【2015/1/4】NHKニューイヤーオペラコンサート 感想

毎年の恒例、日本人声楽家による隠し芸大会・・・失礼
紅白のクラシック版とでも申しましょうか。
正統派から亜流まで様々な個性の歌手が集まる見本市は今年も健在でした。

さて、ざっと感想を書きたいと思いますが、いつも通り、独断と偏見で書くので、
お読みになる方は一部過激な内容?もあるかも知れませんが、ご了承ください。

西村悟
○歌劇「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」(プッチーニ作曲)
初出場、トップバッターでこの曲は正直可哀そう。
でも、その割によく歌ったのではないだろうか?
注文をつければ幾らでもあるが、他に比べれば壊滅的ではなかったのでヨシ
日コンの時とかよりは上手くなってたしね。

中嶋彰子
○喜歌劇「ジュディッタ」から「熱き口づけ」(レハール作曲)
本来リリコ・レッジェーロの声ではあるが、日本では確実にレッジェーロ扱いではないんだろうな。
正直高音はけっこうキツそうだったので、セリアの主役をできる声ではないが、オペレッタということで
そこは、しっかり勉強した部分なんだろう。無難にこなしていたと言える。

望月哲也、
○歌劇「ボエーム」から「冷たい手を」(プッチーニ作曲)
恐らく出演日を間違えたに違いない。
紅白の曲間のつなぎで、演歌をやってればいいと思うよ。
全ての声が鼻声で、そこから「O」の母音を横に引っ張るものだから
キレイにこぶしの効いたプッチーニが出来上がる。
これぞ西洋音楽の和風テイスト。
クロスオーバーミュージックという奴だ。
この演奏を聴いた後だと、自分が普段どんな歌い方してたか忘れてしまう程のインパクトである

砂川涼子
○歌劇「ボエーム」から「私の名はミミ」(プッチーニ作曲)
ミミは十八番で、容姿も相まって今日本ではこの人のミミはとても評判が良い
更に、昨年は、びわこの死の都でマリエッタを歌って一部に絶賛されていた!
でもちょっと待て!
問題は容姿と歌、どっちに比重が置かれての評価なのか?誰に判断できようか?
私見では、(容姿8:2歌)だな。
彼女は自分の魅せ方を知っているのだろう。
そりゃ、オペラ風演歌の後で歌えば大抵の人は上手く聞こえるだろうさ!
だが、実際によ~く聴いてみると、中低音が鼻に入ることが多いし、高音も良いポジションで歌えてるとは言い難い。

妻屋秀和
○歌劇「ファウスト」から「金の子牛の歌」(グノー作曲)
前述の方と比較すればよく分かる
この人が歌うと、テレビの音量を2か3メモリ位上げた感覚を覚える
そもそも持ってる楽器が日本人離れしてるとは言え、年々進化してるのには驚かされる。

小川里美、山本耕平
○歌劇「ファウスト」から三重唱「逃げろ、逃げろ」(グノー作曲)
でたよミスユニバース!高音絶叫⇒低音何も聞こえない
この歌に必死で音楽性を探して耳をそばだてたけど無駄な努力であった
その相手を務めるのは、まるでFFの主人公のような格好で登場した、若手で最も注目されてるテノールの1人、山本耕平・・・・だが
声が聞こえないぞ?。。。頑張って「ヴィエ~ン」て叫んでるけど、里美嬢の絶叫にかき消されてるよ。

藤木大地
○歌劇「リナルド」から「風よ、旋風よ」(ヘンデル作曲)
日コンで優勝した時の方が上手かったような気がする
まぁ、コンクールはピアノ伴奏で今回は室内オケだから、そういう違いもあるかもしれないけど
やっぱり高音がちょっと伸びない所はまだまだ。
とは言っても、今回の出演者の中では良かった方と言えるけど、活動がウィーンでは今後が心配

臼木あい
○歌劇「リナルド」から「涙の流れるままに」(ヘンデル作曲)
みだれ打ち歌唱と呼ぶことにしよう。
横に引っ張ってみたり、抜いてみたり、奥に入れてみたり
この一曲の中で様々な歌唱を試してはみたが、どれも的を射抜くことはできず
だからと言って喉の力で無理やり納めることもしない(できなくなった?)。
昔はそれでもパワーで夜女をハメていたんだが
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今の若手ハイソプラノ(コロラトゥーラで売ってる歌手)の末路が見えた気がした。
天羽さんや、釜洞先生位の技術を身につけなければ、臼木嬢や佐藤美枝子のようなことになる。
現役音大生は特にそのことを考えて慎重に勉強する曲を選んで欲しいものである。

山下牧子
○歌劇「リナルド」から「私は戦いを挑み」(ヘンデル作曲)
ちょっと固いのだが、レガートがしっかりできているし安定感がある。
新国の死の都でブリギッタを歌った時の方が良かったと思ったが、しっかり技巧的なアリアも歌えるところは素晴らしい。
日本人メゾでこれだけ歌えれば全然良いと思う。

村上敏明
○歌劇「道化師」から「衣装をつけろ」(レオンカヴァルロ作曲)
この曲は本人が望んで歌ったモノなのか、NHK側の要求なのか?
絶対声には合っていないのだが、それでもしっかりアクートにハメてしまう辺りは流石
多少アペルトになったり、無駄に劇的な表現をするのは好きになれないが、この響きは鍛錬の白物であることは容易に分かる。
せっかく昨年ロドルフォ歌ったのだから、彼にはココでも同じ曲を歌って欲しかった。

