美しき悲劇の悪女 Ekaterina Gubanova

Ekaterina Gubanova(エカテリーナ グバノヴァ)はロシア生まれのメゾソプラノ
プロフィールについてはこちらが日本語で分かり易い。
スカラ座来日公演、ヴェルディのアイーダ(アムネリス役)で来日して、テレビでも放送されたので
日本のオペラファンにも比較的馴染みのある歌手かもしれない。

この人は声も容姿もヴェルディの貴族悪女にピッタリ
特にアムネリスやドン・カルロのエボリ役は現代屈指のハマリ役と言って良いでしょう

ヴェルディ ドン・カルロ O DON FATALE(おぉ 酷い運命よ)

ロシアのドラマティックメゾと言えば、Olga Borodina (オルガ ボロディナ)がひと昔前までは飛ぶ抜けた印象だった

ただ、ボロディナはあまりにも素晴らし過ぎる楽器ゆえにか、ロシア系の歌手に多いパワーで押す傾向からは抜け出せなかった印象がある。
最後の高音なんか結構危ういのがわかる。
だが、グバノヴァはパワーだけでなく非常に優れたブレスコントロールができている
声を当てたり、押したりしないのだ。

 

ゲバノヴァの歌ってる時の口の開け方を見て頂きたいのだが、
右が高音を出している時、左が中音域の”O”母音を伸ばしている時の口
色んな歌い手のフォームを見ていますが、正直惚れ惚れするほど美しい口の開け方だと思います。
まず、高音を出す時に上の前歯を見せる人が沢山いますが、アレは基本的にはダメ。
ゲバノヴァのように下を引っ張るとより大きく空間を作ることが出来る。
日本の合唱界では、頬筋を引っ張る目的でやたら上の歯を見せる歌い方が推奨される傾向にあるが、
これをやると喉が閉まる。そして、口が縦に開けられなくなる。
世間一般にいう浅い声の原因の一つがここにあるのだが、気づいている人はほとんどいないだろうなと・・・。

そして左の写真。
唇セクシー過ぎ・・・じゃなくて、いゃ、でもそうなんですよ。
セクシーな唇って歌う上で実は凄く大事なのだそうで、「言葉を唇に乗せて吹く」という表現をしていたのが
ティート スキーパという名テノールだった。

 

動画をもう一つ
こちらは日本でも演じたアイーダのアムネリス役
終幕のヴェルディ自身が最も言いたかったセリフだといわれています。
カトリック嫌いだったヴェルディですが、大々的にそういうことを言うと検問に引っかかって上演すらできなくなるので、
悪役にあえて自分の言いたいセリフを言わせたと・・・そんな記事を見た記憶があります。
そんな訳で、彼女ほど美しく高貴な悪女が似合うメゾソプラノ歌手が過去を振り返っても中々いないのではないでしょうか。

 

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