秀逸なコンサート歌手Florian Boesch

Florian Boesch(フローリアン ベッシュ)は1971年オーストリア生まれのバスバリトン歌手
オペラよりもコンサート歌手として活躍している。
派手さはないが、堅実に計算された歌唱をする非常に優れたコンサート歌手である。
最近もラトルの振ったハイドンの天地創造でソロを務めていた。
その時の映像がコレ

アダムとエヴァの2重唱

ただ、この人の勿体ないところは、ちょっと声を抜き過ぎる傾向にあること。
かなり強い声が出せるのだが、あまりフォルテで歌うことをしない。
基本的にピアニッシモ~メゾフォルテでしか歌わないのが勿体ない。
※勿体ないといったら、古楽オケでもないのにやたら速いテンポでぶっ飛ばし、
ベルフィルから薄っぺらい音を引き出すラトルが一番勿体ないんだが、それはまた別のお話

 

中音域で”i”母音をフォルテで出しているところ

 

しっかり耳の下の蝶番が開いて、唇もリラックスしていることがわかる
ドイツ語の”i”母音の響きは生命線である。
”i”母音の響きを基準に他の母音のポイントを調整していく。

 

この人、歌曲の録音はYOUTUBEに結構あるが、映像は全然ない
なので、素朴な味わいのあるNachtviolen(ムラサキバナ)を添付しておく

 

因みに、ムラサキバナはこんな花

 

Nachtviolen,Nachtviolen!
Dunkle Augen,seelenvolle,
Selig ist es,sich versenken
In dem samtnen Blau.

Grüne Blätter streben freudig
Euch zu helfen,euch zu schmücken;
Doch ihr blicket ernst und schweigend
In die laue Frühlingsluft.

Mit erhabnen Wehmutsstrahlen
Trafet ihr mein treues Herz,
Und nun blüht in stummen Nächten
Fort die heilige Verbindung.

ムラサキバナよ、ムラサキバナよ、
濃い色の、魂のこもった眼を持った花々よ、
君たちは幸せだ、
ビロードの青さの中に身をひそめていられるのだから。

緑の葉が喜んで、
君たちを明るく飾りたてようとしている。
しかし、君たちは固い表情で押し黙ったまま、
なま温かい春の風の流れに視線を浮かせている。

崇高な憂いを帯びた光で、
君たちは私の忠誠な心を射止めた。
そして今や、無言の夜に、
厳かな結びつきが次々と花開くのだ。

 

こういう何でもない曲を普通に歌う。これが意外とできないことで、
身体に言葉と音楽が血液のごとく流れていなければ、どこか不自然さがでてしまうもの。
このヒトを聴いて、特別感動する。というのはよっぽどのリート好きでないと難しいかもしれませんが、
空気のような自然さで歌声が身体に入ってくる感じだけでも伝われば幸いです。

 

 

 

1件のコメント

  • なおや より:

    私もFlorian Boeschが大好きです。最初cpoのシューベルト歌曲全集で聞いて、その深い響きの癖の無い柔らかなバスバリトンの声に魅了され、Youtubeを捜したら、素晴らしいBR-Klassikのリサイタルを見つけ、更に好きになりました。(まだ見れます!)
    仰る通り殆ど抜いた声で、ここぞという箇所も、ことごとくfではなく高々mf程度なので、やや肩透かしというか歯がゆいところはありますが、それを豊かな顔の表情で補って余りある感があります。

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