言えば、Dより上の音でもう少し下と同じ響きの質が保てれば良いのだが、
曲の表現としては全然問題ないの他の曲でどうなるかといったところか。

 

 

グノーの歌曲も英語で歌っている

歌い方も声もトマス アレンにそっくりだ。

 

こちらがトマス アレンが歌っているブラームスの歌曲

 

彼等は太い声を持っていながら、
決して太いくてデカい声で吠えるようなことはないく、
深い響きを出そうとして、かぶせたような声になることもない。

彼等の歌唱はどちらかと言えば地味で華があるとは言えないが、
堅実で味がある。
いってみればいぶし銀のバリトンだ。

これだけの歌手でありながらCDが1枚も出てないことからも分かるように、
世間的に注目を浴びるような歌手ではないかもしれないが、
良い演奏会にはこのような歌手は絶対必要だ。

 

これは日本でも同じことで、
全国的な知名度がなくても地道に良い演奏をしている演奏家はいるので、
そういう方々を応援していくのも大切なことだ。

 

例えば、

近野賢一

伴奏の岡原慎也は恐らく日本人のリート伴奏者ではトップクラスである。
大きな会場で大勢の聴衆を熱狂させることだけが歌唱芸術ではない。

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