【2016/4/7】東京リング ジークフリート 

指揮:マレク・ヤノフスキ
ジークフリート:アンドレアス・シャーガー
ブリュンヒルデ:エリカ・ズンネガルド
さすらい人:エギルス・シリンス
ミーメ:ゲルハルト・シーゲル
アルベリヒ:トマス・コニエチュニー
ファーフナー:シム・インスン
エルダ:ヴィーブケ・レームクール
森の鳥:清水理恵
管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ライナー・キュッヒル )
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
映像:田尾下 哲

結論から言えば、個人的にシャーガー目当てで行った公演なので満足であった。

予想通りヤノ爺の指揮は酷いものでw
何がって、言葉に対してオケが全く反応しないんだよな~。

シリンスが折角ミーメの3つ目の問に応えるところで、本性表すように横柄な感じで歌い方変えたのにオケは無反応w
特にヴァイオリン群の棒具合が半端ない。
んで、各幕のフィナーレだけはとりあえずアッチェレして盛り上げようとする始末。まるでビシュコフw
ジークの一幕フィナーレで歌手よりオケが走るとかありえないだろ?
でも、特に酷かったのは、フィナーレのヒルデがジークフリート牧歌の旋律を歌う場面で、
あの名指揮者は拍を刻んで振ってましたからねw
その音楽性は私のような凡人には到底理解できません。
終演後に2008年バイロイトのティレを聞き直してみたら、1.5倍は速いテンポでしたねw
トイレでも我慢してたのかな?

でも良い部分もところどころあって、ミーメとアルベリヒの口論とか、同じくジークがミーメ始末する辺りの転換の切り替えは良かった。

さて歌手を細かく書いていきますと

森の鳥:清水理恵
この公演唯一の日本人

この役は日本人は合ってる。
低い音域全くいらないし、下手に外人使うより日本人の方が合うような役ってこともあって、
特に気にはならなかった。
響きも安定してたし浅くもなかったので、良いと思います。

エルダ:ヴィーブケ・レームクール

この人、良いですね。
決して太い声ではないのだが深くて美しいアルト
エルダのイメージとはちょっと違ったが、低い音も常に響きの高さが落ちないのは素晴らしい。
ちょっと高音はキツそうではあったが、もっと出番の多い役で聴いてみたい。

ファーフナー:シム・インスン

悪くはなかったが、良く分からないと言うのが正直なところ
低音が鳴る訳ではないが、不自然な歌い方は見られない。
そういう意味では良かったのか?
まぁ、声に凶悪そうな感じとかは全くなかったのは確かだ

アルベリヒ:トマス・コニエチュニー

鳴りは良いが、ちょっと鼻腔共鳴が強過ぎるのか?
響きがやや硬い。
今回は舞台に近めの席だったので、遠くまで言葉が飛んでいたのかは気になるところだが、
他のキャストが癖のない発声をする人が揃っただけに目立ってしまった感がある。
ただ決して悪い歌手ではないことは言っておきたい。

さすらい人:エギルス・シリンス

日本ではお馴染みになった感のあるシリンス
先日のサーロメでも素晴らしいヨハナーンを聴かせてくれたが、
ヴォータンもすっかり板についたか?
「さすらい人」としてふるまう時とヴォータンとして本性を現す時と、見事に変えてる
今日は席の関係か、コニエチュニーほどバリバリ鳴ってる感じではなかったのだが、実に安定感のある歌唱であった。

ブリュンヒルデ:エリカ・ズンネガルド

第一声で「Heil dir, Sonne!」でいきなりしくじってしまって、ちょっと可哀想だった
ただ、普通なら寝てていきなり声出さないといけないから大変だろうが、演奏会形式であれはちょっと頂けないかな。
などと思っていたが、しくじってなくても中音域以下は全然鳴らないんですね。
確かに上は安定して硬質な強い声が出るが、それに伴う下がないのはダメ

ある音域より下で全く響きが無くなるのがわかるだろうか?

ミーメ:ゲルハルト・シーゲル

もう言うこと無いっす。
この役を歌い崩さず、でも的確に表現できる歌い手がどれだけいるだろうか?
響きの安定感と、時々聴かせるドラマティックな高音、全然キャラクターテノールではないですねこの人は。実際、Jay Hunter Morrisとか言う鼻声のジークフリートよりよっぽどヘルデンっぽい声で歌ってますねw

ジークフリート:アンドレアス・シャーガー

前述の通り、この人を聴きたいがために今日行ったようなモノ。
誤解を招くかもしれないが、この人の発声は間違えなく世間一般で言うベルカントである。
全く締めない、固めない。開放的で伸びやかな高音。
こんな自然な発声で歌われるジークフリートを聴いたことがない。
この役は表現の粗さも含めて若さが良い方向に働く。
トリスタンやタンホイザーなんか歌ったらまだまだ甘さが目立ってしまいそうだし
そもそも声が軽くて硬質なので、合わないかもしれない。
高音張る時、一々後ろに重心持っていって歌ってたのが印象に残った。
声から筋肉の躍動が見えると言えば良いのか、彼は相当筋力鍛えてますなw
ドラマティックな曲歌うのに重い声は必要ないってことが証明されたな。
日本人テノールの多くが彼より重く歌って、殆どが彼の半分も声出てない訳だからw

本日の演奏は本当に良い勉強になった。

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