新国立劇場2019-2020シーズンの展望(男声編)

昨日の新国立劇場2019-2020シーズンの展望(女声編)に続いて
今回は男声編をお届けします。

早速各公演の主要男声キャストをみていこうと思うが、
今回も大野が触れた歌手を中心に紹介していこう。

 

 

◆エフゲニー・オネーギン:オネーギン役
Василий Ладюк (ヴァシリー ラデューク)

大野が言う通り、世界的にもこの役を得意としている歌手であり、
ホロストフスキー亡き後を継ぐ、否、歌唱だけで言えばそれ以上の声を持った逸材であることは間違えない。
2017年のNHK音楽祭でも演奏会形式の同オペラで来日して見事な演奏を聴かせているので、
ここは鉄板と言って良いだろう。

 

 

 

◆椿姫:ジェルモン役
須藤慎吾

この歌で新国の椿姫にジェルモンで出るだと!?
因みにジルダは高橋薫子
もうコメントしようがないのだが、
須藤は全くアジリタができないのだろう。
とにかくキレが必要なこの曲を猫なで声で抜いて歌ってると思ったら、
突如絶叫しだしたり、何と言うか、ヴェルディの音楽を完全に無視して歌っております。
それより言葉に困るのが高橋の方なんだが、今回は男声特集なので言及はまたの機会に・・・。

 

本物のヴェルディバリトンのSi vendettaはこうだ
ジョルジョ ザンカナーロ

別に最後ジルダがハイEs出したり、リゴレットが上のAsを出すのがヴェルディではない。
勿論結果的に上手く出せれば大いに喝采を浴びるだろうが、そこに命掛けて歌うのは白けるだけ。
この人を特集した過去記事は↓
プロが口を揃えて本物のヴェルディバリトンと評する歌手Giorgio Zancanaro

 

 

 

◆ニュルンベルクのマイスタージンガー:ハンス・ザックス役
Thomas Johannes Mayer(トーマス ヨハネス マイヤー)

新国には良く出ている優良バリトンのTJマイヤー
ヴォータンのような役では声量不足という声が聞かれることもあるが、
声より役の性格的表現に長けたマイヤーをザックスに起用するのは良い選択だと思う。
問題はテッシトゥーラが彼の声とマッチするかどうかだけ。
本来バリトンよりのマイヤーにとってザックスは低過ぎる可能性がある。

 

 

 

 

◆ニュルンベルクのマイスタージンガー:ヴァルター・フォン・シュトルツィング役
Tomislav Muzek (トミスラフ ムツェーク)

モーツァルトのテノール役や愛の妙薬のネモリーノなんかを歌っていたが、
何故か、オランダ人のエリックが当たり役になり、遂に日本でヴァルターをやるということのようだが、
この声でヴァルター・・・
身も蓋もない言い方だが、この人は声が汚い。
全く響きが上がってない上、部分的に鼻に入っている。
要するに喉に負担がかかってる歌い方なのである。

鼻に掛かっても響きがハマっていれば全然安定した響きになる。

例えばヘップナーと比較すると分かり易いか?
ベン ヘップナー

特徴的な響きだが、正しいポジションにはハマっているので、
歌詞もしっかり聴こえるしレガートでも歌える。
この違いがムツェックとヘップナーの決定的な差である。

 

 

 

◆ニュルンベルクのマイスタージンガー:ジクストゥス・ベックメッサー
Adrian Eröd (アドリアン エレート)

この人はダイナミックな表現より、リートのような繊細な表現に長けた歌手で、
オペラではそこまで印象に残っていないが、リーダーアーベントは実に素晴らしかった。
そういう意味ではベックメッサーは適役。
この人も日本にはよく来て歌っているので、聴いて失敗ということはない。
そういう意味ではエレートも鉄板キャスティングと言える。

 

大野が言及した主役の男声歌手はこんな感じなのだが、
実はドン・パスクワーレの男声陣が凄い

 

 

 

◆ドン・パスクワーレ:タイトルロール
Roberto Scandiuzzi(ロベルト スカンディウッツィ)

現在最高のイタリア人バス歌手かもしれない。
この人は表現も上品で発声技術完璧と言って良い。
ノリーナ役のドゥ ニースと格の違いが浮き彫りになるであろうことを考えると、
どれほどの力量の差があるのか確かめに行くのも悪くはない。

 

 

 

 

 

◆ドン・パスクワーレ:エルネスト役
Maxim Mironov(マキシム ミロノフ)

フローレスに隠れてそこまで知名度はないかもしれないが、
素晴らしいロッシーニテノールである。
いつまでも明るくて軽い声を保っている。
エルネストなんて微妙な役で、よくこのレベルの人を呼んだな~と私なんかは思ってしまう訳だが、
スカンディウッツィとミロノフだけでドン・パスクワーレは行く価値があると思う。

 

 

 

◆コジ ファン トゥッテ:フェッランド役
Giovanni Sala(ジョヴァンニ サーラ)

まだ響きが上がりきっていない部分があり、時々鼻に入るが、
柔らかさと温かさのある大変素晴らしい声の持ち主でフェッランド役にはピッタリ
この映像が2015年のものなので、現在はもっと洗練されているという希望的観測も含めて
ドラベッラのコリャチョーワと共に期待ができそう。

 

こんな感じか。
女声に比べて男声は注目歌手が来ると言える。
冗談抜きで、ドン・パスクワーレは各歌手の響きがどうなるか?
特にドゥ ニースと他の歌手の違いは大いに注目すべきポイントだと思っている。
大野が言うようにドゥ ニースが世界一のノリーナなのか、それとも他の男声陣の方が目立つのか、
これで大野の言うことが正しいとなると、私も考え方を改めなければならくなるな~。

 

 

 

コメントする