Marianne Crebassa(マリアンネ クreバッサ)は1986年フランス生まれのメゾソプラノ
メゾの音色でありながら、癖が少なくアジリタを得意とする希少なメゾソプラノである。
ちょっと響きが奥めで、高音の抜けにはあと一歩鍛錬が必要な感は否めないが、
まだ30代前半という年齢を考えれば、今後の伸びしろも十分ある。
この演奏は今年の10月なので、現在の彼女の声と言って問題ないだろう
ロッシーニ チェネレントラ フィナーレのアリア
どうもロッシーニメゾと言うと癖の強い歌手が多く、
一世一代の歌唱スタイルであることが多い。
有名所では、
マリリン ホーン
こんなドスの効いた声でなぜ自在に声を操れるのか本当に不思議だ。
そして、一番ロッシーニメゾとしては有名なバルトリ
正直、一つ一つの音を取ると、無駄なビブラートや詰まった声も散見(散聴?)できるのだが、
こんな風に歌える歌手が他にいるかと言えばいない。
ジョイス ディドナート
やはりこの人も、バルトリのように奥を狭くして、詰まったような声になることがあり、
歌は上手いが声そのものには癖が耳についてしまいます。
こういう超絶技巧は、下半身を固めて上半身だけで歌ってるように私には聴こえてしまって、
解放された声かと言えば、否と回答せざるを得ない。
ベルカントといいながら、ロッシーニを正当なベルカントという概念に則って演奏した結果なのか?
残念ながら、やってることは本質的に真逆だと思う。
では、テレサ・ベルガンサはどうか?
この人は、昨日書いた記事で、ひと昔前のコロラトゥーラを得意とするソプラノの発声について触れたが
ベルガンサは、楽器が大きくなった状態で同じ歌い方をするとこうなる。
という結論だ。
この人、映像を見れば分かる通り、常に口の開け方が横でアペルトなんです。
でも、長さがあって非常に柔軟で薄い声帯なのでしょう。
低い音までその音色のまま鳴ってしまう。
持ってる楽器は言うまでもなく一級品です。
そう考えると、ロッシーニを歌っていた頃のガランチャは上手かったです。
ベルガンサと比べればその響きの深さは明らかです。
クレバッサに話を戻すと、
彼女は別にロッシーニメゾではない。
レパートリーはバロック作品~ロッシーニとフランス歌曲が中心だろうか?
モーツァルトもとても丁寧に歌っている
こちらは去年の演奏。
ガランチャのようにソプラノ的な響きではなく、完全にメゾの声で、
若くしてここまで完成された声が出せるというのは本当に大したものである。
発声の勉強になるという理由で、学生のメゾは大体ロッシーニはやらされるのだが、
ロッシーニを得意にする歌手は大抵の場合癖がついてしまう。
という結果が、色々聴き比べるとわかってくる。
最後はフォーレ
こういう曲を聴くと、まだまだレガートには磨く余地があるなという印象はあるが、
声そのものは既に完成されている。
今後経験を積んで、新たなロッシーニメゾ像を作り上げてくれることを期待したい!
CD
このCDがファジル・サイのピアノで歌ってるフランス歌曲集
ただ、サイの歌曲伴奏ってどうなんだろう?
私はこのピアニスト自体があまり好きではない。
こちらはズボン役のアリア集
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