オッターの陰に隠れたスウェーデンの名メゾソプラノKatarina Karneus

Katarina Karneus (カタリーナ カルネウス)は1965年、スウェーデン生まれのメゾソプラノ歌手。

スウェーデンのメゾと言えば、1955年生まれのフォン オッターが圧倒的に有名ですが、カルネウスも歌曲演奏では全く引けを取らないどころか、もしかしたらオッター以上の完成度の演奏をしているメゾソプラノです。

とても軽やかに歌うのですが、響きにはメゾソプラノ独特の深い音色があり、素朴でありながら味わい深い玄人好みの歌唱をする人です。

 

 

マーラー シュッケルトの詩による歌曲 Um Mitternacht

この演奏が1998年とのことなので、大体33歳です。
歌うには少々若過ぎる曲ではありますが、オケと張り合って吠えることはなく、常に高いポジション響きを維持して歌おうという意識が感じられます。
勿論若さ故に低音には力不足な感じもありますし、”i””e”母音横に開き過ぎているので、この曲に相応しい音色にはなり切れていませんが、全体的によく歌えていると言えるでしょう。

 

 

 

 

Rシュトラウス Die Nacht

こちらも同じ年の演奏ではありますが、
スタジオ録音であることと、ピアノが伴奏の名手ヴィニョールズということもあって、声には若さがありながら、表現には深みがある。実にバランスの取れたシュトラウスの初期作品を歌うのに相応しい声ではないかと思います。
マーラーにはもっと深さがないと軽く感じてしまいますが、
シュトラウスは、逆に軽さや明るさがプラスの方向に作用します。
その理由は何かとシュトラウスの歌曲は軽い声のソプラノが好んで歌うことが多いので、私がそういう耳になってしまっているだけかもしれませんが、少なくともマーラーより明るい音色が合っていることは誰も否定しないでしょう。
この二つを聴き比べても、自分の声に合ったレパートリーを選ぶことの重要性がわかります。

 

 

 

ヘンデル ジュリオ・チェーザレ Svegliatevi nel core

こちらが2016年の演奏
流石に約20年録音年代が違うと声も全然違いますが、
勢いで歌っているように聴こえて、しっかり響きが低音で落ちないようコントロールできているところは流石です。
このアリアはテノールが歌うこともあるので、アタックの強さや音圧がそれなりに必要になります。
そのため、テンポが遅くなる中間部分もあまり音量を落とさずに歌っているのかもしれませんが、個人的にはリートで聴かせたような繊細な響きをもう少し駆使しても良いのではないかと思います。

 

 

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ベルリオーズ 歌曲集夏の夜(全曲)

これはまた録音年代が戻って199年ですが、
今回一応比較の対象としているオッターも、この曲集は1988年に録音しており、同じ位の年齢で偶然にも比較が可能でした。

 

 

Anne Sofie von Otter

全曲で比較するのは大変なので、
低音~高音まで滑らかに歌える技術を聴くにはAbsenceが良いでしょうか。

(カルネウス 15:35~)
(オッター 14:14~)

 

 

【歌詞】

Reviens,reviens,ma bien-aimée!
Comme une fleur loin du soleil,
La fleur de ma vie est fermée
Loin de ton sourire vermeil!

Entre nos coeurs,quelle distance!
Tant d’espace entre nos baisers!
O sort amer,ô dure absence!
O grands désirs inapaisés!

Reviens,reviens ma bien-aimée!
Comme une fleur loin du soleil,
La fleur de ma vie est fermée
Loin de ton sourire vermeil!

D’ici là-bas que de campagnes,
Que de villes et de hameaux,
Que de vallons et de montagnes,
A lasser le pied des chevaux!

Reviens,reviens ma bien-aimée!
Comme une fleur loin du soleil,
La fleur de ma vie est fermée
Loin de ton sourire vermeil!

 

 

【対訳】

帰ってきて、帰ってきて、恋しい人よ!
太陽から遠く離された花のように
あたしの人生の花はしぼんでしまった
あなたのバラ色のほほえみから離れて!

あたしたちの心はなんて離れてしまったの!
あたしたちのくちづけの間にはなんて隙間ができたの!
ああ、むごい定め、ああ、残酷な別れ
ああ、この満たされない望み!

帰ってきて、帰ってきて、恋しい人よ!
太陽から遠く離された花のように
あたしの人生の花はしぼんでしまった
あなたのバラ色のほほえみから離れて!

あたしからあなたのところへは何て遠いの!
間に何てたくさんの町や村があるの!
何てたくさんの山や谷があるの
馬のひづめを弱らせる程の!

帰ってきて、帰ってきて、恋しい人よ!
太陽から遠く離された花のように
あたしの人生の花はしぼんでしまった
あなたのバラ色のほほえみから離れて!

 

 

どちらも甲乙つけがたい素晴らしい演奏なのですが、
「La fleur de ma vie est fermée」の部分に限って言えば、
オッターよりもカルネウスの方が完成度の高いレガートで歌えています。
その理由は、結局のところ低音でオッターはやや響きの質が変わってしまっているからで、本当に微妙なのですが、
その歌詞の直前の「soleil」で声が引っ込む分、籠もり気味の響きになってしまう。
一方で、カルネウスはオッターに比べると少し硬さがあり、
「Loin」で張るフォルテが直線的で、オッターのような柔らかさがない。とは言っても大変高いレベルで、これだけの演奏が30代前半でできているのですから、名歌手と言っても過言ではないのではないかと思います。

 

 

このように、カルネウスは明らかに過小評価され過ぎな感じがするのですが、2000~2015年の演奏の音源がYOUTUBE上に見当たらないのが不思議です。
オッター負けない演奏をできる素晴らしい歌手にも関わらずこの知名度の差はいったいどこで付いてしまったのでしょうか?
一応有名なセビリャの理髪師のロジーナのアリアを歌っている映像もあったのですが、そちらはちょっと残念な感じだったので、もしかしたら得意不得意のはっきりしている歌手で、イタリアオペラではあまり良さが出ず、それで歌っていそうなモーツァルト作品の録音が全くないような状況なのかもしれません。
しかし、何にしてもコンサート歌手として聴けば、
カルネウスは現在を代表するメゾソプラノに入れて良いと思います。

 

 

CD

 

 

 

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