Magdalena Kožená(マグダレーナ コジェナー)は1973年チェコ生まれのメゾソプラノ
輝かしいコンクール受賞歴や勲章の授与は1995年~2003年
年齢にして22~30歳という若さの時に集中し、その後は出産などはあったにせよ、
それ程大きな注目を集めることなく現在に至っている。
主に評価されていたのはバッハ、モーツァルト、グルックなどの作品である。
1997年(25歳)
バッハ ロ短調ミサ Laudamus Te
響きの明るさと、中低音の深さ、明瞭な発音
弱冠25歳でこれだけのバッハ演奏をして見せたのだから本当に素晴らしい歌手である。
2006年(34歳)
モーツァルト Abendempfindung
この人のドイツ語発音はよく分からない。
全体的に唇の使い方が甘いという言い方が正しいのかはわからないが、
1970年代でチェコ生まれなら、完全に東側で相当訛りのあった地域だったのだろうか?
と思いながら歌詞を眺めていたら判った。
この人、全てではないが、なんとリエゾンして歌っている!
例を挙げると、
”sanft auf mich herab”(3:20)
これを、「ザンフタウf ミヒェラb」
他にも二重子音で促音がないとか、そりゃ不自然に聴こえて当然だ。
声としては、響きの当たってる位置は悪くないのだが、
明らかに1997年の時より喉が閉まっていて解放できていない。
なので30代半ばですでに不自然なヴィブラートが掛かっている。
出産などを期に息を支えられなくなったのか、原因は不明だが明らかにおかしくなっている。
※2005年に出産
どうドイツ語が不自然か、現在のリート歌唱で高い評価を得ている
クリスティーネ カルクの演奏と比較して頂きたい
この際なので、ドイツ語の歌詞も掲載しておく。
じっくり見ながら聴き比べて頂ければ、
ドイツ語に馴染みのない方でも、私の書いていることがなんとなく判ると思う。
Abendempfindung 夕べの想い
Abend ist’s, die Sonne ist verschwunden,
und der Mond strahlt Silberglanz;
so entflieh’n des Lebens schönste Stunden,
flieh’n vorüber wie im Tanz!
Bald entflieht des Lebens bunte Szene,
und der Vorhangrollt herab.
Aus ist unser Spiel! Des Freundes Träne
fließet schon auf unser Grab.
Bald vielleicht mir weht,wie Westwind leise,
eine stille Ahnung zu –
schließ’ ich dieses Lebens Pilgerreise,
fliege in das Land der Ruh.
Werd’t ihr dann an meinem Grabe weinen,
trauernd meine Asche seh’n,
dann, o Freunde, will ich euch erscheinen
und will Himmel auf euch weh’n.
Schenk’ auch du ein Tränchen mir und pflücke
mir ein Veilchen auf mein Grab,
und mit deinem seelenvollen Blicke
sieh’ dann sanft auf mich herab.
Weih’ mir eine Träne, und ach!
Schäme dich nur nicht, sie mir zu weih’n,
o sie wird in meinem Diademe
dann die schönste Perle sein.
2009年(37歳)
マーラー リュッケルトの詩による歌曲
Ich bin der Welt abhanden gekommen
響きが落ちました。
私生活では前年に、あの有名指揮者のサイモン・ラトルと結婚しているんですが、
奥さんの声や発音すらケアできない男がオケを正しく導ける訳がないと私なんかは思ってしまうのですが・・・。
これは完全に私情が入ってしまいました 失礼。
一瞬聴いた感じ、高音のピアノは美しい響きに聴こえるかもしれませんが、
例えば分かり易い部分では、
最後の歌詞
”In meinem Lieben,in meinem Lied”(5:00)
”Lieben”の声は最悪
こんな大事な音、言葉でこんな揺れ揺れの声を出すようでは!
更に続いての”meinem”もなんでこんな平べったい声で稚拙な表現をするのか甚だ疑問。
こういう部分で緊張感を維持できないようでは、リュッケルトを歌ってはいけない。
2012年(40歳)
ビゼー カルメン
ドイツ語歌ってる時より響きは良いですが、
そもそもカルメンの声には低音が貧弱過ぎると言うか、全体的に線が細過ぎる。
ただ、フォームなんかは2009年より全然良いと思う。
2018年(46歳)
ヘンデル リナルド Lascia ch’io pianga
本来ならメゾソプラノとして最も脂の乗る年齢なのだが、完全に声はくだびれている。
フォルテが全て絶叫で聴いてて痛々しい。
一番意味が分からないのは”cruda”の単語を切って歌ってるところ。
こんな解釈あるのか?
音楽性も声もどんどん変になっていく。。。
ラトル何やってんだ!?
まだまだ歌える年齢なので、復活して欲しいと願うばかりだが、難しいだろうか?
この生き生きとモーツァルトを歌ってた頃の彼女は少なくとも輝いていた!
20代前半であれほど華々しく現れたコジェナーという歌手は、
10数年でこれほどまでに声が崩れてしまった。
如何に自分の声を年齢と共に成熟させていくの難しいか、
そして、若い頃の成功が将来の声を保証しないものかが分かる。
彼女は2度結婚しているが、残念ながら彼女の声を理解するパートナーとは出会えなかった。
と結論付けざるを得ない。
CD
チェコの歌曲を歌ったもの。
こういう路線を通しておけばよかったのに、なぜカルメンにいったのか・・・
一番評価されているバッハ
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