Marcello Giordani(マルチェッロ ジョルダーニ)は1963年生まれのテノール歌手。
元々はバリトン歌手だったがテノール歌手に転向し、その後は現在に至るまで、
イタリアオペラやフランスオペラのドラマティックな役の第一線で活躍している。
しかし、今年アイーダのラダメスを歌った動画がアップされたものでは、
あまりの衰えに衝撃を受けた。
ジョルダーニについてはいずれちゃんと記事にしようとは思うが、
このアイーダ演奏はちょっと酷過ぎる。
【キャスト】
アイーダ
Elaine Alvarez
ラダメス
Marcello Giordani
アムネリス
Nino Surguladze
ランフィス
Luca Dall’Amico
アモナスロ
Lionel Lhote
エジプト王
Luciano Montanaro
アイーダを聴いて、一番上手いのが低男声陣という演奏はどうなんだ?
と突っ込みたくなってしまう。
この通り、全員強い癖もなく、無理に大声を張り上げない安定した歌唱ができる歌手で、
脇を固めるには適材適所の配役と言えるのだが、問題は主役歌手達だ。
このように主役の女声二人が揃って響きが落ち、全くレガートで歌えない絶叫系という惨状
(私は彼女達の歌を10分聴いてるだけで喉に違和感を覚える)
そして問題のジョルダーニ。
私は少なくともこういう演奏になると最初から思って映像を見始めた
因みにこれが2011年の演奏。
だが、今年の演奏ときたら・・・。
登場と同時に歌うアリアで声が出ないだけなら全然問題ない。
寧ろよくある事なのだが、3幕もフィナーレも全く声が戻らない。
よっぽど調子が悪かっただけならまだ良いのだが、数年でこれほど衰えてしまったのだとしたら大変ショックである。
ジョルダーニは個人的に結構好きな歌手なだけに、今年のアイーダの痛々しさには耳を塞ぎたくなる気分だ。
だが、逆にこれほど声があって、発声にも問題がないように見えても老いには抗えないのか?
という現実は直視しなければならないのかもしれない。
それと同時に、10歳以上ジョルダーニより年上のペーター・ザイフェルトが、
現在でも最高のヘルデンテノールとしての実力を維持していることが、どれほどすさまじいことかがわかる。
冗談抜きでバケモノです。
因みに、ジョルダーニの昨年の演奏はこんな感じ
ハマる時の響きは素晴らしいのだが、伸ばす音ではどうしても声が揺れてしまったり、
弱音の表現が抜いたような声になってしまったりと衰えは聴かれるが、それでも今年のアイーダの演奏とは別人である。
1年でなぜこんなことになってしまったのか・・ジョルダーニの状態が非常に心配である。
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