与儀巧
○歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から乾杯の歌「酒をたたえて」(マスカーニ作曲)
若手で一番注目されていて、昨年のイドメネオでも絶賛されていたのがこの人
この人もトゥリッドゥは重過ぎると思うが、ポジションがぶれないのは流石
モーツァルト~ヴェルディ初期、とプッチーニの幾つかに歌う範囲を限定して欲しいものだ。
今後一番期待できるのは彼だろうな。まだ奥の響きがないので年齢と共に成長してくれれば・・・

林美智子
○歌劇「ヴァネッサ」から「冬はすぐそこまで」(バーバー作曲)
そもそも選曲は本人の意思?
何も聴かせ所のない曲をお祭りで歌って、彼女は何がしたかったの?
「もう私声でないんです~」というアピール?
練習では200回成功しても本番では大曲歌えないってことでしょ?
大丈夫、少しでも歌勉強してる人ならそんなことは売れ始めた時から知ってたから

田村麻子
○歌劇「道楽者のなりゆき」から「夜よ、静かに」(ストラヴィンスキー作曲)
ニューヨークを拠点に活動してるだと!
ヴァルガスとルチーアで共演したた日本が誇る世界的なソプラノではないか!?
以下添付で最後に伸ばしてる「B」を聴けば、彼女の歌ってるポジションが間違ってることは容易に分かる

アレ!?
そういえば今回歌った曲ってコロラトゥーラの技術を要求されたっけ?
なんか喉の力は強かったんだろうけど、彼女も後は落ちていくだけなんだろうな!?
音域によって歌うポジションが変わってしまうようでは・・・今後の音楽活動に幸あらんことを
アーメン

幸田浩子
○歌劇「リゴレット」から「慕わしい人の名は」(ヴェルディ作曲)
おや、。可愛らしい娘さんがいるよ!
学生さん?
受験頑張ってね!
て違うの!?
そっか、大人AKBのオーディション受けるつもりが間違ってNHKホールにきちゃったんだね?

福井敬
○歌劇「リゴレット」から女心の歌「風の中の羽のように」(ヴェルディ作曲)
昨年まではいい加減出るの辞めろよ!
と思っていたけど、ここまでくればある意味称賛したくなる。
どんな変な発音になっても、絶対音程ブラ下がらないし、パワーでハメてしまう。
普通の歌手なら咽喉壊れて再起不能だと思うけど、これだけ長く歌ってこれて、
その上、コンサート歌手に専念するのではなくオペラ全曲をやれるのだから凄いとしか言いようがない。

上江隼人、鳥木弥生
○歌劇「リゴレット」から四重唱「美しい乙女よ」(ヴェルディ作曲)
リゴレットのこの曲って3重唱だったっけ?
バリトンの声が全く聞こえないよ!
唇読術を身につけないとリゴレットが何言ってるか分からないぜ!
コレも新手の演出なのか?
ところで、マッダレーナって風俗のおばちゃんっていう設定だっけ?
決して上品な役ではないにしても、今まで聴いた中でここまで下品な声のマッダレーナは初めて、そういう演技に違いない。これはコンセプトなんだ。そうに違いな。

堀内康雄
○歌劇「清教徒」から「命をかけて」(ベルリーニ作曲)
なぜこの曲を選んだんだ?その3
本来ハイバリの堀内さんが、カヴァレッタを歌わないのにこの曲を歌う意味が分からない。
結果全部重く作って、今まで聴いた中でも最低ランクの演奏だった。
この曲より、最後の乾杯の歌で発した一声の方がよっぽど良い声出てた。
まっ、それが聴けただけで、彼が声を失っていないことを確認できたのでヨシとしよう。

森麻季
○歌劇「ディノラ」から「影の歌」(マイヤベーア作曲)
どこまでいっても森麻季は森麻季である。
毎年安定して同じ品質の音楽を聴かせる。
安定感という意味では抜群である。
好き嫌いで言えば、そこまで好きではないが、でもアイドル的に持ち上げられてる歌手としては、全然良いと思う。

錦織健
○歌劇「愛の妙薬」から「人知れぬ涙」(ドニゼッティ作曲)
彼も紅白に出ていれば良いんだよ。
流石にもうキツイ、ASで一杯一杯ではテノールとしては無理だ

藤村実穂子
○歌劇「ジャンヌ・ダルク」から「森よ、さようなら」(チャイコフスキー作曲)
NHK「カルメンかサムソンを歌ってください」
藤村「だが断る」
て訳でこの曲になったのだが、なぜ仏語なんだ?
これ、オリジナルはロシア語だよなぁ
オブラスツォヴァによる同曲の演奏
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それでも、表現はやっぱり日本人離れしてるし、音程によってポジションがブレないのは一流の証
奥の響きという面では物足りないから、やっぱりこういうオペラアリアを歌うには物足りない部分は多々あるし、最近コンサート歌手になってしまったのか、オペラ全曲はやらない(やれない?)のが現状。
彼女の後継者となるべきメゾの出現が待たれる

以上が全体の感想である。

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