21世紀のキャスリーン バトルとなれるか!?Pretty Yende;

Pretty Yende(プリティ イェンデ)1985年南アフリカ生まれのハイソプラノ。
黒人のハイソプラノ歌手として現在米国を中心に大活躍している歌手で、21世紀のキャスリーン バトルとなれるか注目している

ベッリーニの夢遊病の女 フィナーレのカバレッタ

低音~高音まで均等な響きで出せる技術は大したものである。
まだ30代前半ということで、今後は更に声に深みがでてくればもっとよくなっていくだろう。
因みにこれは2014年の演奏。

 

それでは、年齢と共にどのように声が変わったかと、今後の課題などをあげていこう

プッチーニ ジャンニ・スキッキ O mio babbino caro

正確な演奏の年はわからないが、恐らく10年前(23歳)
意外なことに今より全然重く、随分力みがある声だ。
こうみると、年齢を重ねてコロラトゥーラの技術を磨いたタイプで、
日本人に多い、学生時代から軽い声でやってきた訳ではなかったことが伺える。

 

 

ロッシーニ セミラーミデ Bel raggio lusinghier(麗しい光が)

2013年(28歳)の演奏
この年から彼女の演奏映像はかなりヒットする。
歌ってる曲もロッシーニや、グノーのロミオとジュリエットなど比較的技巧的な曲になっている。
声質に関しては、この5年で大きく変わって力みが取れている。
ただ、最高音なんかはまだ力一杯張っている感じでやや喉に負荷がかかっていて伸びに欠ける印象。

 

リサイタル映像

2014年(29歳)
だいぶ歌唱フォームが安定してきて、低音~高音まで響きが安定してきたが、
逆に言えば、課題もはっきりしてきた。
彼女は歌うポイントが前過ぎる。
恐らくかなり強い楽器を持っているのだろう。
文字で表現するのは難しいが、口の開け方に課題ありで、奥の空間がまだまだ狭い。

例えば、イェンデよりずっと軽い声のルチアーナ セッラの口の開け方を見て頂きたい
曲はロッシーニ ランスへの旅の超難曲である。

声の「深さ」と声の「重さ」は全く別物で、イェンデが今後超一流となるためには、
絶対的に歌唱フォームの改変が必要になる。
ということがお分かり頂けるだろうか?

 

ベッリーニ 清教徒 Vien diletto e in ciel la luna(来て 優しい人よ)

2016年(31歳)
そんな訳で、彼女はしっかり2年でここまできてしまった(笑)
2014年の演奏より響きが深くなり、高音も喉に掛かったような硬さがなくなって余裕がでてきた。

 

 

2017年(32歳)
あまり変化は見られない

 

 

ルイージ アルディーティ Il Bacio(口づけ)

2018年(33歳)
声は全体的に深みを増してきたが、”e”母音が特に横に平たくなり易い傾向にある。
その影響もあってピアノ、ピアニッシモの表現がまだまだ貧しい。
もっとフォルテと同じ緊張感、否、それ以上にピンと張ったピアノ線のような強さと繊細さが欲しいところ。
若い間は多少勢いだけでも技巧で表現をごまかせるが、まだまだ言葉に対する感覚も含めて磨くべき部分は数多とある。
これからどのように成長を遂げるのか見守っていきたいと思う。

 

 

CD

これがデビューCDである。
今後間違えなく大々的メディア露出もしていくであろうことを考えて、今から注目しておいても損はない。
大体メディアが騒ぎ出した頃は全盛期を過ぎているのが常ですから・・・

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