【2014/6/3】新国立劇場 アラベッラ(千秋楽)

【指揮】       ベルトラン・ド・ビリー
【演出・美術・照明】  フィリップ・アルロー
【衣裳】       森 英恵

【ァルトナー伯爵】  妻屋秀和
【アデライデ】    竹本節子
【アラベッラ】    アンナ・ガブラー
【ズデンカ】     アニヤ=ニーナ・バーマン
【マンドリカ】    ヴォルフガング・コッホ
【マッテオ】     マルティン・ニーヴァル
【エレメル伯爵】   望月哲也
【ドミニク伯爵】   萩原 潤
【ラモラル伯爵】   大久保光哉
【フィアッカミッリ】 安井陽子
【カルタ占い】    与田朝子

さて今回も独断と偏見で歌手採点やりますかw

見方
採点方法
○1点、●0.5点の5点満点評価

評価項目
発声:発声の善し悪し(完全な独断です)
声量:そのまま(あくまで声のデカさで響きの豊かさとは別)
表現:言葉の言い回しとか発音とか演技
体力:全幕を通して水準を落とさず演奏する能力(出ずっぱりの訳以外はあまり参考になりません)
総合;安定感や音程なども含めて総合的に評価した点数

歌手をどうこう言う前に、今回は元々指揮者のベルトラン・ド・ビリーだけが目当てでした。
そして、期待を裏切らない流麗な音を聴かせてくれました。
何が良かったって、とにかく止まることなく清水が沸き上がるがごとく、幕の頭~終わりまでフレージングが途切れることなく、しかもアゴーギグや誇張アクセントを用いずに表現しきったこと。
ズデンコ君の「私はお姉様の影として生きるわ」じゃないけど、歌手の影となり決して出しゃばらないながらも、しっかり存在感を示す。
近年の指揮者にはあまりいないタイプですね。
どうりて録音では良さが分からない訳だ。

てことで前置きが長くなりましたが、早速採点といきますか♪


【ァルトナー伯爵】  妻屋秀和
発声:○○○○●
声量:○○○○●
表現:○○○○
体力:○○○○●
総合;○○○○●

この人は日本人じゃないでしょ?w
最もバスという声種は日本人には難しいと思うのだけど、低音までしっかり無理なく響くし、上も問題ない。
本当に素晴らしいと思います。


【アデライデ】    竹本節子
発声:○○
声量:○○○○●
表現:○○○
体力:○○○○●
総合;○○○

う~ん、何と言って良いのか、全部奥で声も揺れてるし、典型的な日本人メゾなんだよな~。それ以外言葉は必要なかろう。


【ズデンカ】     アニヤ=ニーナ・バーマン
発声:○○○●
声量:○○○○
表現:○○○○
体力:○○○○
総合;○○○○

何かと奥へ響きがいって、言葉が出ない歌手が多かった中で、演奏に清涼感を与えてくれた。という意味では評価したい。
発声が堅く、レガートが未熟だったり、それに起因して一本調子の声になってしまうところは改善して欲しいが、まだ30代半ばとのことなので、今後に期待できるのではなかろうか?


【マンドリカ】    ヴォルフガング・コッホ
発声:○○○
声量:○○○○●
表現:○○○●
体力:○○○○●
総合;○○○●

去年のバイロイトのリングでヴォータンやってて、結構批判的なことを書いた記憶があります。
私のイメージでは、ドイツ盤ホロストフスキーな声なんですよ。
持ち声は素晴らしい。でも如何せん堅い。
日本人なら傍鳴りで広いホールでは遠くまでは声が聴こえなくなるところだが、そこは持って生まれた楽器が違うのだろうね。力技でも通用してしまう。そして上まで出てしまえるのだ。
3幕の一瞬だけ素晴らしい声が出たんだよな~。
ただ、発声技術が露骨に表れるのは高音よりむしろ低音で、低い音がとにかく飛ばない。
全然妻屋さんの方が中低音の音は飛んでいたのだよ。
その証拠に、オケがちょっとフォルテ掛けると声がオケに消される。
発声技術が安定しないと、線ではなく点で音を捉えるため、表現力も希薄になる。
その部分をバイロイトではペトレンコ、今回はビリーと一流オペラ指揮者に助けられたのが実は大きいのではないかと私は考えている。
上記に添付したヴォータンの告別、前任者のドーメンと是非聴き比べて頂きたい。きっと違いが分かるハズだ


【アラベッラ】    アンナ・ガブラー
発声:○○○
声量:○○○○●
表現:○○○○
体力:○○○●
総合;○○○●

この人は体力ないんか?
エンジン掛るの遅い、3幕は・・・まぁ良かったけど
とにかく声が奥から出てこない。
ミッリ役の安井さんが出てきた時に、声ってこんな楽に出るもんなだよな~。と思ってしまう位、何か複雑な声の出し方してる。
高音はそれでも抜けてはいたが、堅いし響きが暗い。
とても何と表現して良いか難しい人である。
気品みたいな物はあるし、歌も決して下手ではない。(最初音程も安定してなかったけど)
メゾのような深い声も持っていながら、発音が奥で中低音がとにかく飛ばない。
聴いててもどかしい訳です。

その他

マッテオ役が代役だったようだが、基本的に学生さんみたいな声なのはどうにかならんの?
高音はそこそこ出てたけど、高音得意じゃなくても充実した中音域を持ってる人が良い。
このレベルなら海外から呼ばず日本人で良いじゃん。
吉田さんとか淳さんとかでさ。て感じです。

そんな訳で、新国のシーズン終わったし、しばらくオペラ行く予定がなくなった。
次は芸劇のドン・カルロ(演奏会形式)かなぁ。
コロンバーラ先生来日はかなり惹かれるものがある。

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