歌唱センスの化身 Véronique GENS

Véronique GENS(ヴェロニク ジャン)は1966年フラン生まれのソプラノ歌手
フランスバロック作品を中心に、古典作品も得意とするが、何と言ってもフランス歌曲の録音は遺産級の名盤である。

フォーレのClaire de Lune (月の光)

はっきり言って、この演奏はピアノが速い過ぎて味わいが薄いが

コチラのCDはフランス歌曲伴奏の第一人者、ロジャー・ヴィニョールズと組んでの録音で、
この私個人としては、このCDがあれば有名なフランス歌曲の入ったCDは他にいらないのではないか?
とさえ思えてしまうレベルの完成度

 

 

私が音大在学時代に貸して回っては、エーメリングやヘンドリクスなどより遥かに良いという感想が返ってきたものである。

 

この人はインタビューで面白いことを言っていて、
「私の声はソプラノだと思っていたけど、実際はソプラノでもメゾソプラノでもなかった。最近やっと自分の声が分かってきた」
と言っていた。

こちらの映像ではメゾソプラノが歌う作品も歌っているが、決して不自然さはない。
決して強い声を出そうとせず、逆に極端なピアニッシモで聴かせるでもないし、特定の言葉を強調したりもしない。
全ての表現が実に自然で、あるべき表現がそこにあるといった感じである。
この人の歌唱は圧倒的なセンスとしか形容できない。

圧倒的な技巧や声量、高音や弱音という分かり易い武器を持っている訳ではないのに、その音楽は有無を言わさぬ説得力を持つ
それを端的に体験できるのがアーンの歌曲

 

À Chloris(クロリスに)

 

S’il est vrai,Chloris,que tu m’aimes,
Mais j’entends,que tu m’aimes bien,
Je ne crois point que les rois memes
Aient un bonheur pareil au mien.Que la mort serait importune
De venir changer ma fortune
A la felicite des cieux!Tout ce qu’on dit de l’ambroisie
Ne touche point ma fantaisie
Au prix des graces de tes yeux.

本当かい クロリス きみがぼくを愛しているのは
きみは愛してくれているのだとは分かっているけれど
たとえ王様でもぼくほどに
幸せな気持ちは知るはずがない

死んでしまうなんてとんでもないこと
たとえぼくの運命が
この命を天国の幸せと引き換えると告げても

人々がアンブロジアについて語るどんなことも
ぼくの空想をかきたてはしない
きみの瞳の輝きの魅力ほどには

 

こちらの歌曲は伴奏がヴィニョールズではないが、比較的最近の録音で
曲目も少しマイナーになっていて、上記で紹介したCD程ではないがお勧めできる。

 

 

こちらがモーツァルトのコンサートアリア

mozart chio mi scordi di te(どうしてあなたを忘れられよう)

この人は本当に不思議です。
はっきり発音しているように見えないのに、言葉は明確に聴こえて、子音に無駄な力が全く入らない。
それでいて全ての音が自然に流れる。
歌唱センスの結晶としか言えません。
ただ声が良い歌手、超絶技巧を得意としている歌手では絶対真似できないモノがこの人の歌にはあります。

歳を重ねて、ややメゾよりのレパートリーにシフトしてきていますが、ヴェロニクの歌は昔も今も彼女だけのモノです。
今後もどんな曲を歌っていくのか目が離せません。

 

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